〔教育コラム 夢の一枝〕 公立「中高」で「入試」をする頽廃
私が暮らす仙台市の連坊で、旧・県立宮城ニ女高の立替工事が進んでいる。公立の中高一貫校に生まれ変わるのだそうだ。
受験産業が早速、騒ぎ出し、受験生(小学生)を相手に「模試」を実施する、と宣伝している。
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この仙台の新設「中高一貫校」に限らず、「中高」の「中」は、もちろん、義務教育の段階だ。
そこにどうして点数による「競争原理」を持ち込むのか?
「高」ならまだしも、「中」で。しかもその「中」の狭き門に挑むのは、「小」(学生たち)である。
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アメリカにチャータースクールという公設民営校がある。そのシステムについては省くが、地域住民全員の税金(の一部)が投入された準公立校である。
けっこう、人気が高い。
だから「選抜」することになるが、方法は――「籤引き」か「(空き)順番待ち」だ。
公平の原則が徹底している。
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当然だ。公立学校は――とりわけ義務教育段階の公立学校は、税金で(つまり、自治体を構成するみんなの負担で)運営される学校だから、中高一貫校といえども(教委の直接統制をまぬかれたチャータースクールといえども)、一部の「お受験組」のための学校ではないし、そんなふうに運営してはならない。
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公立学校――いや、「学校」とはそもそも、「学力を引き上げる」場所であるはずだ。学力の低い子どもに、より注意を向け、援助する場所であるはずだ。
入試をして、小学校から塾通いした(教育投資を一身に浴びた、教えやすい)「点数の高い子」を集める……
教育界のモラルは、どこに行った?
どうしても「入試」するというなら、点の低い子から取りなさい……などといったら、あなた方はきっと、せせら笑うのでしょうね。