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◆ 資料/資料
◎ NHK福島ローカル(記事本文 前文は除く)
福島第一原発の廃炉への道筋を示す工程が2年ぶりに見直され、27日、政府の会議で承認されました。
新たな工程では、1号機と2号機の使用済み燃料プールから、核燃料の取り出しを始める時期を遅らせています。
1号機は、現在の計画より4年から5年遅い、2027年度か28年度としました。
理由については、現在、水素爆発の影響で最上階に残るおよそ1000トンのがれき撤去を進めていますが、放射性物質を含む粉じんの飛散リスクがあるため、建屋全体を覆う大型カバーを設置することになったためなどとしています。
2号機は、現在の計画より1年から3年遅い、2024年度と26年度の間に見直しました。
建屋の壁に穴をあけて使用済み燃料プールから核燃料を取り出す計画ですが、建屋内部の放射線量が高いため、除染などの対策が必要とされたためです。
使用済み燃料プールからの燃料の取り出しは、3号機ではすでに始まっていて、4号機では終了しています。
使用済み燃料プールからの取り出しを終える時期については、各号機の目標は示さず、1号機から6号機のすべてで、2031年末までとしました。
また原子炉建屋にある溶け落ちた核燃料、いわゆる「燃料デブリ」を冷やすため注入している水や地下水の流れ込みなどで毎日170トン前後発生している汚染水については、2025年末までに1日あたり100トン以下に抑えるとする目標を盛り込みました。
一方、廃炉作業の最大の難関とされるメルトダウンを起こした1号機から3号機の「燃料デブリ」の取り出しについては2021年から2号機で試験的に開始し、段階的に規模を拡大していくとしています。
そして、すべての廃炉作業を完了する時期については、これまでと同じく2041年から2051年として変更はしませんでした。
大きな工程の見直しはおよそ2年ごとに行われていて、今月初め、今回の見直しの大きな方針と案が示され、27日に菅官房長官らが参加した政府の会議で正式に承認されました。
廃炉の工程をとりまとめている経済産業省は、「廃炉作業は早く進める必要があるが、急ぎすぎれば、作業員の被ばくや放射性物質を含む粉じんの飛散などリスクにもなる。バランスを取りながら、緊張感を持って取り組んでいきたい。廃炉を終える時期については、今、目標を変える必要はないと考えている。これからの10年が大切で、そこで精査していきたい」としています。
福島第一原子力発電所の廃炉の今後の工程が2年ぶりに見直されたことを受けて、東京電力の小早川智明社長は「復興の取り組みが徐々に進む中で、『復興と廃炉の両立』のもと、安全確保を最優先に、より一層のリスク低減を進めていく必要があると受け止めている。地域の皆さまとの対話を重ね、地元の想いや、風評対策にも最大限の配慮をさせていただきながら、改訂された工程に基づき、責任をもって、廃炉を安全かつ着実にやり遂げてまいります」などとするコメントを出しました。
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◎ 毎日新聞 記事(本文=共同通信 前文は除く)
プール燃料搬出は廃炉作業の主要工程の一つで、炉心溶融を起こした両機の搬出開始時期の見直しは4度目。事故後30~40年とする廃炉完了目標は維持したものの、達成への影響が懸念される。改定では他に、汚染水発生量を25年までに1日当たり100トン以下に減らすことも盛り込んだ。
1号機のプール燃料搬出開始は27~28年度、2号機は24~26年度で、いずれも2年程度かけて搬出を終える。放射性物質の飛散抑制を優先させるためで、1号機建屋では新工法として実施する大型カバーの完成が23年度ごろの見通し。2号機も、搬出機器などの収容設備の新設や、建屋内の除染に時間がかかると判断した。
31年までに1~6号機全基のプール燃料計4741体の搬出完了を目指すことも明記した。事故当時に定期検査中だった4号機では全燃料の搬出を終えている。炉心溶融を起こした3号機は今年4月に搬出作業が始まった。5、6号機の搬出開始時期は未定。
2号機の溶融核燃料の搬出は少量から着手し、10年後の31年までかけて規模を拡大する。残る1、3号機での搬出の開始時期には触れなかった。溶融核燃料は形状や堆積(たいせき)範囲など未解明な点も多く、廃炉作業の最難関となる。
中長期ロードマップ
東京電力福島第1原発の廃炉工程表。溶融核燃料や、使用済み核燃料プールに残る燃料の搬出スケジュールなどを設定している。2011年12月に政府と東電が作成し、作業状況などを反映して改定してきた。プール燃料の搬出は予定通り13年11月までに開始され、デブリ取り出し開始は21年中が目標。廃炉完了は41~51年と見込んでいる。(共同)
プール燃料搬出は廃炉作業の主要工程の一つで、炉心溶融を起こした両機の搬出開始時期の見直しは4度目。事故後30~40年とする廃炉完了目標は維持したものの、達成への影響が懸念される。改定では他に、汚染水発生量を25年までに1日当たり100トン以下に減らすことも盛り込んだ。
1号機のプール燃料搬出開始は27~28年度、2号機は24~26年度で、いずれも2年程度かけて搬出を終える。放射性物質の飛散抑制を優先させるためで、1号機建屋では新工法として実施する大型カバーの完成が23年度ごろの見通し。2号機も、搬出機器などの収容設備の新設や、建屋内の除染に時間がかかると判断した。
31年までに1~6号機全基のプール燃料計4741体の搬出完了を目指すことも明記した。事故当時に定期検査中だった4号機では全燃料の搬出を終えている。炉心溶融を起こした3号機は今年4月に搬出作業が始まった。5、6号機の搬出開始時期は未定。
2号機の溶融核燃料の搬出は少量から着手し、10年後の31年までかけて規模を拡大する。残る1、3号機での搬出の開始時期には触れなかった。溶融核燃料は形状や堆積(たいせき)範囲など未解明な点も多く、廃炉作業の最難関となる。
中長期ロードマップ
東京電力福島第1原発の廃炉工程表。溶融核燃料や、使用済み核燃料プールに残る燃料の搬出スケジュールなどを設定している。2011年12月に政府と東電が作成し、作業状況などを反映して改定してきた。プール燃料の搬出は予定通り13年11月までに開始され、デブリ取り出し開始は21年中が目標。廃炉完了は41~51年と見込んでいる。(共同)
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◎ 「廃炉ロードマップ」相次ぐ見直し
・ 2011年 12 月 原子力災害対策本部政府・東京電力中長期対策会議で、「中長期ロードマップ」の初版を決定。
・ 2013年 6 月 、廃炉対策推進会議で、中長期ロードマップの第2回改訂
・ 2015年 6 月、第3回改訂
・ 2017年 9 月、第4回改訂