〔共謀罪によるファシズム監視国家化を絶対に許してはならない〕◇ 電磁波などハイテク技術も駆使した「国民監視国家」化の動きが、欧米で市民の抵抗を呼んでいる。あの東ドイツの秘密警察、「STASI」が採った監獄国家化の手法、「ZERSETZEN(人を崩壊させる)」が、米英などで国民に対し行なわれていて、それが社会問題化して批判が湧き上がっているのだ。盗聴・密告・摘発 …… そんななか米国で、かつての東ドイツで行なわれていた悪夢の実態を白日の下に曝す記録映画が制作された。『カール・マルクス・シティー』
☆ 人間解放の、労働者の楽園を監獄国家にしたものと、「美しい国」を息苦しい社会に変える「共謀罪」の間には、共通するものがある。
それは、ひとびとの間の自由な言論の破壊。
そこから始まる「人間の崩壊」―― それが「ツェルゼッツェン」の悪夢である。
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★ 東ドイツの『カール・マルクス・シティー』(ケミニッツ市)に生まれ育った、ペトラさんが、父親の謎の死の真相を求めて、故郷のまちを訪ねるドキュメンタリー映画だ。
ニューヨーク・タイムズ紙の映評には、「ツェルゼッツェン」への言及はないが、これが東ドイツ監獄国家のキーワードであり、今や「9・11」以降、米国や英国などで急激に進んだ、国民監視国家化を言い表す、国際語であることを、「共謀罪」が強行導入されようとしている日本のわたしたちも知るべきことであるだろう。
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★ カナダに住むRoderick Russellさん夫妻は、カナダの諜報機関による「ツェルゼッツェン」被害者だ。
ロデリックさんがまとめたレポートは、共謀罪が導入されたあとの、日本の姿を予告するものと言える。
人びとは息をひそめ、監視と密告を恐れながら、物も言えずに国家権力の言いなりにならざるを得ない、そんな社会の監獄化が進んでいく。
そうした社会で、あえて物を申す人間に対して加えられるのが、「ツェルゼッツェン」。
人間の尊厳、人格を破壊する「崩壊」攻撃である。
甘く見てはならない。
監視の名の下に、いわゆる「No-Touch Torture 遠隔拷問」――電磁波などハイテクを使った鎮圧が行なわれる、とロデリックさんは(もまた)警告しているのだ。
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〔★は大沼〕 ◎ ニューヨーク・タイムズ Review: ‘Karl Marx City’ Revisits the Everyday Terror of Dictatorship
(3月28日付け)⇒ https://mobile.nytimes.com/2017/03/28/movies/karl-marx-city-review.html?smprod=nytcore-ipad&smid=nytcore-ipad-share&_r=0&referer=