〔フクイチ・スーパー核惨事 6年目の秋に〕(アピール)◇ 日本原子力学会の科学者のみなさんには、学会誌(10月号)の「巻頭言」で、似田貝香門・東大名誉教授が呼びかける「研究が解決すべき実践的テーマに〈出会い〉、それに対応すべく自己研究の専門枠や方法から、テーマに向かって越境し、他の分野との協働化を不可欠と考える研究者の決断と覚悟」を持って、この日本の核の惨禍を乗り越えていく、先頭に立っていただきたい!
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〔★は大沼〕 ◎ 日本原子力学会誌 2016・10
⇒ http://www.aesj.net/document/atomos-201610mokuji.pdf
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★ 似田貝香門さんは、これを「知の統合」と呼び、それは≪責任なくして語られえない≫ものだと訴え、さらに進んで、「人間学了解の方法論であるとともに、社会の全体性に深く関わり、かつ一人の人間として『何を知り得るか』という方法の問題とも不可分」な、サルトルの「アンガージュマン」概念にも言及している。
「アンガージュマン」とは、「テーマに対する知を介しての、自己の責任を看取する実践概念」であると。
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★ わたしは、このような提言を、「学会誌」の巻頭におく、日本原子力学会の姿勢を評価する。
それにしても、いま日本の原子力科学者に求められている、実存的ともいえる、最大のテーマは何か?
いうまでもなく、それは「フクイチ」の制御と廃炉――そして、被曝低減と防護、それ以外の何ものでもなかろう。
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★ わたしが最近、遅まきながら読む機会を得た、サルトルの倫理研究ノート、『真理と実存』(人文書院、澤田直さん訳)に、こんな一文がある。(152~152頁)
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自らの不可能性という可能性に抗して、真理は闘い、自分の実存そのものによって自己肯定する。いま見ているこのものを見ることで、わたしは可能性を出現させる。
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★ いま、わたしたちが見なければならない「このもの」とは、「フクイチ」という現在進行形の、絶対絶命の核惨事である。
「フクイチ」という不可能性の可能性に抗して、可能性を出現させるのは、みなさんの責任ある研究実践であるだろう。
みなさんが日本を救うのだ!
微生物学、植物学など異分野との協働も視野に置き、起死回生の闘いに挑んでほしい!
Posted by 大沼安史 at 12:57 午後 | Permalink