〔フクイチ・スーパー核惨事〕◇ 作家で精神科医の加賀乙彦さんは「3・11」後に書いた著書で、こう言った。 「日本は為政者が国民に対して平気の嘘を言う国だと感じます」 /「だんだん安心して食べられるものもなくなっている。何だか戦争中に似てきているような気がします」/「全部、廃炉にしてお寺に。炉は供養塔に」「今、私が一番願っているのは、全世界から原発と原子爆弾がなくなったのを見てから死にたいということです。それが切なる願いであり、私の希望、私の祈りです」
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★ 『科学と宗教と死』(集英社新書 2012年1月22日刊)より。
⇒ http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0624-c/
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★ 加賀乙彦さんは、こうも書いている。
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……そして福島原発事故は歴史上非常に大きな事件で、日本人はこれをきちんとした形で始末をつけなければならない。日本にとっても、世界にとっても、大きな試練です。これを間違えたら日本は滅びるというくらいの覚悟でのぞまなければならないと思います。(139頁)
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……政府は国民に真実を教えない。とくにミッドウェー海戦以降の大本営発表は、ほとんどウソで固められていました。
東京大空襲においてもそうだった。「避難をせずに、自分の住んでいる家にどんどん水をかけて燃えないようにせよ、防火に努めよ」というのが政府の命令でした。だからみんな自分のうちから逃げずに、焼け死んだのです。(121頁)
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残念ながら、日本は為政者が国民に対して平気の嘘を言う国だと感じます。(同)
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いったい、発表されていることはどこまで本当なのか。だんだん安心して食べられるものもなくなっている。何だか戦争中に似てきているような気がします。……(124頁)
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同時に、放射能とともに生きざるをえなくなった私たちは、命ということ、死ということ、これからの世代にどう命をつないでいくかということを、これまでより深く考えざるをえなくなりました。今、本当に道徳と宗教が必要とされる時代になったと思います。(165~166頁)
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日本には原発が五四基もあるという。私はそれを次々に廃炉にして、全部お寺にしたらいいと思うのです。炉は供養塔にする。そうすればこれは世界遺産になるでしょう。二一世紀の象徴です。人間のコントロールの及ばない原子力を使って何かをしようとした人間の懺悔の心をあらわしたものであると、後世まで伝えていく遺産です。(139頁)
Posted by 大沼安史 at 07:05 午前 | Permalink