« 〔フクイチ・スーパー核惨事〕 ◇ 「エコロジーほっけの会」を旗揚げした、仙台の日蓮宗・法運寺住職、梅森寛誠さんは、こう書いた。◎ ……この国は国民が「知る」ことを巧妙に回避させ、知っても行動を抑制させる。だが少し待て。私たちが世界で一番先に「知った」のではなかったか。広島長崎の辛い体験を経て原発を容認することがあり得ようか。知って言わぬは堕獄の罪である。このまま無間地獄に向かうのか。とても傍観などできない。  | トップページ | 〔フクイチ・スーパー核惨事〕◇ 作家で精神科医の加賀乙彦さんは「3・11」後に書いた著書で、こう言った。 「日本は為政者が国民に対して平気の嘘を言う国だと感じます」 /「だんだん安心して食べられるものもなくなっている。何だか戦争中に似てきているような気がします」/「全部、廃炉にしてお寺に。炉は供養塔に」「今、私が一番願っているのは、全世界から原発と原子爆弾がなくなったのを見てから死にたいということです。それが切なる願いであり、私の希望、私の祈りです」 »

2016-06-15

〔フクイチ・スーパー核惨事〕 ◇ 「日本は世界で唯一の国だ。原子戦争を経験しただけなく、破局的な原子力メルトダウンを経験した」 ―― B29「エノラ・ゲイ」と「ボックス・カー」の両機に搭乗、ヒロシマに続きナガサキへの原爆攻撃に参加した唯一の米軍人、ジェイコブ・ビーザー(Jacob Beser 1921~92年)さんの孫、アリ・ビーザーさんが来日し、フクイチ被曝地入りして「ナショナル・ジオグラフィック」誌にレポート! ★ 日本はフクシマで、被爆・被曝国になった!

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 ★ アリさんは「フルブライト・ナショナル・ジオグラフィック・デジタル・ストリーテリング・フェロー」として、ヒロシマ・ナガサキ70周年記念に合わせ、昨年、来日し、これまで10ヵ月にわたって、調査・報告活動を続けて来た。

 その最新のレポート(6月9日付け)のなかに、上記の一文が書かれていた。

 Japan is the only country in the world to experience atomic war and a catastrophic nuclear meltdown.

 アリさんは、日本が世界で「唯一の被爆国であり、被曝国でもある」と指摘しているのだ。

 「唯一の被爆・被曝国」――日本!

 ヒロシマ・ナガサキにフクシマが加わることで、わたしたちの日本は「唯一の被爆・被曝国」となった!

 わたしたちの日本は、なんという国なのだろう。

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 ★ アリさんの祖父のジェイコブさんは、ジョンズ・ホプキンズ大学の機械工学科を出て、マンハッタン計画にも動員され、ロスアラモスで、起爆・信管部門の研究・開発にあたった。

 ヒロシマ攻撃にはレーダー手として、ナガサキ攻撃には放射能測定員として、参加した。

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 ★ アリさん(フリーのライター・写真家、ビデオ作家)はヒロシマ、ナガサキで取材したあと、フクシマ被曝地に入った。

 ヒロシマ・ナガサキとちがって、フクシマでは多くの人びとが「誰もが自分自身のストーリーを持っているにもかかわらず、自分自身の声を見つけるために格闘していた( Like Hiroshima and Nagasaki, everyone who was in Fukushima at the time of the disaster has a story, but unlike Hiroshima and Nagasaki many are struggling to find their voice. )」――と、アリさんは書いている。

 「多くの人びとは被曝経験を、原発の危険を言いたがっている。しかし、どう言ったらいいか、どう書いたらいいか、わかっていない( Many wish to speak out about their exposure to the radiation, or the dangers of nuclear power, but don’t know what to say, or how to describe what they went through. )」

 そういう語られざる「声」を、アリさんは聞いて回ったそうだ。(ドキュメンタリー・ビデオにまとめるそうだ。 その完成を待とう!)

 アリさんのレポートには、アリさんがインタビューした人の声が、(おそらくは)サワリの部分だけ紹介されている。

 そのひとり、サトー・ケンタさんは、アリさんにこう語ったそうだ。

 「ヒバクシャとは原爆の放射能にさらされた人のことを指しますが、ヒバクのバクには別の漢字があてはまります。それは放射能に被曝のバク」

 
「僕はたしかに、ヒバクシャであるわけです( I am certain that I am a hibakusha. )」

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 なるほど、わたしたちは唯一の被爆・被曝国のヒバクシャであるわけだ!

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 唯一の被爆・被曝国である、日本。その二重性を一身に帯びた、ヒバクシャとしての、わたしたち。

 わたしたちに「存在理由」があるとすれば、それは……そのあり方を認めるところから始め、悲劇を超えていく、その生き方のなかに生まれるものだろう。

 わたしたちは自分のストーリーを語る自分の言葉を見つけ、被爆・被曝の悲劇を超えるために生きて行かねばならない。

 ヒロシマ・ナガサキ攻撃者の孫であるアリさんは、そのことを伝えに、フクシマ入りしたようだ。

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 〔★は大沼〕 ◎ ナショナル・ジオグラフィック Stories From Fukushima You Have Never Heard
 (9日付け)⇒ 
http://voices.nationalgeographic.com/2016/06/09/stories-from-fukushima-you-havent-heard-yet/
 

 ◎ ジェイコブ・ビーザー(Jacob Beser)さん ウィキ (英文)
  ⇒ https://en.wikipedia.org/wiki/Jacob_Beser

Posted by 大沼安史 at 10:11 午前 |