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2016-04-04

〔フクイチ核惨事 6年目〕◆ 「この5年間、ずっと待ってきた……」 ◎ 「避難の権利」を求める全国避難者の会  3月9日 (第1回)政府交渉の記録 

 ◆ 政府側(アベ政権) : 「避難者の定義」というものは、個人の意思による部分が大きく、詳細な調査を行うのは難しい。

 ◇ 全国避難者の会 : 「個人の意思の網羅的な確認は難しい」との答えだったが、被害者は皆、その確認を政府が実施しに来るのを、この5年間、ずっと待っている。政府または政府の代理の人が各戸を訪問して、被害状況や思いを聞き取りに来てくれるのをずっと待っている。……

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 〔★は大沼〕 ◎ 「避難の権利」を求める全国避難者の会
    ⇒ http://hinannokenri.com/

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◎ 政府交渉は、本会側、政府側の自己紹介の後、要望を手渡し、その要望に対する回答を得る所から始まりました。

要望項目

1 福島県による現行の住宅支援打ち切り方針を撤回するよう、国として働きかけること

回答
・現状の住宅支援は、災害救助法に依拠するので、災害救助法の適用については都道府県が判断する項目。福島県が判断したとおりに、1年間の延長のあと、福島県が独自に行う支援策がある。国としては働きかけない。

要望2. 改めて、国の責任による避難者住宅保障策を、原発事故子ども・被災者支援法等に基づき実施すること

回答
・避難者住宅保障は、災害救助法の枠内で行うので、福島県が判断することになる。子ども被災者・支援法に決められている「支援対象地域」は福島県内の一部に限定されているので、子ども・被災者支援法に基づいて実施しているものと考えている。

SAFLAN福田弁護士から
昨年4月20日に福島県と政府が打ち合わせをして記録のメモで、「住宅支援の7年目の延長については、『他に支援策がない』というだけでは説明ができない」と政府側が福島県庁に発言した、という記述がある。国から福島県に対して、住宅支援打ち切りを要求したことはないのか。

要望3 改めて、国の責任による避難者住宅保障策を、原発事故子ども・被災者支援法等に基づき実施すること

回答
「国際的な常識」では100mSv以下の被曝では、他の影響にまぎれて健康被害が分からなくなる、ということになっている。それに対応して、子ども被災者・支援法に沿った対応を行った。

 
次に、事前に政府側に渡しておいた質問に対して、政府側が回答し、
本会側が再追究をする形になりました。

質問
 日本政府は、今回の福島原発事故が人災であったとの認識を持っているか。持っているならば、それはどのような意味での人災であり、政府としての責任をどう考えているのか。

質問⓵への回答

経済産業省:各種調査委員会が事故に関する調査をして、その中で「国会事故調」が、この原発事故を「人災」としていることは承知している。しかし、事故の原因がまだ判明していない現段階では、人災であったかどうかは、言えない。事故に関する政府の責任についても、原因が分からない状態では、明言できない。

避難者の会からの反論・意見

・責任の少なくとも一端が政府にあった事は、現段階でも明白。なのに、国民、被害者、避難者への明確な謝罪がないことは納得できない。本当に政府に誠意があるならば、被害者の家を一軒ずつ回ってでも、謝罪するべきではないか。

・人災とは、事故を起こしたことだけではない。事故に関する正しい情報を国民に知らせなかったこと。適切な避難誘導ができなかったこと。高線量地帯の住民への避難指示が遅れた事(特に事故原発から30km以遠)。意図的に汚染の計測を空間線量の測定だけの粗雑なものにして「安全」を強調したこと。さらに、事故原因も核燃料の現状も分からないままに避難者を帰還させようとしていること。すべて含めてのことが「人為的な災害」、人災だ。

→ 宿題として、書面での回答を要求。原発事故に関する政府としての責任について回答すること。

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質問⓶ 「避難者」をどのように定義し、自主避難者も含めた避難の全体像の実態把握はどうなっているか。また、その記録の所在はどうなっているか。更に要援護者の避難の実態をどう把握しているか

「避難者」の定義についての回答
・「避難者の定義」というものは、個人の意思による部分が大きく、詳細な調査を行うのは難しい。
・質問は東日本大震災による地震・津波の避難者と、原発事故の避難者を合わせた質問だと考えていた。
・「原発事故の避難者」というものは定義していない。「必要な施策」に該当する人数を地方公共団体と情報交換して、政策を立案・実行している。
・「避難が何か」という明確な定義はしていないけれども、もともとの住宅から避難して生活している人で、各都道府県から「避難者」として報告されている人の数を「避難者数」として省庁では使用している。「こういう人を避難者として数え、報告するように」という指示伝達を政府からはしていない。

避難者の会の側からの追究:福島みずほ議員から政府に出された質問主意書に対する政府の答弁書で、「原発事故による避難者とは何かを政府は定義しない」と明確に答弁しているのに、なぜその答弁と違う答えをするのか。

追究に対する回答:福島議員の質問は「原発事故による避難者」についてだった。今回の交渉で出された「避難者の定義」という質問は、東日本大震災関連の全ての避難者に関する定義だと考えた。原発事故による避難者という意味ならば、内心の自由にかかわる問題でもあるので、答弁書の通り、定義しない。

再追究:支援対象である「避難者」を定義しなければ、支援のための政策を立てることができないのではないか。福島県外から避難している人もいるのに、それを数えず、支援もしないで、「復興」というのはおかしいのではないか。
 「避難者」の定義をしなければ、国として避難者の支援などできないはずなので、まず「避難者」の定義をしてほしい。支援政策の対象となる「避難者」を定義して、その上で人数を把握しなければ、支援政策の予算化ができないのではないか。

再追及への回答:「みなし仮設への入居者に対する支援」のように、施策ごとに対象の人数を把握すれば、支援は可能だ。

再々追究:2014年、埼玉県に避難している人の人数が、数え方の間違いがわかって、急に増えるという事例があった。政府が「避難者」の定義をしなければ、今も他の場所で同じことが起きている可能性があるのではないか?

福島県からは「避難者意向調査」というものが、避難指示区域からの避難者と避難指示区域外からの避難者とを分けて、避難者に対する意向調査を行っている。福島県庁は「避難者」をどういう人たちか決めて、その人たちに対して調査を行っているのだが、国は避難者を「定義していない」とすると、福島県庁は、国が定義していない「避難者」に対する調査を勝手に行っていることになるのか?

再々追究に対する回答:「縦割り行政の弊害」と言われるかもしれないが、国は「避難者」を定義していない。

SAFLAN福田弁護士の指摘:埼玉県で避難者の人数の数え違いがあった時に、平成26年8月4日に「避難者数調査における避難者の定義の留意事項」という項目が出されていると、社民党の吉田 忠智議員の質問主意書に対する答弁で記述されている。政府側の皆さんは、今日のこの場所に出てくるにあたって、一体どれだけの準備をしてきたのか、疑問だ。事前に質問項目が文書で政府側に提示されているのに「避難の権利」とは何か、など、そういうことを調べずに政府側はこの席に来ているのか?

回答:その埼玉県の避難者の人数数え間違いをした時の担当者が、今日、この場にどうしても来ることができない。

福田弁護士:そのことではなく、包括的に「避難者」というものの定義を求められているのに、その答えを準備せずにここに来ているのか?

回答:先に回答したように、避難者を網羅的に調べることは非常に困難なので、全体像を把握することは難しい、個人の意識にかかわる問題でもあるので、定義は難しいと考えている。

再度の追究
 「個人の意思の網羅的な確認は難しい」との答えだったが、被害者は皆、その確認を政府が実施しに来るのを、この5年間、ずっと待っている。政府または政府の代理の人が各戸を訪問して、被害状況や思いを聞き取りに来てくれるのをずっと待っている。それは、避難者だけでなく、避難しなかった人も含めて、同じだ。「難しいからできない」という理由では納得できない。それは、福島県だけでなく、原発事故被害だけではない。宮城県や岩手県の地震・津波被害の人達も、いわゆる「被災3県」に「入らなかった被害者も同じだ。今からでも、被害の実態調査、被害者の意向調査を実施してほしい。

 「個々の事情を網羅的に確認できない」というからには、「個々の事情を網羅的に確認しないと把握できないのが避難者だ」という定義があるはずだ。各政策が必要な対象人数を把握するためには、避難者の定義が存在するはずではないか?

回答 各施策を進めるにあたって、様々な機会と方法をとらえて、対象人数を把握している。「避難者全体の定義」はなくとも施策を作り、実行することはできる。

再度の追究:
やはり、「避難者の定義」は必要だ。政治で行ってほしい支援策はたくさんあるのだが、いざ、「こういう事をしてほしい」と提案すると、「それが必要な人はどれくらいいるのか?」と行政側に逆に質問されるのが現状。それは、私たちでは調べることができないので、実施してほしい施策を提案することができない。だから、政府・行政に実態を把握してほしい。全体像の把握は必要だ。

FoEjapan満田さんから指摘:先ほどの福田弁護士の話の中で触れた、平成26年8月4日に出された「避難者数調査における避難者の定義の留意事項」という文書の中には、「避難者として数える人」の条件として、「前の住居から移ってきて、前の住居に戻る意思を有する者」という定義があるらしい。まずは、その文書を出してほしい。避難者の皆さんは、その定義では納得できないと思うが、その文書を出すところからしか、話は始まらないと思う。

回答 当時の担当者がこの席に来ていないので、詳細は分からない。

追究:その文書を出して(公表して)下さい。

(以下、質問項目⓷~⓺については、既に予定していた時間を超過していたこともあり、まとめて回答を出してもらい、問題と感じる部分を本会側が追究する形になりました)

 昨年改定された原発事故子ども・被災者支援法基本方針で、支援対象地域は『新たに避難する状況にない』としたが、これはどのような根拠で、いかなるプロセスで決められたのか。また、その記録の所在はどうなっているか。この認識には、避難者も含む被災当事者(自治体ではなく)の認識はどう反映されているか。また、原発事故汚染による、「人権としての避難の権利」についての認識はあるか。

回答 プロセスは、来年度から「復興創生期間」が始まることから、見直しを決めた。様々な意見を聞く機会を作り、その意見を踏まえて「避難する状況にはない」という表現を「新たに避難する状況にはない」という表現に変えた。

 原子炉の燃料棒があるべき場所にないことが、昨年のミューオン測定で明らかになった。その知見を含めて、事故によって環境中に放出された放射性物質の核種と量を再度推計する再試算はどうなっているか。無いのであればなぜ再計算しないのか。

回答(規制委員会):将来的に再推計をする可能性はあるが、現時点では再推計をする意思はない。

 追加被曝線量年1~20ミリシーベルトの環境に生活している住民に、健康影響が出ないとする科学的根拠はなにか。チェルノブイリ原発事故被害の知見を踏まえた科学的根拠を示せ。

回答:広島・長崎の原爆被害者を長期間観察した研究によれば、放射線被曝の発がんリスクは100mSvを越えなければ、他の要因に埋もれる程影響が小さいことが世界的な認識である。長時間で100mSv被曝した場合は、作業等で短時間に100mSv被曝した場合に比べて健康影響が少ないことが推計されている。チェルノブイリ原発事故の場合、福島原発事故に比べると住民の被曝量が多かったことが20年間の調査でわかっている。チェルノブイリ原発事故後の小児甲状腺がんの多発は、放射性ヨウ素が大量に含まれた牛乳を飲んだことが原因だと推定されるが、日本ではそのような事は起きていない。福島原発事故では、被曝量が100mSvを超える者がいなかった。以上の事から、福島第一原発事故では、チェルノブイリ原発事故に比べて小児甲状腺がんの発がんリスクは小さいと思われる。

 除染廃棄物の保存、移動、処理について、当初の計画が完全に破綻している。現段階の除染廃棄物に関する具体的で達成可能な計画はどうなっているか。

回答(環境省):福島県内では、仮置き場に除染廃棄物を補完する期間が計画よりも延長していて、住民の皆さんらにご心配をかけている。引き続き、可能な限り迅速な中間貯蔵施設の整備、安全な輸送等に全力を挙げて取り組んでいく。

追究:⓷と⓸について。なぜ、再推計しないのか、理由がわからない。再推計しないと、どの核種がどれだけ外部に出たのかわからないので、被曝量の推計ができない。さらに、子どもの甲状腺スクリーニング調査を、故意に1080人で止めた、止めるように指示したので、子どもの甲状腺被曝量が分からない。それから、広島・長崎のデータをいまさら持ち出しているのは日本政府ぐらいで、どんどん新しい論文・知見が出てきているのに、広島・長崎のデータを使っているのは日本の内閣の鑑定原子力災害専門家グループの長瀧重信氏や山下俊一氏のような人たちだけだ。学会でも少数派で、それをバックアップしているのが、日本政府だ。また、原子炉内に燃料棒がないと分かったからと言って再推計する意思がないのは分かったが、なぜ再推計しないのか。

回答:ミューオン計測で分かったことは、燃料棒が本来あるべき場所になかったであって、建屋から外に放射性物質が飛散したことではない、承知している。元々の東電のパラメーターで試算した際には、放出値の推計量に大きな幅ができた。セシウムで言うと、1万倍程度。そういう推計では使えないので、再推計はしない。

追究:元々、建屋から外に出た放射性物質の量には大きな違いがない、という結論ありきの理論にしか思えない。

回答:今後、ずっと再推計しないと言っているのではない。今は、結果に大きな幅が出る(実用的でない)再推計を行わないと言っているだけだ。

追究:放出された放射性物質の再推計をしない状態での帰還はあり得ない。原発の燃料だった物質がどこにどのような形で、どれだけ存在するかわからない状態では、危険性の判断もできない。しかも、原発敷地のすぐそばまで帰還させる計画になっているが、放射性物質の塊がどこにあるかさえ分からない状況では、いざ、何かがあった時には避難する時間的余裕も避難の方法も無い。帰還はあり得ない。

回答⓺への追究
 環境省への質問だが、先ほどの回答には数字(いつ、元の状態に戻せるのか・量など)が一切なかったので、数字を入れて答えてほしい。また、福島県内で各家庭の敷地内に「保管」されている除染廃棄物をどうするのかも答えてほしい。

回答(環境省):工程表を作って推進するように努力している。各家庭の敷地内に置かれているものについても、全て中間貯蔵施設に運び込む予定で、細かい方法や時期については、各市町村と打ち合わせながら進めていく。

追究:それでは、事故前の状況に戻す事は出来ない。事故前の状況に戻したところで、「安全になったから帰還」という順序で話すべきなのに、燃料棒だった物質がどうなっているかわからない状況で帰還、というのはあり得ない。「復興創生期間」などというのは、勝手に政府が決めた政治的な日程で、燃料棒だった物質はそんな政治的日程とは関係なく存在し、動く。政府には、その核物質を制御することなどできていない。

中手共同代表:時間の割り振りが上手くできずに、大分時間を超過した。(この時点で、予定終了時間を30分超過)しかし、私たちにとっては、どの問題も優先順位を付けることができないほど、重要な問題ばかりだ。もとより、1回の話し合いで決着がつくと思っていなかったので、勝手に「第1回政府交渉」と「第1回」と付けさせてもらったが、今後もこのような話し合いに(政府側も)協力してほしい。
ただ、それでも、今日中にこれだけは、ということがあれば、そこだけはもう少しお付き合いください。

FoEjapan満田さん:低線量被曝の害に関する新しい論文は、次々と大量に出されている。(政府側は)それを読まないようにしているのだと思うが、後で論文のリストを渡すので、参考にしてほしい。チェルノブイリ原発事故に関する健康影響も「平均何mSv」というものだったが、ウクライナとベラルーシの公式報告書をきちんと読めば、どれだけの線量でこれだけの被害というものが、もっと詳しく出ているので、きちんと読んでほしい。かたくなに事故の影響を否定するのではなく、他の人や団体からの意見も参考にしてほしい。当然のことを確認するが、被曝に関しては、しきい値なしの線形モデル(被曝はごくわずかなものであっても健康に影響があり、被曝量の増加に比例して健康影響が増加する、という考え方)が世界で唯一の考え方だし、広島・長崎の長期観察の結果もそれを裏付けるものになっている。「100mSv以下の被曝でがんリスクの増加は見られない」というのは間違いだ。低線量被曝に関する研究や論文は、この2年間だけでも、かなりの数が出されている。リストを送るので、是非目を通してほしい。

Posted by 大沼安史 at 02:29 午後 |