〔 3・11 間もなく五周年 〕◆ ある夕暮れ、最後まで上がらない息子の遺体を探して、ひとり海岸を歩く若い父親に、息子の声が聞こえてきた。「お父さん、ぼくは出ていかないからね。ぼくが出ていけば、お父さんはそこで死ぬ気でしょう」 ――
雑誌「世界」の最新号の対談で、宗教学者の山形孝夫先生が、その若い父親から聞かされた話を語っていた。
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山形 仙台に、妻と娘と息子の三人を災害(津波)で失い自分だけ生き残った若い父親がいます。妻と娘の遺体はわりと早く上がったが息子の遺体が見つからない。会社も辞め、毎日毎日、息子の遺体を探し歩いたそうです、
……ところが、ある日の夕暮、長い棒とスコップを持って海辺を探し歩いていると、風の中に「お父さん、ぼくは出ていかないからね」という息子の声が聞こえてきた。
そして、「ぼくが出ていけば、お父さんはそこで死ぬ気でしょう」と。
そのときハッと気づいたのだそうです。息子は父親が自分を見つけたらその場で死ぬ覚悟であることを知っていて、「だからぼくは決して出ていかないよ」と言ってるいるのだと。
それが風の中にはっきり聞こえたというのです。……
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★ 生者と死者の交霊。
もっともっと公に、語られるべきことだ。

Posted by 大沼安史 at 02:02 午後 | Permalink

















