〔フクイチ核惨事の真相 田辺文也さんが事故を分析し、東電の重大な操作手順ミスを指摘〕◆ 「もし手順書がないがしろにされず、適切に参照されていたならば」……2・3号機、炉心溶融回避の可能性 フクイチ事故は1号機からの放射能放出にとどまり(10分の1で済み)、「未だ10万人以上の人が避難を余儀なくされる事態にはならなかった」
★ 「急性ベント病」 ともいうべき思い込みが、破局的な惨事を招いていた!
*
〔★は大沼〕
★ 原子炉事故解析の専門家、田辺文也さん(社会技術システム安全研究所主宰)が、雑誌「世界」(岩波書店)の3月号(連載「解題『吉田調書』」、第9回)で、上記のような指摘をしている。
(東電が「手順書」をしっかり見て、落ち着いて対応していれば、フクイチ核惨事は1号機溶融だけで済んだ可能性が高い、という指摘である)
*
★ たとえば、3号機――。
2011年3月13日午前5時過ぎ。
東電テレビ会議の記録によれば、東電本店とフクイチとの間で、こんなやりとりが交わされている。
*
本店 「(7時半から炉心損傷、9時半に炉心溶融との見通し報告を受け)…それまでに格納容器圧がラプチャーまで達さなければベント前に炉心損傷ということになっちゃうんだね……いま、やりにいかないとまた、線量が上がると1号(機炉)の二の舞だからとにかく開けるんだな、バルブ。……)」
本店高橋フェロー 「7時半、それまでにバルブを開けにいかなきゃだめだよね? だから線量あがっちゃうから。じゃ、もうさっさとやるんだ?」
吉田所長 「もう、やろう」
本店 「やりましょう」
吉田所長 「……ラプチャーオンリーにする操作に入りましょう」
1F 「はい」
*
田辺さんによると、ドライウェル圧力は5時10分現在で、244kPa〔g〕で、ラプチャー破裂圧力の427kPa〔g〕にはまだ余裕があり……本来なら〔手順書にある通り〕格納容器ベントではなく、主蒸気逃がし安全弁を開き、原子力圧力容器の水蒸気を圧力抑制室プールに逃がす急速減圧の操作をして、ディーゼル駆動消火ポンプを使って原子炉に注水すべき時間帯だった」にもかかわらず、東電は「安全確保のための対応とは逆の倒錯した姿勢」に陥り、ラプチャーディクスが破裂してベントが始まるよう格納容器内の圧力が上昇することに期待をかけてしまった。
田辺さんはこう書いている。
◆ 「……1号機の水素爆発を防げなかったというトラウマにとらわれたためか、東電及び保安院は、あたかも格納容器ベントが自己目的化して、いわば急性ベント病とでも呼ぶべき思い込みにとりつかれてしまったかのようなふるまいをしている」
◆ 「……ずるずるとベント操作を続けることで『やむを得ない』とはいえない状況において放射能封じ込め機能を破るという安全原則に反する『やってはいけない』操作に努力を傾注していたのである」
*
★ 田辺さんの解析で、東電と保安院が、そろいもそろって事故処理を誤まり、破局的なトリプルメルトダウンを招いていた疑いがますます明確なものになって来た。
国会、あるいは司法当局は、この観点から、フクイチ事故を総点検・そう検証すべきではないか?
*
★ 田辺さんは「なかでも、手順書と照らして事故時に実際にとられた判断と操作が適切であったか否かを詳細に分析することは自己分析の王道の出発点であるにもかかわらず、そのことにことさら触れようとせず沈黙が支配していること自体が異様な光景である」と指摘している。
フクイチ事故時の対応にも、その後の事故調査にも闇の部分が多すぎる!
フクイチ5周年――。このままウヤムヤにすることは許されない。
*
◎ 関連 本ブログ 参考
◇ 2016-01-16〔フクイチ核惨事 炉心溶融はなぜ回避されなかったか?〕◆ 東電、「徴候ベース手順書(初期の事故対応を定めた)」だけでなく、事故が深刻化したあとの対応を定めた「シビアアクシデント手順書(AMG)」も「ないがしろ」にしていた可能性! ―― 「吉田調書」で「(AMCを見たとこか、参考にしたことは)まったくないです」と吉田所長が明言! 「対策本部」が「参照した」との記述も「政府・東電事故調」報告になし! ★ 東電、「手順書ダブルないがしろ」の疑い!
⇒ http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2016/01/post-6be3.html
*
◇ 2015-11-29〔フクイチ核惨事 キノコ雲爆発を起こした「MOX3号機」の炉心溶融は、東電が「事故時運転操作手引書(徴候ベース)」の指示にしたがっていれば、回避されていた可能性が高い〕◆ それも回避のチャンスは1回きりではなく、2度も! (◆ 2号機ではなんと3度も!) 田辺文也・社会技術システム安全研究所所長(工学博士)が突き止め、雑誌『世界』で発表! / 「東電……事故対応の(……)徴候ベース手順書の役割を理解していなかったことがうかがえる」と厳しく批判! 「役者が台本を無視し、アドリブを連発して、舞台を台無しに」
⇒ http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2015/11/post-fbca.html
*
◇ 2015-12-18〔フクイチ核惨事 2号機「逃し弁」問題〕◆ 東電が、なぜかいまごろ「分析」結果を発表 ―― 2号機のメルトダウンを「逃し弁」の部品劣化問題に矮小化するとともに、2号機・炉心損傷開始を「3・15午前1時以降」まで先送り??? 田辺文也さんの解析では、2号機でも「徴候ベース手順書」に従い対応していれば、炉心溶融回避の可能性! ★ 東電は対応ミスを「逃し弁」のせいにしている? 国会は第二事故調を設置し、徹底検証を行なうべきだ!
⇒ http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2015/12/post-3d74.html
Posted by 大沼安史 at 06:22 午後 | Permalink

















