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2015-11-29

〔フクイチ核惨事 キノコ雲爆発を起こした「MOX3号機」の炉心溶融は、東電が「事故時運転操作手引書(徴候ベース)」の指示にしたがっていれば、回避されていた可能性が高い〕◆ それも回避のチャンスは1回きりではなく、2度も! (◆ 2号機ではなんと3度も!) 田辺文也・社会技術システム安全研究所所長(工学博士)が突き止め、雑誌『世界』で発表! / 「東電……事故対応の(……)徴候ベース手順書の役割を理解していなかったことがうかがえる」と厳しく批判! 「役者が台本を無視し、アドリブを連発して、舞台を台無しに」

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 ★ 東電はフクイチという舞台を台無しにしたばかりか、この国の、かけがえのない大地と海を汚染してしまった!

 ★ この台本(操作手引書)違反容疑は、東電の刑事責任(業務上過失〔死〕致傷)を問うものではないか!

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 〔★は大沼〕  ◎ 雑誌『世界』(12月号)、田辺文也さん、「解題『吉田調書』」(第7回)より。
 ⇒ https://www.iwanami.co.jp/sekai/

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 ★ (スリーマイル島原発の事故進展プロセスの解析、JOC臨界事故の原因分析にも携わったことのある)田辺文也さんによると、3号機の炉心溶融を回避するチャンスは2度、あった。

 【最初のチャンス】 ―― それは2011年3月12日午前11時13分にやって来た。

 この時点で――「それまで停止していたディーゼル駆動消火ポンプが、設置場所のタービン建屋消火ポンプ室で運転員が制御盤の故障復帰ボタンを押すことにより、自動起動」したのだ。

 これは運転員が「格納容器下部のドーナツ型をした圧力抑制室に水を吹きかける(スプレイする)ことを意図して」行なったものだが、一部の弁を開閉することで格納容器スプレイから(なんと)「原子炉注水」へと切り替えることが可能だった。

 この段階(格納容器内の圧力が高まっている段階)で、かりに東電が「事故時運転操作手引書(徴候ベース)」の指示に従っていれば、(低圧でも冷却水を注水できるようにする)「急激減圧」の手順に移行できたはずだ。

 「急激減圧」では、原子炉減圧のために主蒸気逃がし安全弁を開く操作が必要だが、この時点でバッテリー残量は充分あった可能性が高く、3号機の炉心冷却は確保できた可能性もまた高い――。

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 【2回目、最後のチャンス】 ―― 2回目のチャンス、最後のチャンスは、最初のチャンスの9時間17分後にやって来た。

 12日午後8時30分――。

 3号機原子炉の水位計測用のバッテリー残量がなくなり、原子炉の水位が不明となったときである。

 徴候ベースの手引書によると、こうした水位不明の状態に陥った場合、高圧注水系が作動しているならば(この時点では作動していた!)、「急速減圧」の手順に移行するよう求めている。

 そしてその「急速減圧」手順が要求する代替低圧注水系として、(最初のチャンスをもたらした)ディーゼル駆動消火ポンプが自動起動していて、使用可能だった!

 となると、あとは主蒸気逃がし安全弁を開けばよいが、この時点では(最初のチャンスと違って)バッテリー残量は枯渇していたとみられるものの、車のバッテリーを10個直接につなぐなどすれば、安全弁の操作は可能で、炉心冷却を確保し、溶融を回避できた可能性は高い。

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 ★ 2号機での3回にわたるチャンスを生かせなかった経過については、『世界』掲載の、田辺文也さんの検証報告にあたっていただきたいが、東電が徴候ベース手順書というものがありながら、それに準拠した対応に進まずに、結果的に炉心溶融を引き起こした責任は大きい。

 田辺文也さんは、結論としてこう書いている。

 「3号機も2号機も、本来なら炉心損傷を防ぐことを目的として、低圧で冷却水を注入する対応を実行するために原子炉圧力容器の圧を下げる急速減圧操作をしなければならない時間帯に、炉心損傷後の深刻な事態の進展を緩和することを目的に実行する格納容器ベントを進める作業に集中してしまった。これは手順書を逸脱する行為であった。事故収束のシナリオを壊してしまったのである」

 「演劇に喩えるなら、役者が台本を無視し、アドリブを連発して、舞台を台無しにしてしまったのである。このことは、福島第一原発事故の当事者たちがスリーマイル島原発事故の失敗から学んだ〔「事故時運転操作手引書(徴候ベース)」という〕人類の英知を活かそうとしなかったこと、そして、それが事故を深刻化させたことを示している」

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 政府・国会はフクイチ事故調を再開し、再検証に努めるべきだ。

 それにしても、田辺さんのこの解析は、東電の事業者責任を問うものとして、さまざまな対東電訴訟にも大きな影響を及ぼすことは必至である。

 フクイチから学ぶことなしに、原発を再稼働するなど、もってのほかだ。

Posted by 大沼安史 at 06:01 午後 |