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2015-10-05

〔フクイチ核惨事 被曝地での低線量被曝 「ネーチャー」誌〕◆ 「フクイチから数十キロ圏内に暮す人びと(living within a few tens of kilometres of the damaged Fukushima nuclear reactors)」などが被る「低線量被曝のリスク」をハッキリ突き止める!(pin down!)/ 「かすかな被曝でも白血病リスクを増大」(even tiny doses slightly boost risk of leukaemia) 

◆ 「ネーチャー」誌が、大がかりな国際疫学研究の結果を、世界に告知報道!

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★ 安部政権は帰還政策を撤回し、被曝地からの移住支援など救済策に即刻乗り出すべきである!

 

 ★ このコホート研究について、デンマークがん学会研究センター(コペンハーゲン)の所長である疫学者のJørgen Olsenさんは、極めて低線量の電離放射線に被曝してきた人々に関する、厳密で、かつてないほど大規模な調査」(It is a solid, unusually large study of individuals exposed to very low doses of ionizing radiation.)としている。

 こうした、かつてないほど大掛かりな疫学調査で、低線量被曝による白血病のリスクが増大することが確認されたわけだが、ネイチャー誌は、それどころか(低線量であっても、被曝線量とその影響の発生率が比例する)「線形関係」の存在が示された(低線量被曝においても「直線しきい値無し(LNT)仮説」が確認された)と、今回の研究結果の画期的な意味を指摘している。

 The study confirmed that the risk of leukaemia does rise proportionately with higher doses, but also showed that this linear relationship is present at extremely low levels of radiation.

 これは、「基準以下の被曝であれば、無害かもしれない」という一般の人びとの考えをぶち壊すものだ」と。

 But it scuppers the popular idea that there might be a threshold dose below which radiation is harmless — and provides scientists with some hard numbers to quantify the risks of everyday exposures.

 つまり、今回の大規模研究で「低線量安心神話」が崩れ去ったといっていい。

 この結果を踏まえ、米国の被曝問題ジャーナリストのRobert Hunzikerさんは、日本の安倍政権が高濃度被曝地へ住民を帰還させている問題に警鐘を鳴らしている。
   ◎ カウンターパンチ誌 : Radiation Impact Studies – Chernobyl and Fukushima
 (9月23日付け)⇒ http://www.counterpunch.org/2015/09/23/radiation-impact-studies-chernobyl-and-fukushima/

 「完全にアウト・オブ・コントロールした核の重大メルトダウンがなおも続いているにもかかわらず」、安全だと言って、帰還を強いていることを批判しているのだ。

 Japan’s Abe government has started moving people back into former restricted zones surrounding the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station even though it is an on-going major nuclear meltdown that is totally out of control.

 こうした研究結果が出た以上、安倍政権は帰還一辺倒の政策を抜本から見直すべきである。

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 〔★は大沼〕 ◎ Nature | News : Researchers pin down risks of low-dose radiation / Large study of nuclear workers shows that even tiny doses slightly boost risk of leukaemia
 (2015年6月30日付け、7月8日修正)
   ⇒ http://www.nature.com/news/researchers-pin-down-risks-of-low-dose-radiation-1.17876

 ◎ 同日本語版 : 低線量被曝のリスクが明確に / 低線量の被曝でも白血病のリスクがわずかに上昇することが、30万人以上の原子力産業労働者を対象とする大規模疫学調査により示された。
 ⇒ http://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v12/n10/%E4%BD%8E%E7%B7%9A%E9%87%8F%E8%A2%AB%E6%9B%9D%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%81%8C%E6%98%8E%E7%A2%BA%E3%81%AB/68002

 ・ 研究者らは数十年にわたり、低線量放射線被曝のリスクを定量化しようと試みてきた。

 低線量放射線とは、放射線検査を受ける患者や医療従事者、2011年に事故を起こした日本の福島第一原子力発電所から数十km圏内で暮らす人々などが受ける程度の電離放射線(原子や分子から電子を引き離し、DNA鎖を切断することができる放射線)のことである。

 低線量放射線が健康に及ぼす影響は非常に小さく、あったとしても、辛うじて検出できる程度である。このほど、長期にわたる低線量被曝が白血病のリスクをわずかに上昇させることが、国際的な大規模疫学調査によりはっきりと裏付けられた。この成果は、7月21日にLancet Haematol.に報告された(K. Leuraud et al. Lancet Haematol. http://doi.org/5s4; 2015)。

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 ・ 国際がん研究機関(IARC;フランス・リヨン)が組織したコンソーシアムによる今回の調査では、まさにそうした大規模なデータが得られた。コンソーシアムは、バッジ式線量計を着けて仕事をしていたフランス、米国、英国の計30万人以上の原子力産業労働者について、その死因を検証し(研究の時点で対象者の5分の1が死亡していた)、最長で60年に及ぶ被曝記録との相関を調べた。

 ・ 宇宙線やラドンによる環境放射線量は年間約2~3ミリシーベルト(mSv)で、対象となった原子力産業労働者たちは年間でこの値より平均1.1mSvだけ多く被曝していた。今回の研究によって、被曝線量が高くなるのに比例して白血病のリスクが上昇することが裏付けられたのと同時に、極めて低い被曝線量でもこの線形関係が成り立つことが証明された(ただし、白血病以外の血液がんについては、被曝線量の増加とともにリスクが上昇する傾向はあったものの、その相関は統計的に有意ではなかった)。
  
 ・ 今回の調査対象となった30万人以上の労働者のうち531人が白血病で死亡しており、彼らの平均勤続年数は27年間だった。このうち30人は急性リンパ芽球性白血病で死亡していたことから、放射線被曝によるものと示唆される。

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◎ 論文 Ionising radiation and risk of death from leukaemia and lymphoma in radiation-monitored workers (INWORKS): an international cohort study
 ⇒ http://www.thelancet.com/journals/lanhae/article/PIIS2352-3026(15)00094-0/abstract

Posted by 大沼安史 at 05:31 午後 |