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2015-05-22

〔夕陽村舎日記〕◆ 平和の希望の水源は……そこに

 軽い風邪をひいて、昨日は一日、臥せっていた。

 夜、テレビ局の電話インタビュー。

 食後、横になって、福島・郡山出身の作家、古川日出男さんの『馬たちよ、それでも光は無垢で』 (新潮社)を読んだ。

 「3・11」後の浜通りを訪ねた、現地・幻想ルポ!

 自分が書いた過去(の原稿)を、いまの経験から、書き改めてゆく古川さんの方法(=遡行)には、いろいろと、教えられた。

 フクシマについて書かれた欺瞞の言説は、遡って正されなければ、欺瞞のフクシマは、「東北」の「正史」として、わたしたちの心を占拠し続けるだろう。

 そうさせてはならない――と思った。

 郡山を本籍とする、わたしとしても。

          *

 たとえば、「食べて応援」である。

 どこのだれが、そんなキャンペーンを始めたか?

 フクイチの事故責任の追及とともに、この問題の追及も、いずれ始まることだろう。

 史上空前規模の損害賠償訴訟にも発展するのではないか。

 そのためにも、わたしたちは「食べて応援」が生まれた場所(あるいは意識・思惑)へと遡行しなければならない。

 その――たぶん、東京のビル街の、「会議室」の現場に。

          *
 
 今朝は体調もだいぶ回復し、お昼に、ダライラマさんの「原子のなかの宇宙」という本を読み了えた。

 フクシマを考えるために読み始めた本だった。

 いろいろ、教えられた。

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 午後、積ん読(どく)の層のなから、小島恒久さんの歌集『晩祷』を取り出して読み進んでいうるうちに、あの広田弘毅さんの静子夫人が、夫の後顧の憂いなきよう願って、自死を遂げていたことを知って、愕然とした。(前掲ブログを参照)

 呆然とした。

 前に読んだ、城山三郎さんの『落日燃ゆ』にもたぶん書かれているはずだが、わたしは、(たぶん読み過ごして)その事実を、知らなかった!

          *

 そういう愛情の深さのあることを、わたしは知らなかった。

 涙が流れた。

          *

 昨日は最高気温と最低気温の差が20度もあった。

 今日は朝から快晴。

 夕方からの畑の水やり作業は1時間半かかるが、うれしい。

 枯れかけていた果樹も、元気を取り戻してくれた。

 わたしが竹酢入りの水をかけてやると、喜んでくれる。

 植物たちが待っている。だから、うれしい。

 これもまた、ダライラマさんの言う「コンパッション」であろう。

          *

 水やりはやはり、けっこう体にこたえるので、新藤兼人監督のあの『裸の島』のテーマ音楽を「バアア~、バアア~」と歌いながら、景気をつけて作業している。

 水のない瀬戸内の小島の畑仕事と比べれば、こんなもの、たいしたことではない!

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 ところで、ブルック・ベントンさんの、Still Waters Run Deep という歌がある。

 広田弘毅さんと静子さんの心のつながりを――その愛情の深さを思わせる歌だ。(歌詞は ⇒ こちら

 静子さんに励まされながら、広田弘毅さんは、戦後の日本の平和を願い――大いなる愛をもって逝ったに違いない。

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 その二人の思いに遡行し、そこからわたしたちは、新しい、深い流れを生みださねばならない。

 そこにも、わたしたちの、平和の希望の、たしかな水源が、ある!

 愛を広げる、コンパショネイトな、澄み切った水源が、そこにある!

Posted by 大沼安史 at 03:45 午後 |