〔あじさいコラム〕 ◆ STAPは喜びの中で
小保方晴子さんが理研を退職することになった。
再出発である。
新しい環境で、清新な世界で、STAPの実用化へ向け、挑戦を続けてほしい。
STAPの真実性を、自分のいのちを賭して擁護した、あの方のためにも、研究生活を続け、安らかな心と喜びの中、STAPのいのちを生み出してほしい。
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ここで再度、あの、ジャック・ベンヴェニストさんの「水の記憶」の発見の物語を、あなたに知ってもらいたい、新たな「後日談」を含め、書いておく。
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水は、除去されたアレルギー抗原を記憶している!
そんな「水は記憶する」論文を「ネイチャー」誌に発表した1988年当時、フランス国立保健医学研究所(INSERN)の研究ディレクターだったジャック・ベンヴェニストさんは、すでに世界的な免疫学者だった。
「ネイチャー」誌は、そのベンヴェニストさんの論文であることもあって、論文掲載に応じたが、掲載の条件として、外部の識者チームによる、INSERNの現場での再検証を求めた。
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再検証でINSERNに3人の識者チームが乗り込んだ。
ひとりは「ネイチャー」誌の編集長、もう一人は捏造バスターの研究家で、最後のひとりは――なんとマジシャンだった。
そして、実地の再検証の結果、「水の記憶」は「クロ」と判定され、「ネイチャー」の新しい号で発表された。
ベンヴェニストさんは、世界的な嘲笑とバッシングに曝され、INSERNを辞めざるを得ない状況に追い込まれた。
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ベンヴェニストさんはそれでも「水の記憶」の正しさを繰り返し、証明し、訴え続けた。
それに対して、そういうことはあり得ないという、否定の反証もまた繰り返し提示された。
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「発見」から10年、「水の記憶」論争に決着をつけようと、仏伊蘭ベルギー4ヵ国の研究チームが発足した。
英国(北アイルランド)のベルファストからもマドレーヌ・エンニス教授(Professor Madeleine Ennis of Queen's University Belfast )が参加した。
意図的なデータ操作など絶対にあり得ない完璧な態勢で、追試した結果は――――ベンヴェニストさんの「発見」を完璧に裏付けるものだった。
エンニス教授の結果を聞いて、ベンヴェニストさんは、クールにこう語ったそうだ。
「12年前、わたしたちがたどり着いたところに、ようやくたどり着いただけだ 」
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ベンヴェニストさんのケースは、科学の常識をゆるがす発見はバッシングを浴びるのが常で、認められるまで時間がかかることを例証するものだが、ここで小保方さんに知ってもらいたい後日談とは、実験に携わる人間の意識と結果の関係に関するものである。
ベンヴェニストさんはあまりに世間が認めてくれないものだから、誰がやっても同じ結果が得られるよう、実験を全自動化したのだ。
おかげでその装置を使えば、誰がやっても結果を出せるところまで行ったが、ある時、おかしなことが起きたのだそうだ。
ある特定の人が装置を動かすと、なぜか結果が出ない、変な現象が起きたのだ。
いくら手順通り、ただしく行っても。
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これはどうしたわけか?
ここからはわたし(大沼)の素人考えにもとづく(勝手な、しかし確信ある)推測だが、たとえ実験を自動化しても、装置を動かす人の意識状態によっては、結果が出ないことも大いにありうる、ということだ。
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監視カメラが設置され、「立会人」のいる実験室で、期限をきられ、上司が自死する、追い込まれた精神状態の中で、落ち着いた心で実験に臨める人は、いない。
いるはずがない。
おまけに小保方さんの周りには、猜疑心が山とそびえていたはずだ。
そんな環境で、誰が平静でいられよう。
理研の外部から押し寄せる想念の波のようなものさえ、孤立した彼女の心を襲い続けたはずだ。
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ましていわんや、STAPとはいのちの可能性の問題。
STAPのいのちは、小保方さんに、こんなところじゃいやだ、まっさらな新しい環境のなかで自分を生んでほしいと願ったのではないか、とさえ思えてくる。
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小保方さんの、こんごの活躍を心の底から祈っている人は多いはずだ。
あの記者会見の涙の真実を知っている人はみな祈っている。
その祈りに心を響かせ、新しい研究環境で心静かに実験に取り組めば、STAPはこんどこそ、あなたを通じ、わたしたち人間のために微笑んでくれることだろう。
小保方晴子さんの次なる挑戦の成功を祈る。
Posted by 大沼安史 at 06:03 午後 | Permalink