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2014-09-12

[あじさいコラム]  知らないで逃げた、では済まない

 今朝(12日付け)の朝日新聞には驚かされた。「吉田調書」報道の中の、「命令違反し撤退」部分を取り消し、木村社長が謝罪していた。

 5月20日付けの朝刊で「東電社員らの9割にあたる約650人が吉田所長の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発に撤退した」と報じていたことについて、<「命令に違反 撤退」という記述と見出しは、多くの所員らが所長の命令を知りながら第一原発から逃げ出したような印象を与える間違った表現のため、記事を削除した> ………と。

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 違和感を感じた。

 吉田所長はたしかに、フクイチの職員に現場での退避・待機命令を出していたのだから、第二原発への撤退は、所長命令に反する、命令違反の撤退ではないか。

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 それと、もうひとつ。

 朝日新聞は、「多くの所員らが所長の命令を知りながら第一原発から逃げ出したような印象を与える表現」だったことを謝罪しているが、所員らは、現場の最高指揮者である吉田所長の判断をたしかめず――ということは吉田所長に許可を求めず、勝手にフクイチから逃げ出したわけだから、服務規則(命令)に違反する行為であることに変わりはない。

 この「所長の(待機)命令を聞かずに撤退」は、ある意味、「所長の命令を知りながら撤退」以上に問題である。

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 また、朝日新聞の謝罪記事によれば、「調書」には、<吉田所長が、福島第二原発へ退避した所員の行動を「はるかに正しい」と評価していた部分>があり、5月の報道では、これを欠落させていたという。

 この吉田所長の「はるかに正しい」発言にしても、「被曝から自分の身を守る上では」といった条件づきの、含みを感じる表現である。

 吉田所長自身の中にも、「はるかに正しい」現場を離脱したい思いが、生身の人間として、あったはずである。

 そんな被曝死を恐れる思いを抑えながら、核惨事のエスカレートを抑え込むため、吉田所長は全所員に現場での退避・待機命令をかけ、「フクイチの破局への暴走」と最後まで闘おうとしていたのではないか。

 そして――後ろを振り返ったとき、残っているものは、いわゆる「フクシマ50」にすぎなかった!

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 あのとき、フクイチの全所員に求められたのは――現場駐在の保安院の職員らにも求められていたのは、原発所員として吉田所長の指揮命令、服務規則に従い、いったん持ち場を退避しても現場に残り、フクイチを死守することだった。

 それでも、現場を放棄することがあるとするなら、それは吉田所長から「撤退命令」が出たときに限られよう。

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 それとも………東電の原発服務規則には、「原発事故の際は各自、勝手に現場を放棄し、遠くへ避難しても構わない」と書いてあるのだろうか?

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 それに、あのとき、吉田所長は「第二原発への撤退命令」は出していなかった!

 にもかかわらず――吉田所長が出していた「待機命令」をたしかめもせず、さっさと第二原発へ逃げ出したことは、たとえパニック行動であったとせよ、やはり問題である。

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 知らないで逃げた、では済まない。

 逃げたこと自体が――原発を死守し、メルトダウン事故の放射能禍から国民・国土を守るという、原発運転者への「絶対命令」に違反することである。

Posted by 大沼安史 at 08:44 午前 |