〔フクイチ・トリチウム被曝〕 ★ 「太平洋スルー大放出」の「トリチウム」 その「生物影響」は?――<動物実験で造血組織を中心に障害を生ずることが明らかにされ、ヒトが長期間摂取した重大事故も発生している> / 「高度情報科学技術研究機構(RIST)」が解説!
★ ALPSでも除去できないトリチウムを超長期にわたり、しかも膨大に、(とくに)汚染水のかたちで太平洋に大放出を続けることは、人類的なリスクをともなうことではないか!
★は大沼 ◎ ⇒ http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-02-02-20
◎ RIST ⇒ http://www.rist.or.jp/index.html
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* ……核実験や原子力施設などから主としてトリチウム水(HTO)の形で環境に放出され、生物体へは比較的簡単に取り込まれる。ヒトの体重の60~70%は水分で、個人差はあるが、女性よりも男性、老人よりも若者、太った人よりも痩せた人の方が含水量が多い傾向にある。
* 飲料水や食物から摂取されたトリチウム水は胃腸管からほぼ完全に吸収される。
* トリチウム水蒸気を含む空気を呼吸することによって肺に取り込まれ、そのほとんどは血液中に入る。血中のトリチウムは細胞に移行し、24時間以内に体液中にほぼ均等に分布する。
* トリチウムは皮膚からも吸収される。
* 最近問題になっているのは有機成分として取り込まれた場合の有機結合型のトリチウム(OBT:Organically Bound Tritium)で、一般に排泄が遅く、体内に長く留まる傾向がある。トリチウムは水素と同じ化学的性質を持つため生物体内での主要な化合物である蛋白質、糖、脂肪などの有機物にも結合する。経口摂取したトリチウム水の生物学的半減期が約10日であるのに対し、有機結合型トリチウムのそれは約30日~45日滞留するとされている。
* トリチウムのβ線による外部被ばくの影響は無視できるが、ヒトに障害が起きるのはトリチウムを体内に取り込んだ場合である。ヒトの場合にはこのような事故例は少ないので、主として動物実験から被ばく量と障害の関係が推定されている。
* 血球には赤血球、白血球(好中球、単球、マクロファージ、好酸球、リンパ球など)、血小板がある。これらはすべて骨髄の造血細胞から作られ、それぞれ機能が異なる。ヒトの末梢血液をin vitro(生体外)で照射してTリンパの急性障害をしらべた結果、トリチウムの細胞致死効果はγ線より高く、また放射線感受性はいずれの血液細胞もマウスよりヒトの方が高いことが明らかにされている。
* トリチウム水を一時に多量摂取することは現実的にはあり得ないが、低濃度のトリチウム水による長期間被ばくの場合を考えねばならない。
実際に、トリチウムをヒトが長期間摂取した被ばく事故例が1960年代にヨーロッパで起きている。トリチウムは夜光剤として夜光時計の文字盤に使用されているが、これを製造する二つの施設で事故が発生している。一つは、トリチウムを7.4年にわたって被ばくした例で280テラベクレル(TBq)のトリチウムと接触し、相当量のトリチウムを体内に取り込んだ事例である。尿中のトリチウム量から被ばく線量は3~6Svと推定されている。症状としては全身倦怠、悪心、その後白血球減少、血小板減少が起こり、汎血球減少症が原因で死亡している。
* もう一つの例も似たような症状の経過をたどり汎血球減少症が原因で死亡している。臓器中のトリチウム量が体液中よりも6~12倍も高く、体内でトリチウムが有機結合型として存在しているものと推定されている。
Posted by 大沼安史 at 10:54 午前 | Permalink