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2013-10-31

〔ニューヨーク・タイムズが批判社説〕 「日本の非リベラル秘密法(Japan's Illiberal Secrecy Law)」:「何が秘密なのか、のガイドラインさえない。この定義の欠如は、あらゆる政府に不都合な情報が秘密になりかねないことを意味する」「市民的自由を侵害し、東アジアの対日不信を増大させる恐れも」

 10月29日付け。⇒ http://www.nytimes.com/2013/10/30/opinion/international/japans-illiberal-secrecy-law.html?_r=0

 But there is no guideline as to what constitutes a secret. This lack of definition means the government could well designate any inconvenient information secret.

 タイムズの社説は、こう結論づけている。

 秘密法の動きは、安倍政権が中国に対してとりつづけてきた対決姿勢の反映であり、市民的自由を侵害し、東アジアにおける日本政府への不信をさらにつくりだしかねない、タカ派外交政策の新たな兆しを映し出すものである。

 This move reflects the confrontational stance the Abe government has been taking toward China and another sign of a hawkish foreign policy that may well harm civil liberties and create even more mistrust of the Japanese government in East Asia.

Posted by 大沼安史 at 08:15 午後 | | トラックバック (0)

〔コラム 机の上の空〕 「前のめり総崩れ」の道を、驀進し続けてはならない

 シューマッハーの『スモール・イズ・ビューティフル』*1が出版されたのは、いまから40年前、1973年のことだ。

 最近、わたしは宇井純さんの著作をまとまって読む機会に恵まれ、そこで宇井さんがシューマッハーのこの本を、高く評価していたことを知り、あらためて手にとって読みだした。(以下に続く)

 久しぶりに再読して、あまりにも教えられることが多いのに驚き、おのれの浅薄さを痛感させられた。

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 教えられることが多いと思うひとつの理由は、シューマッハーの40年前の記述が、わたしが今、生きる、この日本の現実に、まさにぴったりと重なり合うからだ。

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 シューマッハーはたとえば、「前のめり(前進的)総崩れ族(people of the forward stampede)」であり続けるか、それとも「自分の住まいに帰る人(home-comers)」になるのか、当時、早くも、選択を迫っていた。

 それはもちろん、とりもなおさず、今――2013年の日本において、わたしたちが突き付けられている選択である。

 「スーパーテクノロジー」を神と仰ぎ、このまま「成長至上主義」をとり続けるか、「人間の顔をしたテクノロジー」に立ち返り、地球環境を破壊しない「非暴力的な経済」を目指してゆくか?

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 この本でシューマッハーは、早くも、「原子力」の危険性に警鐘を鳴らしていた。

 「原発」は、彼の言う、「スーパーテクノロジー」の象徴。

 それがフクシマで、ついに「連続核爆発&メルトダウン」という、あってはならない極大事故を引き起こした。

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 にも、かかわらず、日本の政権は、懲りもせず、「原発再稼働」の道を、驀進し続けている。

 これこそ、シューマッハーの言う、「前のめり総崩れ」の道ではないか!

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 シューマッハーの言う「自分のすまい(ホーム)」とは、「自然」のことである。 

 その「自分のすまいに帰る」とは、自然の中で、身の丈にあった生き方をする――すなわち、「自然に還る」ことである。

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 ビルマで仏教にふれたシューマッハーは、「仏教経済学」を提唱し、「Right Livelihood(正命・しょうみょう)」なる新しい生き方を、求めた人だ。

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 シューマッハーは、「自然はいわば、どこで、いつ、止まるべきかを知っている(Nature always, so to speak, knows where and when to stop.)」と書いた。

 わたしたちも、自然の節度に、(いまこそ、ここで)学ばなければならない。

(*1) ⇒ http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%AB_%E3%82%A4%E3%82%BA_%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%95%E3%83%AB

Posted by 大沼安史 at 12:27 午後 | | トラックバック (0)

〔フクシマ核惨事〕Fukushima is here!(フクシマはここに!) 10月15日、サンフランシスコの砂浜に人文字が描かれた! 海をこえ、押し寄せ、吹き寄せる核毒! フクイチは地球の脅威と化した! いま、わたしたち日本人の誇りと勇気が試されている!

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◎ソース ワシントン・ブログ ⇒ http://www.washingtonsblog.com/2013/10/fukushima-is-here.html

 この「対岸の人文字」をわたしたちは、連帯の言葉と受け止めよう!

 いのちを――海を、空気を、地球環境を、この500人の対岸の人たちとともに力を合わせて、守っていこう!

 わたしたちには、それしかない。わたしたちは、それをしなければならない!

 

Posted by 大沼安史 at 08:48 午前 | | トラックバック (0)

2013-10-30

〔フクイチ核惨事〕 安倍政権の「秘密保護法案」、「フクシマ」隠蔽工作の疑い ロイター電が全世界に警告報道

 ロイター通信はこのほど(10月24日付け)、安倍政権の秘密保護法案には、「フクシマ核惨事」を隠蔽する狙いも込められている、との懸念を紹介する、警告報道を全世界に発した。
 ⇒  http://www.reuters.com/article/2013/10/25/us-japan-secrecy-idUSBRE99N1EC20131025

 この中で東京発のローター電は、上智大学の中野教授のコメント――「安倍(氏)の本当の狙いは、フクシマ核惨事、そして/あるいは原子力の必要性に関する政府の行動の過ちを隠蔽するものかもしれない」を紹介している。

Posted by 大沼安史 at 08:13 午後 | | トラックバック (0)

〔コラム 机の上の空〕 いのちの花は、しんじつに咲く

 10月27日、熊本県水俣市を訪れた天皇、皇后両陛下に、母親の胎内で水銀に侵された胎児性水俣病患者、「語り部の会」の前田恵美子さん(59)が、自分の思いを綴った歌を贈った。

 「ピンクの花が好き」*1

   そう私は私らしく生きるだけ そうピンクのきれいな花が好き

       #

 このこと知って、わたしは、農婦、吉野せい*2の、あの「洟をたらした神」の、あの一節を思いだした。

   畑には取り残したふらふら菜っ葉に、真黄な花がしんじつに咲いていた

       #

 ふらふら菜っ葉は、その日の家族の唯一のたべもの。「何もねえから、花にてくうべな」と、日暮れの、福島の、極貧の開拓地の畑道で、元気に言ったのは、少女のタズさんだ。

 続けて、タズさんは、こうもいった。

   おてんとさまあっち行った

       #

 水俣の恵美子さんは

  3歳のころ 急にしゃべれなくなり 歩けなくなった

  網元の漁師だった大好きなおじいちゃんは 9年間寝たきり たばこに火をつけるのが私の役目だった

  潮風が吹く明神で生まれ育ち 近所の子供とままごとしたり学校ごっこしたり
   …………

  体は不自由になったけど 心は傷つけられなかった……

       #

 恵美子さんのピンクのきれない花も、「しんじつに咲いた」花だ。

       #

 恵美子さんの作詞した「ピンクの花が好き」を、地元の音楽家、柏木敏治さん(58)が、両陛下の前で歌った。

 お二人は歌に聴き入り、「大きな拍手を送った」。

 恵美子さんは「私の気持ちは両陛下に伝わったと感じました」と話した。*3

       #

 天皇陛下が感想を述べられた。*4

  やはり真実に生きるということができる社会をみんなで作っていきたいものだと改めて思いました。

  今後の日本が、自分が正しくあることができる社会になっていく、そうなればと思っています。

       #

 真実に生きる。

 自分が正しくあることができる。

 人が、しんじつに、正しく、生きることができる日本への希望を、陛下は、しんじつに、正しく生き抜いてきた恵美子さんの前で語ったのだ。

       #

 「洟をたらした神」の、極貧の、福島の畑道の情景は、80年以上前、昭和5年(1930年)のことだ。

 水俣の恵美子さんが母の胎内で水銀の毒におかされたのは、60年前のことだ。

 水俣、そして福島。

 ああ、日本…………この国の過去と現在! 

       #

 でも、少女たちは、負けなかった。

 恵美子さんのいうように、「心は傷つけられなかったから」負けなかった。

       #

 そのしんじつに――花のように、真実に咲いた、そのいのちに、この国の希望をみるのは、陛下だけではなかろう。

 そういう国を、そういう社会を、わたしたちは、つくらなければならない。

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◎ 関連 ニューヨーク・タイムズ電子版 「水俣」(ユージン・スミスさん、石川武志さん)⇒  http://lens.blogs.nytimes.com/2013/10/01/revisiting-minamata-and-a-storied-mentor/

(*1) 「ピンクの花が好き」(作詞・前田恵美子さん)

 そう私は私らしく生きるだけ そうピンクのきれいな花が好き

 人前で話をするのは苦手だけど でも子供は好きだから 話せるかなと思って語り部になった

 チッソにはこれといった憎しみは無いけれど こんな私でよかったのかしら

 3歳のころ 急にしゃべれなくなり 歩けなくなった

 網元の漁師だった大好きなおじいちゃんは 9年間寝たきり たばこに火をつけるのが私の役目だった

 潮風が吹く明神で生まれ育ち 近所の子供とままごとしたり学校ごっこしたり

 小学校には少し遅れて入ったけど 親がいじめを心配したみたい

 でも私は大丈夫 やられたらやりかえすから

 そう私は私らしく生きるだけ そうピンクのきれいな花が好き

 いろんな人たちと出会ったリハビリステーションセンター

 まっすぐ歩く練習をしたり コップに水を入れる訓練をしたり あまりうまくできなかったけど ずいぶん勇気づけられた

 そう私は私らしく あまりくよくよしないこと

 チッソはどう思いますかってよく聞かれるけれど 私はいじめられなかったから

 体は不自由になったけど 心は傷つけられなかったからかな 親がそういうことを心配して守られていたのかな

 今はミサンガを作ったり 花を育てたりハウスでマンゴーも作ってる

 写真を撮るのが好き お酒も好きだし歌も好きよ

 そう私は私らしく あまりくよくよしないこと

 そう私は私らしく生きるだけ そうピンクのきれいな花が好き 花が好き

(*2) 吉野せい Wiki ⇒ http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E9%87%8E%E3%81%9B%E3%81%84

(*3) 毎日新聞電子版 ⇒ http://mainichi.jp/feature/koushitsu/news/20131028k0000m040031000c.html

(*4) 陛下のご感想(全文)

  どうもありがとうございます。本当にお気持ち、察するに余りあると思っています。

  やはり真実に生きるということができる社会をみんなで作っていきたいものだと改めて思いました。

  本当にさまざまな思いを込めて、この年まで過ごしていらしたということに深く思いを致しています。今後の日本が、自分が正しくあることができる社会になっていく、そうなればと思っています。

  みながその方に向かって進んでいけることを願っています。

Posted by 大沼安史 at 10:36 午前 | | トラックバック (0)

2013-10-29

〔コラム 机の上の空〕 進化の速さ と 火の強さ に関する覚書

 今朝、米国のジャーナリスト、クリス・ヘッジさんの記事――「わたしたちの目に見えない革命(Our Invicible Revolution)」* ――を読んで、多くのことを考えさせられた。

  
( * ) ⇒ http://www.truthdig.com/report/item/the_cancer_of_occupy_20120206

       #

 ここでいう「目に見えない」とは、「存在しない」ということではなく、逆に――現在進行中の、「いま、進んでいる」プロセスを意味する。

 そんな「革命」が、いま、アメリカで、たとえ目に見えずとも、目に見えない形で、着実に進行中である、とヘッジさんは言う。

       #

 愚劣な監視国家になり下がり、人々の基本的な自由をまる裸にして奪い取ってしまったアメリカ!

 そこでは、国家権力による、一見意味がなさそうな、ささいな不正義が、民衆の怒りに火をつけ、反乱を呼び覚ますであろう――とも。

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 その記事を読んで、そこに紹介されていた、米国の思想家・運動家、アレックス・バークマン*の、以下の一言を知って、とくに考えさせられた。

 (やがて)進化は(一気に加速し)革命に変わる。
 “Evolution becomes revolution.”

( * ) ⇒ http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%83%B3

       #

 この言葉――「進化は革命になる」に、「目に見えない革命」を重ね合わせれば、「進化」とは、「革命」のプロセスのうちの、目に見えない部分を指すものだ、とも言えるだろう。

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 わたしたちの日本で現在、進行しているもの――それもまた、やがて「革命」に到る、目に見えない(見えにくい)革命の前期、すなわち「進化」である。

 それは、あの川崎市長選の結果、ひとつとっても見ても分かる。

 あれは、「進化」の過程で、自然に起きた「川崎革命」であった*!

( * ) ⇒ http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131028-00000029-kana-l14

      #

 この日本でも、目に見えない形で、「進化」は着実に進んでいたのである。

 (すくなくともわたしには、ちょっと)意外な速さで。

       #      

 クリス・ヘッジさんは記事の中で、こんなバークマンの言葉も、引用していた。

 薬缶のお湯を沸騰させるのは、その下で燃える火である。沸騰する速さを決めるのは、火の強さである。

 “It is the fire underneath that makes it boil: how quickly it will come to the boiling point will depend on how strong the fire is.”

       #

 わたしたち、日本の民衆を日々、焼き焦がし、あぶっている火の強さもまた半端なものではない。

 「三本の矢」などという「火矢(箭)」に射抜かれたあげくに、消費増税などという「仕上げの強火」が目の前に迫っている。

       #

 国民生活を黒焦げにした政治の無能と無責任は、この国においても、「進化」の速度を今後ますます、はやめるに違いない。

Posted by 大沼安史 at 02:05 午後 | | トラックバック (0)