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2013-01-14

〔フクシマ・ノート〕 汚された「水域」……山尾三省さん、3つの遺言 

 最高値は大熊町の鈴内地区だった。

 環境省のフクシマ水域汚染調査。

 農業用のため池の際の土壌(昨年10月25日に採取)から、105万ベクレル/Kg が検出された。
  ◇ 環境省「福島県内の公共用水域における放射性物質モニタリングの測定結果について」(10日発表)
   23頁最下段参照 → http://www.env.go.jp/jishin/monitoring/result_pw130110-1.pdf

 前回、昨年7月採取分の最高値(浪江町 96,000 Bq/Kg)よりも、なんと11倍もの跳ね上がりよう。
  ◇ 「フクシマ・ダイアリー」 → http://fukushima-diary.com/2013/01/1050000-bqkg-from-the-soil-beside-reservoir-in-fukushima-jumped-up-by-11-times-since-last-summer/

 死の灰による「水域」の汚染が、蓄積効果で進んでいる……。

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 14日付けの朝日新聞(朝刊)、社会面のトップ記事は「住宅除染も排水未処理 福島市 指針反し側溝へ」だった。

 屋根などの高圧洗浄で出た放射能汚染水が、濾過もされずに、ほとんどそのまま垂れ流しにされている(されて来た)実態が、(ようやく)明らかになった。

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 福島市の除染水の流出先は、北上して仙台湾にそそぐ、阿武隈川水系である。

 下流の宮城県内には、水道の取水をしている町がある。

 トリチウム、ストロンチウムなど放射性物質による水道水の汚染が――内部被曝が、心配だ。

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 群馬の赤城大沼のワカサギの汚染も深刻だ。氷上ワカサギ釣りが解禁になったが、基準超えでせっかく釣り上げても持ち帰ることができない。

 榛名湖などは、ワカサギそのものが絶滅の危機にあるらしい。
  ◇ 産経新聞 → http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130111-00000036-san-l10

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 群馬の山々は関東平野の分水嶺である。そこから川が流れ出す。

 山頂の湖、赤城大沼(前橋市)のワカサギの汚染は、下流の「水域」全体の汚染を示唆する。

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 霞ヶ浦は日本の第2の湖だ。茨城県民、96万人の水甕。

 その大事な水源で、放射性セシウムの蓄積が、静かに、着実に進行している。

 「汚染湖水の利根川経由太平洋放出は避けられない」(専門家) 
  ◇ ジャパン・タイムズ → http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2012/11/post-8a0a.html

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 分水嶺で区切られた「水域」を、「バイオ・リージョン」と呼び、環境の基本単位として保全すべきだと主張したのは、サンフランシスコの環境活動家のピーター・バーグ(Peter Berg)さんだ。
  ◇ バーグさんの著書、Envisioning Sustainability 参照。

 生圏――バイオ・リージョン――水域。 たしかに、そうだ。

 川が流れ下る「水域」こそ、わたしたちの、いのちと生活、の基盤。

 それがフクイチ核惨事によって、死の灰に汚染され、皮肉なことに「除染」でもって「貯染・棄染・再汚染」している……これがわたしたちの被曝地=「水域」の現実である。

 被曝水域としての被曝地。

 わたしたちは、史上空前のトリプル・メルトダウンで、わたしたちの「水域」が――わたしたちの「水」が、まるごと汚染され、その汚染の蓄積が進行中であることに、よりいっそう目を向けねばならない。

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 「バイオ・リージョン」あるいは「バイオ・リージョナル」。

 その掛け値なしの大切さを、わたしは、屋久島で農耕生活を送った詩人で思想家の山尾三省(やまお・さんせい)さんの本(米国のビート詩人、ゲーリー・スナイダーさんとの対話を収めた『聖なる地球のつどいかな』〔山と渓谷社〕)で教わった。
  ◇ 三省さんのWikiは → http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E5%B0%BE%E4%B8%89%E7%9C%81

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 2001年8月28日、62歳で亡くなった三省さんは東京・外神田の生まれ。

 死期を悟り、3つの遺言をのこしていた。

 北海道の小樽にいらっしゃる妹の長屋のり子さんの『詩集 睡蓮』(ぽえとりくす舎)によると、「第一の遺言」はこうだ。

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 ぼくの生まれ故郷の、東京・神田川の水をもう一度、飲める水に再生したい、ということです。あの川の水がもう一度、飲める川の水に再生された時には、劫初に未来が戻り、文明が再生の希望をつかんだ時である、と思います。子ども達よ、父の遺言としてしっかり覚えてほしい。

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 汚染された都市河川の再生は、サンフランシスコでも行なわれていることだ。

 三省さんのこの第一の遺言は――しかし、放射能に汚染された、わたしたちの、フクイチ被曝地の「水域」にもあてはまる預言でもあろう。

 そして、三省さんが遺言で呼びかけた「子ども達」とは、わたしたち被曝地の未来世代の子ども達でもあろう。

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 続く「第二の遺言」で、山尾三省さんは――10年後に起きるフクイチ核惨事に警鐘を鳴らすように、こう訴えていた。

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 とても平凡なことですが、やはりこの世界から原発および同類のエネルギー装置をすっかり取り外してほしい、ということです。…………

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 わたしたちの社会に、三省さんの最後の訴えを聞く耳があれば、あるいはフクイチは防げたのだ。

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 「第三の遺言」も、いまを生きる、わたしたちにとって、戒めの言葉である。

 日本の新首相になった安倍晋三氏にとっては、とくに。

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 この頃のぼくが、一種の呪文のようにして、心の中で唱えているものです。南無瑠璃(るり)光、われら人の内なる薬師如来。われらの日本国憲法の第九条をして、世界のすべての国々の憲法第九項に組み込ませ給え。武力と戦争の永久放棄をして、すべての国々のすべての人々の暮らしの基礎となさせ給え。

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 水域を再生し、原発をなしく、平和を守り通す。

 いま、「被曝日本」に必要なのは、マスコミが喧伝する「3本の矢」でもなんでもなく――輪転機で万札を刷りまくることでも、自衛隊を海外の戦場に送り込むことでも、なんでもなく――山尾三省さんがわたしたちにのこしてくれた「3つの遺言」を、深く、静かに噛み締めることであろう。 

Posted by 大沼安史 at 01:57 午後 |

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