« 〔田中龍作ジャーナル〕 【大飯原発再稼働】 7月16日頃、営業運転開始 「安全監視体制」お寒いまま | トップページ | 〔Fukushima Diary〕★★★ 台風4号 20日にフクイチ直撃の見通し 気象庁が予報 風速60Mを予測 4号機は大丈夫か? »

2012-06-17

〔フクシマ・ノート〕  「助けてください」は、未来からの言葉

 間もなく最悪の「第Ⅳ(4)期」が始まる――と、わたしは思っている。

 予兆はすでに現れ、カウントダウンは確実に始まっている。

 この国のフクシマ後の同時代・社会史における、最悪局面としての「第Ⅳ期」が、来る。

          #

 鼻血を出し、体調の悪いわたしとしては、日本の窮状を、やはり「病」に譬えざるを得ない。

 フクシマで、「野田医師=政府」は、「だいじょうぶ、治りましたから。だいじょうぶ、これからも」と、嘘の診断をした。マスコミも同調し、よけいな「風評」の打ち消しに余念がない。

 そして、わたしたち日本人は、その「責任ある言葉」にすがった。すがり続けている。

 だいじょうぶ、気のせい。ストレスです。

 カバーアップの「成功」!

 フクシマは終わったんだ、なんでもなかったんだ。大丈夫――。
 
 さあ、食べて応援だ、除染で復興だ!

 これがフクシマ後の最初の段階――第Ⅰ期である。

          #

 続く、第Ⅱ期は、こうだ。

 しかし、体調不良はあいかわらず……。むしろ悪化している。身の周りの人にも同じような異変が起きている。
 どうも自分だけではないらしい。

 ネットでは、不吉な警告が流れている。

 東京新聞や、一部の有力な雑誌メディア(週刊現代、週刊東洋経済など)も、、「野田医師」の「診断」とは「真逆」のことを言っている……。

 でも、やはり、「政府=医師」の言っていることを信じよう。信じたい。自分が死ぬなんてありえない。ネットや東京新聞の言っていること(セカンドオピニオン)は嘘だ! 死ぬのはいやだ!……

          #

 日本は、主に、今、このⅡの段階にある。

 異変に気づいてはいる。気づいてはいるが、異変を認めまいとして、「政府ー医師」の「嘘」をほんとのことと信じようと懸命になっている。

 心の中で葛藤しているのだ。表面的にはなんでもない顔をして、不安を押し殺しながら、努めて明るく、フツーの生活をしている。

 だから、時に、脱原発や被曝問題を叫ぶ人たちに反発心を募らせる。

 ⅠとⅡが前面に出ているから、政府とメーンストリームのメディアによる「カバーアップ」は、一応「成功」してい(るように見え)る。

          #

 しかし、いまの日本では次の「Ⅲの段階」が始まっているのだ。

 その流れは3・11が起きてから(あるいは起きる前から)始まっていたものだが、ここに来て、ますます目に見えるものなって来ている。

 その端的な現れが、6・15の、あの11000人だった。

 あの叫び。

 (日本史上、たぶん初めて)若い女性が恥ずかしがることなく、必死の思いで叫び続けていた、自分たちの、そして日本の――いのちの未来のための、あの言葉だ。 

 「国民をなめるんじゃないぞぉ~」

          #

 Ⅲの段階とは、こうだ。

 やはり、「政府=医師」のいうことは嘘だ。ネットで流れている「セカンドオピニオン」の方が正しい。

 それは、なによりも、自分の体調(人びとの健康状態)が、ずっと告げていたこと……。

 真実と向き合おう。この先、どれだけ生きられるか分からないが、とにかく、生きてゆこう。

 生きている間に、子どもたちのため……「いのち」のため、「政府=医師」の嘘を暴きながら、すこしでもましな環境を、風土を、社会を、日本を遺してゆこう……。

          #

 Ⅲ期――これはほんとうの病名を――(自分と日本の)「余命」というものを――あるいは「いのち」のかけがえなさを知った人が「生きる時間」だ。

 自分の病が――「原発」という「日本の病」そのものであり、自分が生きる限りにおいて、闘い続けると決めたときから始まる時間だ。

          #

 Ⅲは数の問題でいえば、まだまだ少数派かも知れない。

 (でも、わたしは、人びとの内心においてはすでに多数派を形成していると思っている)

 しかし、不可逆的に増えている。

 そして、そのひとりひとりは「強い」!

 (だから、フクシマの女たちは「東北の鬼になる」と言った!)

          #

 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの重層的な混在――これが「大飯再稼働」を前にした状況だが、フクシマ後の同時代史は間もなく――遅くとも数年後には、否応なしに、決定的な「第Ⅳ期」に入る。

 チェルノブイリの前例が示すように、「フクイチ被曝」の時限爆弾は、「大爆発(大発症)」へのカウントダウンを続けている。

 「フクイチ」を引き起こした日本の権力者たちは、多分、そのことを知っているから、放射性ガレキの広域燃焼に躍起となっているのだ。

 キロ100ベクレル未満の低レベル放射性廃棄物を国民に食べさせているのだ。

 「ほら、ごらんなさい。被曝症状は別にフクシマ被曝地だけの現象ではありません。全国平均と比べても、有意の差は見られません。自業自得。ちゃんと健康管理、して来ましたか?」

 そう言い逃れて、訴追を免れようと。

          #

 しかし、事は「いのち」にかかわる問題。被曝症が顕在化する中、「ニコニコする人には……」と言って騙し通せるものではない。

          # 

 この第Ⅳ期は、「政府の嘘」が行き詰まり、「被曝戦犯」に対する国民の追及が本格化する時期にもなるはずだが、よほどの政治的な指導力と国民のかたい団結が存在しない限り、この国がキリモミ降下に落ち入りかねない重大な危機の始まりでもある。

 「チェルノブイリで旧ソ連は崩壊」(ゴルバチョフ氏の証言)し、ベラルーシなどでは人口の縮減さえ起きたが、同じことは、この日本でも起こりかねない。

 いや、起きる……。

          #

 数年後に始まる第Ⅳ期――ということは、わたしたちに残された時間はあまりないわけだが、そうした最悪の「第Ⅳ期」を迎える前に、わたしたちがなすべき、きわめて重大なことがひとつある。

 死活的に重大なことがひとつある。

 それは――言うまでもなく、被曝地の救済とともに、なおも放射能噴煙を上げ続けている「フクイチ封じ込め」に道筋をつけることだ。とくに。世界の破局につながる4号機核燃プールの倒壊防止策には最優先で取りかからねばならない。

 最低限、4号機プールを保全し、国内外の不安感を拭っておいてから、「第Ⅳ期」の困難な挑戦に立ち向かう……。

          #

 「フクイチ核燃」問題を、このままにしてⅣ期入りすることは、決してあってはならない。

 まがりなりにも「国体」が護持され、それなりに「財政」が機能している今、4号機プールなど「フクイチ核燃」問題に手をつけないで、いつ取り組むというのか?

          #

 このまま「ロードマップ」という「紙きれ」を盾に、抜本的な対策を打たずにⅣ期入りしてしまえば、「被曝恐慌」とも言うべき経済的な困難の中で、フクイチを持たせることもできなくなってしまうだろう。

 「国力」がまだ残っている今のうちに、手を打たなければならない。

 いまなら、日本の資金拠出を軸とした、国際的なフクイチ封じ込めプロジェクトを立ち上げることもできるだろう。

 だからこそ、犯罪者(東電)が犯行現場(フクイチ)への立ち入り――現場検証を拒んでいる、いまのような状態は、あらためねばならないし、独立した専門家チームによる査察と、利害関係にとらわれない客観的な評価と提言が今こそ、必要なのだ。

          #

 本ブログですでに紹介したことだが、ことしの3・11の一周年に、相馬高校の有志女生徒たちによる、自主制作の演劇「今 伝えたいこと(仮)」が、東京の笹塚ファクトリーで上演された。
  → http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2012/05/post-b08d.html

 3人芝居のこの劇は、さきほどのフクシマ後同時代史区分に従えば、自問自答の中、苦しみながらⅠ・Ⅱ期をくぐり抜け、Ⅲに到達した女子高生の劇――いや、事実である。

 過酷な現実と向き合い、それでも生きようと思ったから、だから最後の最後に………劇中、自死した「望美」という少女は、舞台の上に甦り、客席に向かって「助けて下さい」と叫んだのだ。

 風下に生きるカナリアとして――被曝地の救済とフクイチの封印を求めたのだ。

          #
 
 青春時代を迎えた彼女たちが生き抜いてゆく時代区分はしかし、この「第Ⅳ期」でなく、新たな「第Ⅴ期」でなければならないと、わたしは考えているし、そうなるよう、祈っている。

 では、彼女たちがこれからの人生を生きるべき「第Ⅴ期」とは、どんな時代であり、どんな社会であるのか?

 それはⅣ期の最中に生まれ、Ⅳ期を超えた、新たな日本の登場である。

 過酷な時代でありながら、望みを失わず、過酷さに耐えきり、被曝を最小限度に抑えつつ、いのちをつなぎ、いのちの限りに生きてゆく……そうした新たな時代区部、「Ⅴ」の出現である。

          #

 「Ⅴ」の未来を切り開く……だからこそ、ゴマカシは――開き直りは、もはや許されないのだ。

 未来世代にフクシマ後の道程を歩き続けてほしいなら、わたちたちは、何が何でも「フクイチ」を封じ込めなければならない。

 新たな破局を防ぐ手段を講じてから、バトンを手渡さなければならない。

          #

 大飯原発を再稼働させ、新たな破局の種をまくなど、言語道断。

 日本政府は被曝地の少女たちの「助けてください」の声を受け止め、被曝地の救済とフクイチの抑え込みに死力を尽くすべきである。

 わたしたちの「余命」は限られてしまったが、これから生きてゆく少女たちは、この国のいのちをつないでくれる、日本の未来である。

          #

 「助けてください」――未来からの言葉に、耳をふさいではならない。

Posted by 大沼安史 at 04:45 午後 |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 〔フクシマ・ノート〕  「助けてください」は、未来からの言葉: