〔被曝受難・NEWS〕岩手日報 底見えず酪農家悲鳴 県産乳牛の価格下落
本県の乳牛の価格下落に歯止めがかからず、酪農家が悲鳴を上げている。福島第1原発事故前と比べ、1頭当たりの平均価格は15万円以上の低下。県外出荷の制限で買い手が激減しているのに加え、農家には搾乳できない廃用牛が滞留し、県内での買い換えも進まないためだ。滞留解消には廃用牛を食肉用としてと畜する方法があるが、検査ハードルは高く、抜本対策はないのが実情だ。
「これでは安すぎる」。23日に雫石町七ツ森の全農県本部家畜市場で開かれた県内限定の乳・肉用牛斡旋(あっせん)会。出産前の「初妊牛」2頭を売りに出した岩手町川口の農家中井恒夫さん(62)は憤りを隠さなかった。
それぞれ27万円と33万円で売れたが、「原発事故前なら20万円は高く売れた」。一昨年は年間約500万円を売り上げたが、事故後の昨年は300万円を切ったという。
同日の斡旋会の初妊牛の最高価格は49万円。平均31万円で一昨年5月の47万円より10万円以上落ち込んだ。今年3月以降は40万円を割り、下落が続く。
斡旋会は畜産農家が原発事故後の稲わらを牛に与え、国が県に肉牛、乳牛ともに出荷制限を指示したことなどを受けて昨年9月に始まった。県外から多くの買い付けがあった市場は休止状態となり、買い手は激減した。
Posted by 大沼安史 at 02:38 午後 | Permalink