〔国会事故調・佐藤雄平知事〕福島民報 知事「国の避難指示で混乱」 国会事故調 初期対応を批判 /◇ 機能しなかったオフサイトセンター 5キロの至近にあったことが最大要因
佐藤雄平知事は29日、福島市で開かれた国会の東京電力福島第一原発事故調査委員会で参考人として発言し、「明確な根拠のない10キロ圏外への避難指示が矢継ぎ早に出され、不安に駆られた県民が県内外に避難を余儀なくされた」と国の初期対応を強く批判した。原発事故の前線基地である国のオフサイトセンターが機能しなかった問題は、福島第一原発から5キロと近距離にあったことが最大の要因との認識を示した。
■SPEEDI公表遅れ謝罪
オフサイトセンターの原発事故時の運営要領には、避難指示決定前に国、県、立地町が連携し避難先や避難手段を検討する内容が盛り込まれていた。
しかし、佐藤知事は、福島第一原発事故では原子力防災計画で想定されていない同原発から十キロ圏外への避難指示が、事前連絡が来ず明確な根拠もないまま矢継ぎ早に出されたと指摘。「避難指示区域約8万人の住民をはじめ、不安に駆られた多くの県民が県内外に避難を余儀なくされた」と述べた。
一方、震災発生当夜、東電から「第一原発2号機の燃料棒上部が露出する恐れがある」との連絡が入り、国の判断を待たずに県が2キロ圏内の住民に避難を要請したことを挙げ、「国の明確な指示がない中、なし得る限りのことを行った」と強調した。
オフサイトセンターはモニタリング情報を発信できず、震災により情報通信機能をほぼ失い、市町村との連絡が取れない状況に陥った。このため、住民の避難誘導指示が混乱したとの批判を受けている。佐藤知事は「距離的に福島第一原発に近かったのかと思う」と述べ、原発に近く放射線量が上昇したことから関係者が「撤退」を余儀なくされたとの見方を示した。
緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の試算結果が公表されなかったことについて「県民の皆さんに大変申し訳ない」と謝罪した。
委員からは「(SPEEDIの)情報管理について、訓練不足があったのか。国からの伝え方が悪かったのか」との質問が出され、佐藤知事は「事故当初、情報が錯綜(さくそう)していた。情報が職員から上司に伝えられなかった。組織上の問題があったと思う」と釈明し、「危機管理の組織の在り方を見直したい」との考えを示した。
※国会東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調) 国会が昨年12月に設置した。福島第一原発事故の経緯、原因を究明するとともに、今後の原発事故の防止、事故に伴う被害の軽減のための施策や措置について提言する。事故調査、被害調査、政策調査、政策提言の4つの作業部会が設けられている。6月にも調査結果や提言を記載した報告書をまとめる。福島第一原発事故をめぐっては国会事故調の他、政府の事故調査・検証委員会、民間事故調査委員会がある。
■知事発言のポイント
▼国からは原子力防災計画で想定されていない、10キロ圏を超える避難指示が事前連絡もなく、何ら明確な根拠なども示されず、一方的に矢継ぎ早に出された
▼事故当初、現地のオフサイトセンターが情報通信機能を喪失している中で、国がモニタリング情報発信の司令塔としての役割を十分に果たせず、モニタリングデータ公表の遅れなどがあったことは極めて残念。距離的に(原発から)近かった
▼SPEEDIについては、県原子力災害対策本部に多くの資料が送られてきて、つい見逃した。組織上の問題があった
Posted by 大沼安史 at 09:58 午前 | Permalink
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