〔仙台 国見の丘から〕 ツバメが、来た!
昼前、ママチャリで丘を下って、買い物に出た。
いつものスーパーで買い物して、ドアの外に出たときだった。目の前を黒いものが飛んだ。
そして道路際の電話線の上に。
くちばしのところが赤い、ツバメだった。
あっと思って、次の瞬間、右横の軒下に視線を走らせた。
去年、ツバメの夫婦が子育てした、古巣のある場所に。
古巣の空き家の手前にツバメがもう一羽いた。巣を作りだしていた。
これも、口のところが赤い、小さなツバメ。
たぶん、新婚間もない、若いカップル!
もしかしたら、去年、この軒下で育った小ツバメが伴侶を連れて、帰ってきたのかも知れない。
去年よりおそらく1ヵ月近く遅れての飛来だ。
ことしはもう来てくれないのか、とあきらめかけていたところへ、まるで神様のおくりもののように来てくれた、ツバメの若夫婦。
燕尾服姿で、軒下デビュー!
うれしくて、しばらく、2羽の姿を眺めていた。
半分ほどできあがった巣。
空中の手づくり――いや、くちばしづくりのマイホームで、やがて赤ちゃんたちが生まれる!
元気で育ってほしんだけど!
でも、なんだか、うらやましいなあ。
ぼくは、ふるさとに舞い戻った、孤独な渡り鳥。
ふるさとの土に還るつもりが、被曝症状が進んで、またどこかへ飛び出すことばかり考えている。
でも、このツバメの夫婦のように、とりあえず、国見の丘で、逃げずにひと夏、過ごしてみるか!
象さんのようにむくんだ足も、そのうち、よくなるだろう。鼻血だって、一度は引いたではないか。
泥融飛燕子
ツバメたちの建築作業に負けず、ぼくもそろそろ、次の本の執筆にかかろう。
きょうで5月は終わり。
フクイチの核の業火は6月に連なる。
それでも、いのちは生き続けなければならない。
若いツバメの夫婦に励まされ、カゴに水と食料品を積み込み、重いママチャリを曳いて、坂道を登り始める。
Posted by 大沼安史 at 07:16 午後 | Permalink