〔東京新聞〕規制庁法案 事故での指示権焦点
二十八日の国会の東京電力福島第一原発事故調査委員会では、政府が事故の初動対応に過剰介入したかどうかが議論されたが、二十九日に審議入りする原子力規制庁設置関連法案でも事故対応の在り方が焦点となる。
政府案では緊急時の指示権は首相が持つのに対し、自民、公明両党の対案では国会の同意を得た専門家に権限が与えられている。
国会事故調で、菅直人前首相は直接、福島第一原発の吉田昌郎所長(当時)に電話し、指示を出していたと認めた。原子力災害対策特措法では、対策本部長である首相が「特に必要があると認めるとき」は、民間である電力会社にも指示ができる。
政府案では、事故時の首相の指示権は温存され、自衛隊や自治体のほか電力会社にも指示ができる。ただ「国民の生命、身体、財産を保護するため」と指示できる条件を明確化した。
これに対し、自公案では、電力会社への指示は、政府から独立した専門家五人で構成する原子力規制委員会が担う。緊急時は、委員長が原子力災害対策本部に入り、電力会社への指示や助言も規制委員会が担当。政府と規制委員会は情報共有するが、委員会の独立性を重視するため、首相の委員会に対する指示権はない。
事故にどう対応するかの判断は政治家でなく、国会の同意を得た専門家に委ねられることになる。
政府・民主党は一日も早い規制組織の発足を目指し、環境省の外局に規制庁を設ける政府案にこだわらず、自公案の独立委員会方式を受け入れ、自公両党と合意している。
ただ、事故時の指示権をめぐっては「最後に責任をとるのは政治家。緊急時に専門家に任せるべきではない」(閣僚経験者)との異論も強く、国会での修正協議の焦点となっている。 (大杉はるか記者)
Posted by 大沼安史 at 03:01 午後 | Permalink