〔国会事故調・菅直人前首相〕FNN 菅前首相、海水注入中断「武黒フェローの指示」
福島第1原発の事故から1年余り、国会の事故調査委員会に、当時の国のトップ、菅前首相が初めて出席し、当時の状況を語った。
菅前首相は「最大の責任は国にある。この事故を止められなかったこと、そのことについて、あらためて心からおわびを申し上げた
いと思います」と述べた。
事故翌日、当事官房長官だった枝野経済産業相の忠告を振り切り、原発を視察したことについて、菅前首相は「地震・津波の現状
を直接、わたし自身が見て認識したい」と述べた。
「直接現場を見たい」、そして、原子炉内のガスを抜く「ベント」が進まなかったことが、その理由だという。
菅前首相は「特にベントに関しては、何時間たってもそれが行われない。『なぜ進まないんですか』とお聞きしました。そうした
ら、『わからない』と言われるんですね。その責任者と話をすることによって、状況が把握できるんではないか。福島第1サイトに視
察に行くことを決めたわけであります」などと述べた。
また、当時経済産業相だった海江田氏が、緊急事態宣言の発令が遅れた理由を問われ、「首相の理解を得るのに時間がかかった」
と証言していることについて、菅前首相は「党首会談に顔を出して、その後の説明を受けて、宣言をするということに至っておりま
す」などと述べた。
緊急事態宣言が遅れたとの指摘に、菅前首相は「すでに対策室などが設置されており、支障はなかった」と弁明した。
そして、原子炉への海水注入を「首相が中断するように指示した」とされる点については、「指示をしたのは自分ではなく、東電
の武黒フェロー」だと、強く主張した。
菅前首相は「技術的なことがわかっているはずの人が、吉田所長に対して(海水の注入を)止めろと言ったのが、私には、率直に言
って全く理解できません。そして、吉田所長は、それに対して、わたしもあとで聞いた話ですけども、『私の意向だと理解した』と
。東電の中で官邸に派遣されていた人(武黒フェロー)が、自分の判断で言ったことについて、官邸の意向、まして私、当時の総理の
意向ということとは、全く違うんで」などと述べた。
弁明に終始した今回の菅前首相の聴取に、福島県民は、「(ヘリの視察は)来なくたってよかった。それより先に、何か処理する方
法があったのでは」、「逃げた(避難した)時も、何で逃げたかわからなくて...。(国が)もう少しちゃんとしてればね...」などと話
した。
事故調査委員会は、6月中に最終報告書をまとめる方針。
28日、菅前首相が出席した国会の事故調では、すでに菅政権当時の閣僚が証言を済ませている。
菅前首相は28日、こうした発言に対する弁明に追われる形となった。
当事の経産相だった海江田氏は、緊急事態宣言を出すのが遅れた理由について、「首相の理解を得るのに時間がかかった」と証言
した。
これについて、菅前首相は「意図的に延ばしたわけではない」と話した。
また、震災翌日に首相自らが福島第1原発を視察したことについて、当時の官房長官・枝野氏は、「『政治的批判は免れない』と反
対した」と証言している。
このことについて、菅前首相は「現場の考え方を知るうえで、極めて大きなことだった」と証言した。
菅前首相は28日、自己弁護に終始する形となった。
Posted by 大沼安史 at 01:12 午後 | Permalink