〔東京新聞〕「脱原発」遠ざかる自民 エネ政策で迷走
自民党は24日、原発の対応を中心としたエネルギー政策を取りまとめた。焦点となった将来的な原発の存廃は結論を先送り。いったんは脱原発の方向性に踏み込みながら、結局は引っ込める迷走ぶりが目立った。 (上野実輝彦記者)
自民党のエネルギー政策の見直し作業は党特命委員会で進められてきた。党内では、電力会社と深くかかわってきた議員や原発立地県選出議員らを中心とした原発存続派と、東日本大震災を受けて原発の新規着工を認めない脱原発派による対立が過熱した。
特命委は冷静な議論ができるまでの時間稼ぎの意味合いも含めて二月、原発の存廃を含む中長期的な電力供給の組み合わせの方向性を「今後十年かけて結論を出す」との中間報告を出した。
しかし、存続、脱原発両派から、方向性が不明確なことに不満が噴出。特命委は原発への国民不信が増大していたことから、次期衆院選を控えて原発存続の方向性は打ち出しにくいと判断。今月十八日、「脱原発」を選択肢として明記した取りまとめ原案を発表した。
文案を担当した特命委幹部は、脱原発を入れた理由について「新たな安全技術が開発されない限りは仕方がないという意味。党の判断はにじませず、新規着工がなければ自然に脱原発になっていく」と説明した。だが、存続派議員は原発を直ちに廃棄するようなイメージがあるとして、脱原発の言葉に反発。「国民生活、産業基盤も踏まえるべきだ」と批判が相次いだ。
特命委委員長の山本一太前参院政審会長は「(脱原発派に)共感できるところはあるが、最大公約数(の意見)をとらなくてはならない」と存続派に配慮する意向を示し、脱原発は削除された。
脱原発派の一人である柴山昌彦衆院議員は脱原発の言葉が消えたことについて「再び原発を推進する余地を与えかねない」と疑問を示した。
Posted by 大沼安史 at 02:07 午後 | Permalink