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2012-04-24

〔河北新報〕 社説 東日本大震災 分断 南相馬市/補償打ち切りは解せない(24日付け)/ 住民に瑕疵(かし)のない場合、原状回復が原因者たる東電や国の最低限の礼儀だ。できぬなら、補償の「終期」など語るべきではない。

 → http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2012/04/20120424s01.htm

 福島第1原発事故に伴う南相馬市の避難区域の線引きが見直された。

 放射線量によって「帰還困難」「居住制限」「避難指示解除準備」の3区域に再編。これに昨年9月末解除された旧緊急時避難準備区域(原発から半径20~30キロ)と30キロ圏外があるため、市は5つもの区域に引き裂かれた形だ。

 避難者数は他地域に比べて桁違いに大きい。震災前の市人口は約7万1千人だが、いまだ2万人超が市外に避難する。そのうち、旧緊急時避難準備区域にある市中心部の原町区は1万3千人以上が戻っていない。

 5つの区域で変わるのは、賠償だ。中でも対象の多い旧緊急時避難準備区域からの避難者への1人月10万円の賠償は、ことし8月末で原則打ち切られる。

 文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会が賠償指針を決めたからだ。なぜ8月か。市のインフラ復旧が見込め、夏休み後の子どもたちが学校に戻れるようになるからだという。

 果たしてそうだろうか。

 動脈のJR常磐線は原ノ町駅から南には行けない。原発があるため、復旧は何十年と見込めない。首都圏に向かう場合、阿武隈山地を越えて原発を迂回(うかい)するしかない。全村避難の飯舘村を通ったりしてだ。

 病院や福祉施設も課題だ。入院先を追われた人々が戻れる施設は、完全に復旧していない。市が医師30人を募集している事実から見ても明らかだろう。

 旧緊急時避難準備区域の解除後、4カ月間に帰還したのは約1900人にすぎない。再開した学校の児童・生徒数は震災前に比べ小学校で5割、中学校で約6割にとどまる。高い線量への保護者の不安は消えない。

 雇用は、農業は、商環境は。不安を挙げればきりがない。

 そもそも警戒区域20キロという線引きに、住民は不信感を抱いていた。国は30キロ圏まで避難させれば避難者が膨れ、パニックに陥ると判断したのではないか。20キロ圏外で高濃度汚染地域を把握しながら、有効な対策を打ち出せなかった。

 家々の除染も不安がある。汚染された廃棄物について国は最終処分場を決めないまま、原発近くに中間貯蔵施設を造ろうとしている。永久貯蔵にならないのか、疑念は消えない。処分先が決まらないから除染もままならないのが現状だ。

 だからこそ弁護士らで構成する原子力損害賠償紛争解決センター総括委員会は「今回の事故は巨大かつ過酷な被害であり、参照すべき適切な先例がない」として、補償の「終期」を定めることに反対した。

 事故後も市に残って奮闘する人たちと避難した人の間に補償格差が生じ、以前なら考えられないようなあつれきが生まれている。

 1年以上避難している人々の苦痛はいかばかりか。住民に瑕疵(かし)のない場合、原状回復が原因者たる東電や国の最低限の礼儀だ。できぬなら、補償の「終期」など語るべきではない。

Posted by 大沼安史 at 04:44 午後 |

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