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2012-04-25

〔河北新報〕 「神話の果てに 東北から問う原子力」 第2部・迷走(5完)曖昧/屋内退避、暮らし奪う /10日間にも及んだ屋内退避と、その後の自主避難要請こそ、住民の生活基盤を破壊した側面も否定できない

 → http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1098/20120423_03.htm

 <物資不足が深刻>

 「現場を見たのか。こっちは何とか商品を集めているんだ。物が欲しいんだ」

 昨年3月25日、東京電力福島第1原発から約25キロ離れた南相馬市原町区の産直施設。運営代表を務める石沢一二(いちじ)さん(52)は、テレビに向かって毒づいた。

 画面の向こうで、枝野幸男官房長官(当時)が記者会見し、原発から20~30キロ圏内の住民に「自主避難」を求めていた。被災地のニーズとは、かけ離れた措置だった。

 「商業・物流に停滞が生じ、社会生活の継続が困難になりつつある」

 「今後の推移によっては避難指示を出す可能性も否定できない」

 南相馬市内の物資不足は、震災直後から深刻だった。津波と原発事故で被災者が市街地に流れ込み、避難所にあふれた。

 業者は福島県浜通りへの配送を敬遠した。政府が昨年3月15日に20~30キロ圏内に「屋内退避」を指示すると、その傾向はより顕著になった。

 石沢さんらは「市民のための食料を」と昨年3月20日に産直施設を再開。連日、東京・大田市場まで仕入れに走らなくてはならなかった。

<判断基準示さず>

 「家に食料を運んでほしい」。市には、そんな電話が多数寄せられた。

 市幹部は「屋内退避は半日から1日程度が限界の措置だ。店も開かず、物資がないのに、どうやって屋内にとどまれというのか」と憤った。

 原子力災害特別措置法に基づく避難指示は異常な放射線量の上昇を前提としているのに対し、自主避難要請は根拠となる法律がなく、社会生活の基盤が崩壊しつつあることを理由にした措置だ。

 だが、10日間にも及んだ屋内退避と、その後の自主避難要請こそ、住民の生活基盤を破壊した側面も否定できない。

 「自主避難要請は、風評被害を拡大しただけ。住民任せの責任逃れだ」

 同市原町区の農業鈴木栄一さん(54)は、今も納得できない。大規模ハウスで生産する小ネギを生産しているが、避難したスタッフが戻り、自前で放射線量を測定して出荷を再開するまで約4カ月を要した。

 鈴木さんは「国は避難すべきかどうかの判断基準も示さなければ、詳しく放射線量を測り、公開することもしなかった。それが風評被害の深刻化も招いた」と訴える。

 南相馬市は屋内退避指示の後、独自にバスによる「集団誘導」を開始。行き先は避難者の受け入れ表明した宮城や群馬、新潟県などで、移送した市民は15~25日で5710人に上った。

 3月12日の1号機原子炉建屋の爆発を機に市外に逃れた住民の中には「自宅に戻った後に、自主避難要請が出た」という人も少なくない。

<1万人まで減少>

 市によると、7万以上あった市の人口は3月下旬、事故から自主避難要請までの混乱の中で、1万程度になったとみられている。

 市内3区の中で最も人口が多く、広い範囲が20~30キロ圏に入る原町区では、3割に当たる約1万3000人がいまも自宅に戻らない。

 インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」で政府の対応を批判し、自ら世界に支援を呼び掛けた桜井勝延市長(54)は、自主避難を要請した枝野氏の会見をこう評した。「あれが、もう一つの震災のようなものだった」(原子力問題取材班)

【南相馬市に関する避難指示、要請などの経緯】

2011年3月12日 10キロ圏避難指示
           20キロ圏の住民に避難指示
       15日 20~30キロ圏に屋内退避指示
           市がバスによる住民の集団避難実施(25日まで)
     4月22日 20キロ圏を警戒区域に設定
           20~30キロ圏の屋内退避指示を解除。計画的避難区域と緊急
           時避難準備区域を設定
     9月30日 緊急時避難準備区域を解除
2012年4月16日 警戒区域を解除、計画的避難区域を見直し、避難指示解除準備区
           域、居住制限区域、帰還困難区域を設定

Posted by 大沼安史 at 05:00 午後 |

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