〔東京新聞〕 利根川河川敷牧草地のセシウム汚染牧草 処分進まず 酪農家の実態、群馬県が調査へ
東京電力福島第一原発事故の影響で、県内でも東毛地域などで放射性物質に汚染された牧草の処分が進まず、酪農家らを悩ませている。焼却や牧草地に埋める方法は費用や手間がかかるために二の足を踏ませ、牧場で保管し続けるケースが出ている。県は今後、実態を調べる方針だ。 (中山岳記者)
太田市新田市野井町の酪農家桐生佐一郎さん(63)の牧場の隅に、約四百~五百キロの草の束が四十個ほど積み上がり小山になっている。桐生さんは「このまま朽ちるのを待つしかない」と顔をくもらせた。
草は、明和町の利根川河川敷にある約五十ヘクタールの牧草地に生えたヨシなどだ。牧草地は桐生さんが代表監事を務める東毛酪農業協同組合が管理し、草は昨年六月と九月に刈った。検査機関に依頼して調べると、一キロ当たり約一四〇~一一〇ベクレルの放射性セシウムを検出した。
乳用牛や肉用牛に与える飼料の放射性物質の暫定規制値は、生の牧草で一キロ当たり三〇〇ベクレル。規制値未満だが、組合は「牛乳にわずかでもセシウムが出れば消費者には受け入れられない」と牛に与えないよう自粛を決めた。使用できない草の束は約三百五十個にのぼる。
農林水産省が昨年に県に示した放射性物質を含んで使えない飼料の処分法は、一般ごみとして焼却するか埋める、もしくは草が育ったほ場の土に混ぜる「すき込み」がある。
Posted by 大沼安史 at 04:03 午後 | Permalink

















