〔☆ 愛媛新聞・社説〕 線量図 米に優先提供 どこまで国民を愚弄するのか (15日)/「東電も国も何一つ国民が安心できる情報を提供できなかった。国策として原発を推進する資質も資格も、この国にはなかったということだ」
東京電力福島第1原発の事故をめぐる情報公開の姿勢に関連して、またしても、東電が国民を愚弄(ぐろう)していた事実が明らかになった。
原発敷地内の放射線量マップ(サーベイマップ)が、公開の1カ月以上前の昨年3月22日に、東電から米原子力規制委員会(NRC)に提供されていた。逐次更新して送っており、経済産業省原子力安全・保安委員会への提供は翌23日になってからという。
サーベイマップは、原発敷地内の建屋周辺の放射線量分布を詳細に記載した地図。事故の状況把握や、今後の収束に向けた作業を進める際の基礎となる重要な資料だ。
マップの存在を指摘する報道がきっかけとなり、東電は4月23日になってはじめて国民に公表した。地元住民をはじめ、事故の真相や現状が分からぬまま不安を募らせていた国民への情報提供を怠っていた責任は、あまりに重い。
東電には、あらためて事態の重大性を認識した上で、猛省を促したい。
東電だけではない。政府も含め事故後の姿勢には目を覆う。国民への背信が次々に明るみに出ては釈明するというお粗末な対応の繰り返しだ。
文部科学省の緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)試算データは事故の12日後になって一部が公表されたが、米軍へは外務省を通じて事故の3日後から提供していた。
また気象庁は、放射性物質拡散予測データを事故直後から国際原子力機関(IAEA)に報告していたが、国内で公表したのは25日後だ。
民主、自主、公開の原子力3原則をことごとく無視した姿勢にあきれるほかない。東電と政府は、情報共有の在り方や公開遅れの問題点を、徹底して究明すべきだ。
何より一連の失態の背景を洗い出さねばならない。そもそも事故以降、目線の向く先が誤っている。国民を置き去りに米国や国際機関におもねるかのような姿勢は、国家としての主体性が問われる。
むろん、原発事故はその影響の大きさから、一国だけの問題にとどまらない。
NRCには事故直後から原子炉冷却などのアドバイスを受けている。事故原因や状況を、国際社会や専門家が幅広く共有するのは、再発防止に向けた重要な手段だ。
しかし、何より優先されるのは、事実の公表と被害防止であるはずだ。こうも国民を情報共有の輪から外した対応を繰り返しては、もはや東電や政府の原子力政策への不信感は極まったといえる。
原発事故の収束について、東電も国も何一つ国民が安心できる情報を提供できなかった。国策として原発を推進する資質も資格も、この国にはなかったということだ。
Posted by 大沼安史 at 04:32 午後 | Permalink
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