〔信濃毎日〕 社説 IAEA調査 安全の根拠にならない (1日)
国際原子力機関(IAEA)が、日本が行っている原発の安全評価(ストレステスト)の方法を「妥当」とする検証結果を出した。
経済産業省の原子力安全・保安院が先日、関西電力の大飯原発3、4号機の安全評価を妥当とする判断を示している。IAEAの検証は、これに“お墨付き”を与えた格好だ。
IAEAも保安院も、原発利用を推進してきた機関である。両者がそろって再稼働を認めたところで、原発の安全性に対する市民の疑問は消えないだろう。
政府はまず、福島原発事故の原因究明を急ぐべきだ。4月の設置を目指す「原子力規制庁」を中心に、原発監視の透明性と客観性を高め、市民の信頼を取り戻さなければならない。
安全評価は、定期検査で停止中の原発を再稼働させる条件になっている。地震や津波、全電源喪失、海水に熱を放出する機能の停止が起きたとき、燃料が損傷するまでにどの程度の余裕があるかをコンピューターで解析する。
福島原発事故の後、欧州連合(EU)が始めた方法を、日本が導入した。電力会社が提出する安全評価を保安院が審査する。
IAEAによる検証は、日本の評価方法が国際的な標準に沿っているかを確認してもらうため、政府が依頼した。
けれども保安院自体が、電力会社となれあい、監視を怠ってきたと批判されている。安全評価の審査についても、内部から「お手盛り」との声が上がっている。
IAEAは、安全対策や技術面で各国の原発利用に協力している。どれだけ厳格な検証ができたのか、説得力は乏しい。
政府はきのう、原子力規制関連法の改正案を閣議決定した。原子力規制庁を設置し、原発の運転期間を原則40年に制限することなどを盛っている。保安院を経産省から切り離し、監視体制の一新を図るとしている。
原発をめぐる一連の世論誘導の問題には保安院も加担した。規制庁は、癒着を思わせるような電力会社との関係を断ち切る必要がある。その上で、福島の原発事故を教訓に、地震が多い日本の風土を考慮した独自の安全評価の仕組みを整えるべきだ。
野田佳彦首相の言う「脱原発依存」の工程も早く示すことが求められる。原発を止める時期を明らかにし、規制庁の役割を位置付ける。再稼働への道を開くことばかり急ぐ姿勢を変えない限り、信頼は取り戻せない。
Posted by 大沼安史 at 05:54 午後 | Permalink

















