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2012-01-04

〔フクシマ・東京新聞〕怒り 脱原発へ 経産省前で座り込み 結集 : ニッポンの女子力 <1>

 → http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2012010302000128.html

(写真は東京新聞電子版より)Pk2012010402100040_size0

  財政問題、景気低迷、先行きの不透明感-と閉塞(へいそく)感が漂う日本で、女性が元気だ。とりわけ、福島原発事故後の脱原発運動では存在感が強い。しかも、そうした活動に吉永小百合さんや竹下景子さんら著名な女性が賛同の声を上げている。なぜ、女性なのか。新春も続く東京・霞が関の経済産業省前での女性の座り込みを主導する、佐藤幸子さん(53)に石丸初美さん(60)、アイリーン・美緒子・スミスさん(61)の三人に「ニッポンの女子力」について、語り合ってもらった。

 -経産省前では、当初は三日間の予定だった座り込みが昨年十月下旬以来、今も続いている。

 佐藤さん 最初は福島の女性に「黙っていられない。立ち上がり、座り込もう」とネットで呼び掛けた。目標は百人だったが、大反響で福島だけでなく県外からも集まり、三日間で延べ二千四百人。街頭活動とは無縁だった女性たちも「座るだけなら」と集まってくれた。福島から声が上がるのを、全国で待っていたんだなと感じた。

 -なぜ女性なのか。

 佐藤さん 子どもの被ばくを心配していたお母さん方が私の周りに多くいた。女は命を未来につないでいく存在で、本能的に命を守る。男の人は「生活が」とか「経済的に」と理屈が先行するが、「理屈抜きで突っ走れる女たちで、取りあえず」ということだった。

 石丸さん 同感。佐賀県の玄海原発の問題で、呼ばれてはミニ集会を開くが、聞いてくれるのは大半は女の人。そこに、パパがちょこっと付いてくる感じ。男の人は「命は命ばってん、仕事もあるやろ」。私たちは「命しかなかやろう」と。

 スミスさん 「原子力ムラ」は明らかな男ムラ。役人や技術者、電力会社幹部と、どの顔触れも男性。それに対して、どの反原発運動も男女がバランス良く、助け合ってやってきた。だけど、よく見ると女が男の尻をたたいている。それが現実。

 -男の尻をたたく?

 スミスさん 原発誘致の話があった和歌山県には「原発がこわい女たちの会」がある。略して「こわい女たちの会」。それに、夫たちが付いてきて、反対派首長を当選させるなどして、誘致を止めてきた。二〇〇一年に新潟県刈羽村で行われた柏崎刈羽原発(東京電力)のプルサーマル計画の是非を問う住民投票でも、村の雇用の多くが原発関連だったのに、母ちゃん、ばあちゃんが静かに、したたかに反対票を投じて反対多数に。石川県珠洲市や新潟県巻町(現新潟市)でも反対運動の中心は女性だった。

 佐藤さん 経産省前の座り込みにも「男でもいいですか」「女装していきましょうか」という声が掛かった。私たちの運動に吉永小百合さんなどの大女優が賛同してくれるが、男性は少ない。タレントの山本太郎さんが声を上げたら、とたんにバッシング。単純に比べられないが男性の方が声を上げるのは難しいのか…。

 -三人のうち、石丸さんだけ夫が会社勤務だ。

 石丸さん 私も働いていて「午後五時からと週末は『私時間』。会社に縛られるのはおかしい」と夫に、繰り返し言っていた。一緒に原発問題を勉強して夫も賛同。活動に参加した。休日にビラ配りをしていて、上司とばったり会ったり、佐賀県庁に要望書を出しに行ってテレビに写ったり。「嫌なら隠れとけ」と言ったのに、私に慣らされたんでしょ。出世は考えとらんかったけど。

 佐藤さん 反原発を主張する京大原子炉実験所の小出裕章さんは六十二歳になっても助教。ポストなんかどうでも良く、しっかりと自分を持っている。組織の論理に流されるばかりで、言いたいことを言えなくなるのが一番、たちが悪い。

 -組織の論理?

 スミスさん 原子力ムラのトップは結局は、組織の論理しか持っていない男の集まり。原発問題がどうのではなく、この期に及んで既得権益を守ろうと汲々(きゅうきゅう)としている。

 石丸さん やらせ問題があった二〇〇五年の佐賀県主催の玄海原発プルサーマル発電についての討論会では「(多重に安全対策がされた)原発は、そこに何らかの社会的インフラがあるより安全」と言った推進派の東大教授がいた。彼が今でもそう思うのなら、堂々と主張すればいい。だけど、事故後は姿すら現さない。討論会後にプルサーマル導入が決まったのだから、その責任をどう感じているのか。

 佐藤さん 福島県の健康調査にしても、県民を守ろうと思っているのか疑問。早く調査すべきなのに十月になってからでは遅すぎる。乏しいデータで「健康被害なし」と結び付ける手法。責任逃れだ。

 スミスさん 私は水俣病の写真を撮ったが、被害者に対応したのは男性ばかりで、手口は原発事故と似ている。全ての責任の所在を曖昧にして、誰も責任を取らずに済むようにする。

 石丸さん 原発事故で散々「想定外」と聞いたが、それも責任逃れ。私たちは、玄海原発を止めようと裁判をしている。負けることを前提にはしてないけど、それも想定内。敗訴しても「やっぱり敗訴」ぐらいに思っている。ダメでもやる。それが、子を持つ私たちの責任。

 -かつて、映画監督でコメディアンのビートたけしさんが「日本を変えるのは、女性と出世をあきらめたサラリーマン」と言ったことがある。

 スミスさん 一理ある。原子力ムラが不健全なのは、異分子を排除して、保身しか考えていない男社会だから。ここに、既得権益とは無縁の女性たちが立ち上がった、という構図が今の脱原発運動にはあると思う。

 佐藤さん 昨夏の電力需要期には「原発がないと大変なことになる」と国民は脅された。でも、節電でどうにかなった。「ウソついてたんじゃない」と国民が思い始めて、困っている。現状維持が第一で、変化が何より怖いから。

 -現状維持が第一?

 佐藤さん 私は化学肥料や農薬に頼らない「自然農」に取り組んでいる。草も虫も必要があって出てくる。それがあって作物も健全という考え方。でも、今の農業は単一作物で効率重視。それは、長い目で弊害を生む。今の日本社会も同じ。お金を稼ぐ人、出世が評価される。その最たるものが原子力ムラ。でも、人間社会には、障がい者やお年寄りもいる。弱者が生きにくい社会は不健全。弱者に近い女性はそれを感じる。

 スミスさん カナダにも水俣病はあったが、日本では漁師、カナダでは先住民と、一番弱い立場の人が犠牲になった。原発事故では、子どもたち。女性が変化を恐れずに立ち上がった。

 -女性は変化が怖くない?

 石丸さん 変化に慣れている。私たちの世代は、結婚で姓が変わり、寿退社。妊娠で生活は一変、子育ても。私は家族の生活に合わせて十回以上も勤務先を変えた。フランスの哲学者ボーボワールじゃないけど「女として生まれるのではなく、女になるのだ」。

 佐藤さん 「社会を動かす力」という意味では、刈羽村の住民投票がそうだったように、女性は大きな力を秘めている。経産省前の座り込みは、お母さんたちが「それぐらいなら」と動いた。その意味は大きい。京大の小出さんは「私は四十年間も原発を止められなかった。皆さん一人一人が声を上げないとダメなんだ」と。

 スミスさん 大事なのは行動。女性は動きだした。だけど、それだけでは不十分。あとは「出世をあきらめた」ではなく「組織の“たこつぼ”にこもらず、幅広い視野と自分の価値観を持つ男たち」。社会を変えるには、出世してしがらみのあるサラリーマンより大きな力を持っていることに気付いてほしい。

●石丸初美(いしまるはつみ) 1951年、佐賀県千代田町(現神埼市)出身。高校卒業後、地元で就職。結婚で横浜市に居住後、84年に夫の転職で同町へ。子ども4人を育てる一方、10社以上で勤務を経験。2009年、脱原発の「玄海原発プルサーマル裁判の会」団長に。

●佐藤幸子(さとうさちこ) 1958年、福島県川俣町出身。高校卒業後、地元で就職。81年に退職、農業従事者と結婚。無農薬の有機農業などに取り組む。福島原発事故後、放射能汚染の影響で農業は休止状態。養鶏もやっていたが、鶏は殺処分した。子どもは5人。

●アイリーン・美緒子(みおこ)・スミス 1950年、東京出身。父は米国人で母は日本人。写真家のユージン・スミス氏と結婚、70年代に夫婦で熊本県水俣市で生活。水俣病の写真集が世界的反響。91年、京都に脱原発NPO「グリーン・アクション」設立。子どもは1人。

Posted by 大沼安史 at 01:19 午後 |

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