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2012-01-04

〔フクシマ・東京新聞〕 「エネルギー 地産地消で」 バイオマス普及支援に取り組む 埼玉

 → http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20120104/CK2012010402000051.html

 秩父路に通じる正丸峠に近い飯能市上名栗の山中。傾斜三〇度以上の急斜面を、長さ二十メートルものヒノキの伐採木が、はいながらゆっくりと下る。ヒノキを動かしているのは、小型モーターで駆動するループ状の鎖。「なかなかうまくいっているな」。ヘルメット姿の年配の男たちが、ほほ笑んだ。

 伐採木が放置され、国内の山林荒廃が進む中、東京都港区の認定NPO法人「蔵前バイオマスエネルギー技術サポートネットワーク」(K-BETS)は、最大五百万円と小さい設備投資で済む、鎖を使った集材方法を考案。数年前から駿河台大学(飯能市)の協力を得て山林を借り、実験を重ねている。

 K-BETSは二〇〇六年、東京工業大学の同窓会が中核となって発足。主要メンバーは十数人で、平均年齢は七十歳を超える。製紙業、石油・天然ガス設備業、輸送機器製造業、大手ゼネコン、商社など、日本の経済成長を支えた中核企業の経営陣も務めた技術者OBがずらりとそろう。

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 「自分が現役時代にしてきたことへの反省、若い世代への贖罪(しょくざい)の意識がこの事業に取り組む原点です」

 王子製紙グループに勤務し、王子ネピア社長も務めたK-BETSの清田憲正常務理事(69)はこう話す。

 製紙会社は多くの木を伐採して製品化することで利益を獲得、消費者も良質の商品を手にし快適な生活を享受してきた。その半面、世界中の森林が減少し、地球温暖化につながった。清田さんは退職して第二の人生を歩む今、その償いをしようとしているという。

 多くのメンバーが清田さんと同じ思いを抱えている。

 「現役時代は『大量生産、大量消費、効率化』の道をまっしぐら。目の前の課題を解決するのが精いっぱいだった」

 いすゞ自動車社長だった稲生武理事長(72)は振り返り、こう続けた。

 「ただ、一線を退いた今、自分たちがしたことが本当によかったのかと思う。大きな負の部分もつくってしまった。私のいた会社も多くの二酸化炭素を出した。今回起きた原発事故などは負の部分の典型だ」

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 K-BETSがいま一番力を入れているのが、山林の伐採木を効率的に集め、バイオマスエネルギーとして使うシステムの構築だ。運び出した伐採木の主要部分は建材に充て、余った部分は小型ボイラーで燃やしてガス化し、地域住民向けの給湯や小規模発電に活用する方法を考えている。

 目指すのは、伐採から燃料化まで一貫して地域で賄う「エネルギーの地産地消」。大量生産・大量消費から転換し、原発や化石燃料に過度に頼らないシステムだ。山林整備が活性化すれば雇用も生まれ、若者の流出防止、地域の再生にもつながると見込む。

 東日本大震災以降、周囲の関心も高まりつつある。すでに伐採木の集材を事業化するため、企業スポンサー獲得の交渉も始まっている。

 「生きているうちに、自分たちが培った技術を使って『負の部分』を少しでも減らし、次世代に引き継がないといけない。かわいい孫たちのためにも、そうすることが使命と考えています」。稲生さんは静かに語った。 (上田融記者)

Posted by 大沼安史 at 01:11 午後 |

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