〔琉球新報〕 社説 「最悪シナリオ隠し 情報操作の伏魔殿なのか」(24日)
→ http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-186626-storytopic-11.html
◎ 「最悪シナリオ」は残っていたのに、どうして「議事録」は消えたか?
霞が関は情報隠蔽伏魔殿!
政策の決定過程や政府が持つ情報を極力国民に公開するとしていた民主党の政権公約は、置き去りにされ、国民から離反している。
東京電力福島第1原子力発電所の事故をめぐり、原子力の専門家がまとめた最悪事態を想定したシナリオが菅直人前首相周辺で封印されていたことが分かった。
未曽有の原発事故の検証を将来にわたって阻む要因となりかねない不祥事だ。
ごく限られた政府中枢の判断で、国民の安全に直結する情報が闇に葬られては、民主主義国家の体をなさない。国民への裏切りである。
「安全神話」がもろくも崩壊した原発事故をめぐる情報操作の深い闇を示す事案であり、政権が伏魔殿と化しているのではないかという疑念を抱く。
「最悪シナリオ」は昨年3月11日に起きた福島第1原発事故から2週間後に内閣府の原子力委員会の近藤駿介委員長が作成した。
原子炉格納容器が破損し、作業員全員が総撤退する状況になった場合、大量の放射性物質の断続的放出が約1年続くと想定している。
強制移転区域が半径170キロ以上に及ぶ可能性があるなどと指摘する、衝撃的な文書を見た菅首相ら政権幹部が「個人的文書」と位置付け、「なかったこと」にした。昨年末に一部報道で暴露され、一転して内閣府の公文書として公開するドタバタぶりだ。
制御不能に陥った原子炉が暴走すれば、最悪シナリオは現実のものとなっていただろう。
放射性物質にさらされかねない広範囲な国民にとっては生命の安全を左右する最も重要な情報であるにもかかわらず、政府関係者は「文書の存在自体を秘匿する選択肢も論じられた」と証言している。
混乱を避ける意図があったと想定できるが、国民の生命と国の存亡に直結する情報の公開の可否判断まで、政権は負託されていない。
米国の圧力に抗(あらが)えず、沖縄返還時の巨額裏負担を認めた日本政府の判断は、今に続く沖縄の基地過重負担の源流となった。
米国はイラク戦争突入の理由に存在しない大量破壊兵器を挙げて、世界を欺いた。開戦不可避の状況に仕向けた超大国の情報操作も記憶に新しい。
国民が知るべき危機管理情報の開示に背を向け、あるいは操作する政権は大きな過ちを犯す。
歴史を繰り返してはならない。
Posted by 大沼安史 at 04:43 午後 | Permalink

















