〔河北新報〕 社説 原発の運転期間 「最長60年」は容認し難い(22日付け)/「原則として40年と決めながら、さらに20年も延びる可能性があるとしたら、40年に一体何の意味があるのか……」
政府は本当に、原子力施設の安全性向上に取り組むつもりがあるのだろうか。福島第1原発事故を経験した今になってもなお、危機感が不足しているように見える。
細野豪志原発事故担当相が、原発の安全確保を担う「原子炉等規制法」の見直し案を公表した。原発の運転期間を原則40年に制限することや、法令で「過酷事故」の対策を求めることなどが盛り込まれた。
原子炉内の核燃料が損傷を受けた福島第1原発のような事故の対策は、これまで電力会社の自主性に任されてきた。法律の規制対象になっていなかったのは驚きだが、見直すことは取りあえず一歩前進といえる。
法律で決まっていなかった原発の「定年」を新たに盛り込むことも評価できる。原発は複雑で巨大なプラントであり、運転期間が長くなればなるほど老朽化が進み、さまざまなトラブルや不具合を引き起こす可能性が高まってくるだろう。
運転期間に上限を設ければ、事故の未然防止という効果も期待できるはずだ。40年が妥当かどうかは別にしても、具体的な数字を示したことは安全確保への前向きな取り組みだった。
ところが政府はその後、例外的に認める運転の延長について「20年を超えない期間」とする考えを明らかにした。つまり、場合によっては60年の運転が認められるということだ。
原則として40年と決めながら、さらに20年も延びる可能性があるとしたら、40年に一体何の意味があるのか疑われてしまうだろう。
安易に例外規定を設ける姿勢がまず問題だ。電力会社から運転期間延長の申請があった場合、原発施設の状況や技術力を審査し、問題がなければ認めるという。「運転期間は原則40年」と決めれば、ある程度の幅は想定されるのだから、わざわざ延長につながる規定を置く必要はないのではないか。
細野担当相は「延長の可能性は残っているが、40年以上の運転は極めてハードルが高くなった」「政治判断が入り込む余地はない」と説明し、厳しく審査することを強調している。だが、延長幅が最長20年にもなるのでは、その言葉は素直に信じられない。数年程度ならまだしも、長すぎるだろう。
原発の耐用年数はかつて30~40年といわれてきたが、1999年に経済産業省(当時は通産省)が「30年以上の継続運転は可能」という内容の電力会社側の報告書を認めた経緯がある。せいぜい40年と思われてきた運転期間がなし崩し的に延び、既に40年を超えた原発がある。
福島第1原発には原子炉が6基あるが、運転開始から1号機は40年、2号機は37年、3号機は35年が過ぎた。
原発の長期運転が現実化する中で、地元の自治体は老朽化を心配していた。福島県はおととし、3号機の核燃料にプルトニウムとウランを使うプルサーマルを認めたが、耐震安全性や老朽化対策を条件にした。政府や電力会社はそのことを決して、忘れてはならないはずだ。
Posted by 大沼安史 at 11:34 午前 | Permalink
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