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2012-01-30

〔除染NEWS〕 焦点/福島 除染計画進まず/26市町村策定、着手3市村のみ

 河北新報 → http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/index.htm

 福島第1原発事故で放出された放射性物質の除去を目的に、福島県内の市町村が策定した「除染計画」が行き詰まっている。除染のためには取り除いた土などを保管する仮置き場が必要だが、地元住民の反対で候補地の選定が難航しているためだ。このままだと除染作業が大幅に遅れ、せっかくの計画が宙に浮く市町村も出かねない。(浦響子記者)

◎ 仮置き場確保難航/住民反対根強く

 除染計画を既に策定したか、今後策定を予定しているのは40市町村。放射性物質汚染対処特別措置法に基づき、国の費用負担で住宅や農地、公共施設の除染を進める。

 県によると、昨年末までに26市町村が計画を策定したが、実際に住宅などの除染作業に取り組んでいるのは福島市、伊達市、川内村だけ。ほかの市町村は仮置き場選定が進まないなどの理由で、作業に入れていない。

 仮置き場での保管期間は、国が中間貯蔵施設を建設するまでの3年間とされる。

 河北新報社の取材によると、除染計画を策定した26市町村中、仮置き場が全て決まったのは広野町のみで、まだ1カ所も決まっていない自治体も多い。難航の原因は、周辺住民の反対意見が根強いためだ。

 相馬市では今月、ようやく1カ所目の仮置き場が決定したが、昨年秋に2カ所の候補地を決めて住民説明会を実施したときは反対意見が多く、いずれも断念している。昨年末、3カ所目の仮置き場の確保を目指した桑折町も住民の反対を受け、まだ決定に至っていない。

 国は中間貯蔵施設を3年以内に設置する方針だが、いまだに具体化していないことも、住民の不信感を高める結果になっている。

 県南地方にある自治体の担当職員は「仮置き場は期間限定だと説明したところで、中間貯蔵施設がきちんと決まらない限り、住民は納得してくれない」と打ち明ける。苦肉の策として民家の敷地内などに「仮々置き場」を設ける自治体も目立っている。

 西郷村は仮置き場が決まるまで、除染作業を行った各民家の敷地内に保管することにしている。村の担当者は「仮置き場に直接搬入する方が効率はいい。できるだけ早く決めたいが、候補地の住民の理解を得るまでには、かなりの時間が必要になる」と説明する。

 県除染対策課の鈴木克昌課長は「仮置き場は、ごみ処理場などと同じ『総論賛成各論反対』になってしまう。時間をかけ、安全性を訴えるしかない」と話す。

◎「2月開始」暗雲/住民不信感、市「理解お願いするしか」

 除染に伴って出る土などの仮置き場の設置が難航している福島県内の各自治体。南相馬市でも市側の説明に住民が納得せず、いまだに決まらない。既に除染計画を策定した同市は、来月の作業開始を予定するが、見通しは立たないままだ。

<「地区ごと造れ」>

 「仮置き場を造らないと、市全体の面的な除染は進まない。一日も早く設置をお願いしたい」

 今月中旬、同市原町区で開かれた仮置き場の説明会。桜井勝延市長が訴えたが、候補地近くの住民約40人からは反対意見が噴出した。

 「なぜ放射線量の高い山の方から、線量の低い海の方に(汚染の可能性のある)土壌を運ぶのか。地区ごとに仮置き場を造ればいい」「今でも風評被害で農作物が売れない。仮置き場が来たら、ますますひどくなる」

 候補地になったのは、海に近い約28ヘクタールのゴルフ場跡地。現在は市有地で、近くには農地や住宅がある。環境省と市の出席者は「放射線を外部に出さないようにする」などと安全対策を説明したが、住民の不信感は拭えなかった。

 「国や市が安全だと言って、今まで安全だったためしがない」。そんな痛烈な声も浴びせられた。

 終了後、桜井市長は「7地区の説明会を全て終えた上で、(感触を見て)練り直しも含めて考える」と説明したが、いつまでに結論を出すのかは明言を避けた。

 南相馬市は昨年11月、除染計画を策定した。警戒区域の小高区を除く原町、鹿島の両区を対象に生活圏は2年間、農地は5年間かけ、放射線量の半減を目指す。

 来月、実際に作業を始める予定で、取り除いた土などは原町区と鹿島区に1カ所ずつ設ける仮置き場に保管することになっている。

 「除染作業は大規模になり、千人単位の人手が必要」(市除染対策室)。除染スタートに備え、市は既に業者の募集を始めているが、契約のめどは立たない。仮置き場が決まらなければ、作業に踏みだせないからだ。

<2万人が市外へ>

 南相馬市にとって、除染は市の将来を左右する切実な問題になっている。福島第1原発事故前、約7万1600だった人口は約4万3400(26日現在)にまで激減。2万人以上が市外への避難を続けている。

 小さい子どもがいる家庭からは「除染が進まないと帰れない」との声が多く寄せられている。避難している市民に帰還を促すためにも、一刻も早く除染に取り掛かることが迫られている。

 市除染対策室の羽山時夫室長は「業者は除染作業に乗り気で、仮置き場さえ決まれば一気に除染が進む可能性がある。候補地を別の所にするのも難しく、今の候補地で理解をお願いしていくしかない」と言う。2012年01月30日

Posted by 大沼安史 at 05:50 午後 |

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