〔フクシマ・沖縄タイムス・社説〕 [原発事故中間報告] 思考停止が招いた人災(30日付け)/「これほどまでに危機意識の欠如した組織に、原発という、巨大システムの安全を委ねていたかと思うと背筋が凍る」
→ http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-12-30_27975/
◎ 沖縄タイムスが社説でフクイチ事故を「複合的な人災」とする見方を示した。
「フクイチ複合人災」――新年はその責任追及の年でもある!
◇
これほどまでに危機意識の欠如した組織に、原発という、巨大システムの安全を委ねていたかと思うと背筋が凍る。事態がここまで悪化したのは複合的な人災ではないか。
東京電力福島第1原発事故はなぜ起きたのか。政府の事故調査・検証委員会がまとめた中間報告は、根拠のない安全神話の上にあぐらをかいて過酷事故対策を怠り、事故発生後の対応が甘く、関係機関の情報共有や伝達が不十分だったことで被害が拡大した、との全体像を明らかにした。
中間報告によると、東電は、最大15・7メートルの津波の可能性があるとの試算を2008年に得ていた。にもかかわらず、防潮堤の設置など具体的な措置を講じなかった。規制官庁の経済産業省原子力安全・保安院も、東電から報告を受けながら対策を求めなかった。
地震や津波の被害と、原発の重大事故の「複合災害」が起こりうる、という視点が、双方に欠けていたからである。
事故発生後も、東電は、重要な原子炉冷却装置の稼働に関する判断ミスが相次いだ。そもそも運転員は、非常用装置を作動する訓練を受けていなかった。
司令塔である政権中枢も情けない。政府が総力を挙げて非常事態に対応しなければならないときに、官邸に設置された原子力災害対策本部は、意思疎通が不十分で機能不全に陥った。
「想定外」は言い訳にすぎない。安全を後回しにして「官」と「業」がもたれ合う原子力ムラの精神文化にどっぷり漬かっているうちに、国も東電も思考停止に陥った。その結果が今回の事故である。
事故対応に、住民を守る意識が希薄だったことも浮かび上がる。
その最たるものが緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)のデータが、住民避難に生かされなかった事実だ。
一部住民の避難経路は、放射性物質が飛散した方向と重なった。データの分析結果が即座に公表されていれば、住民が「無用の被ばく」を避けられた可能性があった。
「直ちに影響なし」。事故直後に放射線の影響をめぐり当時の枝野幸男官房長官らが記者会見で繰り返した表現についても、中間報告は「不適切」だとした。
心配する必要はないのか、長期的には影響があるのか、受け取る側には分かりにくい。曖昧な説明は、かえって住民を不安に陥れ、政府への不信感を募らせてしまった。
約450人への聴取に基づく中間報告。「原発事故対策は、どんなに確率の低いことでも対処できるよう考え方を転換すべきだ」との提言を重く受け止めてもらいたい。
来年夏の最終報告に積み残された課題は少なくない。地震による影響はどの程度だったのか。菅直人前首相をはじめ当時の閣僚らへの聞き取りもこれからだ。
野田佳彦首相は早々と事故収束を宣言したが、住民にとって平穏な生活への道のりは遠い。沖縄をふくめ全国各地で避難生活を強いられている住民らの「なぜ」に応える最終報告を求めたい。
Posted by 大沼安史 at 09:45 午前 | Permalink
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 〔フクシマ・沖縄タイムス・社説〕 [原発事故中間報告] 思考停止が招いた人災(30日付け)/「これほどまでに危機意識の欠如した組織に、原発という、巨大システムの安全を委ねていたかと思うと背筋が凍る」:

















