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2011-12-24

〔フクシマ・福島民報〕 線引き割れる対応 避難区域再編案 

 → http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4107&blockId=9918504&newsMode=article

 ・ 飯舘村の菅野典雄村長は「半分以上のエリアが帰還可能とならない限り、村の生活は成り立たない」という。村内を同一の地域に設定するよう求めたが、政府から明確な返答はない。

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  「自治体崩壊の危機だ」-。東京電力福島第一原発事故で、政府が避難区域再編案を打ち出したことから市町村に混乱が広がっている。町内の大半が「帰還困難区域」に設定される可能性のある双葉町は、町長が地域コミュニティーを守るための苦肉の策として「仮の町」への全町移転を提案。大熊、浪江両町は住民帰還に向け、町内を生活圏と非生活圏に分けて地域づくりを再開する方向で動き始めた。ただ、放射線量による線引きが地域を分断することに関係者の苦悩は深く、手探りの検討が続く。

■集団移転

 双葉町の井戸川克隆町長は、政府が避難区域見直しの説明会で示した放射線量マップにがくぜんとした。

 町内の広範囲が年間線量50ミリシーベルト以上で、長期にわたり戻ることの難しい帰還困難区域に設定される可能性があった。一部地域だけ帰還できたとしても、町の再生は困難だとの思いが強くなる。そこで発案したのが、一定期間、住民が町外でともに暮らす「仮の町」を設ける構想だ。郡内を離れれば、高い放射線量にさらされる危険がなくなる可能性もある。
 町から東京都に避難している農家の男性(34)は「町の放射線量は全体的に高い。現実を直視した場合、古里を離れるという考え方も選択肢の一つだ」と理解を示す。

 ただ、国の承認や仮の町の設置場所と時期、建設手法などは全て白紙だ。どのように町民の合意形成を図るのか見当もつかない。井戸川町長は「町民は今後の生活に不安を感じている。安心して暮らせる環境づくりが必要。スピード感を持って進める」と力説するが、極めて異例の計画だけに実現には険しい道のりが予想される。   

■皮肉

 大熊町は町西部地区を復興の拠点とする案を練る。福島第一原発に近い東部地区に比べ線量が低く、避難指示解除準備か居住制限のいずれかの区域に設定されるとみられるからだ。 

 行政機能を置いて町内の除染とインフラ復旧を進める構想で、徐々に帰還できる範囲を広げていくことを想定している。ただし、山間部が多い西部地区だけに、開発と、学校などの公共施設や住宅整備には膨大な予算と時間が必要となる。町民に明確な青写真を示せるのは当分、先になりそうだ。

 一方、浪江町の職員は「人口の多い町東部が解除準備区域になりそうだ。除染が進めば、住民の帰還に一筋の光明が差す」と少しだけ明るい表情を見せた。

 町の人口は双葉郡最多の2万1000人。このうちの8割が、避難指示解除準備区域と居住制限区域の候補となる地域の住人だ。ただ、請戸地区など放射線量が比較的低い沿岸部は津波で人家が壊滅的な被害を受けている状況にある。線量は低くともわが家に戻ることのできない皮肉なケースも出てきそうだ。

 内閣府被災者生活支援チームは「新たな区域分けは住民の被ばくリスクを考えた上での対処であることを理解してほしい」と説明するが、それぞれの市町村は線量による線引きだけでは解決できない多くの課題を抱えることになった。   

■見えない壁

 「どうやって区域分けをすればいいのか、見当もつかない。大変な作業になる」。富岡町の担当職員はため息をつく。

 町は福島第一原発に近い北部で線量が高く、南部は低い傾向にある。北東部の小良ケ浜地区は年間線量(推計値)が110ミリシーベルト。中心部に近い本岡地区は70ミリシーベルト程度で、楢葉町に近い上郡山地区周辺は20ミリシーベルトを下回る見込みだ。単純に線量で区域分けした場合、人口が多く店舗や公共施設が立ち並ぶ繁華街の付近で「避難指示解除準備」と「居住制限」の両区域に分かれる可能性がある。

 町内に、放射線で分断された目に見えない壁が築かれる格好だ。町は線量だけでなく、地域や集落ごとの事情も加味して区域分けすることを検討しているが、対策が具体化するまでにはかなりの時間が必要だという。

 いわき市に避難する男性(63)は「同じ町内なのに100メートル離れるだけで住めるか、住めないかが決まるのはふに落ちない。しゃくし定規な対応はしないでほしい」と注文を付けた。   

■暗 雲

 政府は、住民の早期帰還を目指す避難指示解除準備区域内でインフラ復旧を早急に行う考えだ。しかし、現在は警戒区域として立ち入りが制限されている地区は被害の状況確認が進んでいない。住民の早期帰還に暗雲が垂れ込める。

 南相馬市小高区は比較的に線量が低く避難指示解除準備区域の候補だが、3771戸の住宅のかなりの数が損壊している。沿岸部の角部内地区では堤防が約130メートル決壊、井戸川地区では東西2キロ、南北1キロにわたって冠水した状態が続いている。帰還の見通しを立てることは現時点で不可能だ。

 町内の広範囲で年間線量が20ミリシーベルトを下回る楢葉町は、下水道管などの被害状況を把握できていないという。葛尾村は区域設定と並行して、住民が安心して帰還できる線量の基準を示すよう政府に求めている。

■山木屋は一つ

 計画的避難区域に指定されている川俣町山木屋は地区東部が居住制限区域に、西部が避難指示解除準備区域にそれぞれ設定される可能性がある。

 「避難した時も住民は一緒に移動した。戻る時も、もちろん一緒。山木屋は一つだ」と、古川道郎町長は力説する。

 地域が二つに分かれてしまえば住民同士のつながりまで分断される。統一的な対応を取るよう政府に求めている。「『友達と離れたくない。一緒に山木屋に帰りたい』という児童の声が届いている。その気持ちを大切にしてあげたい」と目を潤ませた。

 村内全域が計画的避難区域となっている飯舘村の菅野典雄村長も考え方は同じだ。「半分以上のエリアが帰還可能とならない限り、村の生活は成り立たない」という。村内を同一の地域に設定するよう求めたが、政府から明確な返答はない。
(2011/12/24 08:44) 

Posted by 大沼安史 at 11:50 午前 |

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