〔フクシマ・ノート〕 対岸の死の灰 ◇ 放射性漂流瓦礫 再来年まで1800万トンが漂着 /「選挙の年」 一気に問題化へ /日本への除染費用・損害賠償の請求も /愚かな日本「政府」 たった1隻の回収船も出さず!(南極「調査」捕鯨に邁進) /日本、孤立化の恐れ
日本国内での死の灰で汚染された放射性瓦礫の全国分散処理問題に批判が集まる中、こんどは太平洋の向こう側、北米・西海岸に放射性漂流物の漂着問題が浮上、国際問題化しそうな気配だ。
単なる津波による漂流物ならまだしも、放射性物質によって汚染されたものとあって、測定検査や廃棄処分など余分なコストがかかるため、日本政府、あるいは東電に対して、除染処理費、およびの損害賠償の請求が行われる可能性は否定できない。
その場合、日本にとってさらに深刻な事態が生まれる。
日本政府は官僚の無知と無責任さで、国際的な原発保険条約に加盟しておらず、裁判を提起された場合、日本国内の裁判所で裁判を行うことができない。裁判はアメリカやカナダの裁判所で行われることになる。
(加盟していれば、いくらでも、「門前払いの却下判決や不当判決を連発できたのに」……という霞が関の嘆き節が聴こえてくるようだ……)
カナダからの報道によれば、日本からの漂着物が最初に流れ着いたバークーバー島の海辺の町、トフィノ(Tofino)では、年明け1月に町議会を開催し、連邦政府の支援を求める決議を上げる。
→ http://www.cbc.ca/news/canada/british-columbia/story/2011/12/25/bc-japan-debris.html
処理のための人員・機材はおろか、埋設処分地もないからだ。
カナダの法律では、有害な漂流物の処理は州政府の責任になっているが、西岸のブリテッシュ・コロンビア(BC)州政府は連邦政府にも支援を求める方針。
AP通信の報道によれば、BC州方向に向かって流れている漂流物は、なんと1800万トン(18 million tonnes of tsunami debris drifting to B.C.)。
→ http://www.cbc.ca/news/technology/story/2011/10/25/japan-tsunami-debris.html
ハワイ大学の研究者によると、それほど膨大な量の漂流物が再来年、2014年まで漂着する見通しだ。
ここで問題になるのは、漂流物がどの程度、フクイチ放出の放射性物質で汚染されているか、だ。
これについて、米政府機関のNOAA(海洋大気局)は、汚染は「かなりありそうもない(highly unlikely)」との見方をしている。
However, it's highly unlikely the tsunami-generated debris would be contaminated with radioactive material, according to the National Oceanic and Atmospheric Administration's marine debris program.
たしかに、海水に揺られ、揉まれ、洗われているわけだから、高度な放射能汚染はなさそうな気がする(なんとか、そうあってほしいと願うばかりだが)、問題は瓦礫漂流物を運んでいる海水自体が、フクイチ発の海洋・大気放出放射性物質で汚染されていることである。
漂流物だけが問題ではない。死の灰の漂流それ自体が問題なのだ。
北米西海岸への漂流瓦礫の漂着は、フクイチが起こした海洋汚染、生態系破壊の「目印」となる。
それによって、北米の人々の漁業(あるいは農業)被害に関する危機意識を掻き立てることになることは、最早避けられない。
拙著、『世界が見る福島原発災害 2』(緑風出版)で指摘したように、日米両国政府は4月の時点で秘密協定を結び、北米大陸の汚染問題、日本からの輸入食品問題に蓋をしたとみられる。(信頼すべき証言あり)
しかし、「漂流物」という目にみえた形で、フクイチの死の灰の恐怖が現実化する中で、米政府(及び、それに追随しているカナダ連邦政府)の隠蔽・矮小化工作がどこまで成功し続けるかは、はなはだ疑問だ。
米国のメディアの中では、来年のアメリカは「選挙の年」だから、キャンペーン・イッシュー化する、との指摘が早くも出ている。
→ http://www.allvoices.com/contributed-news/11174520-will-fukushima-ocean-trash-become-a-campaign-issue-in-2012
メキシコ湾沿岸の原油汚染問題とリンクした形で、西海岸のフクイチ漂着物汚染問題が選挙戦の争点――いや候補者の公約になる可能性が強いのだ。
それにしても、日本「政府」のなんと愚かなことよ!
すでにふれた原発保険条約への未加入もさることながら、漂流物の回収を完全に怠った罪は大きい。
日本政府はたった1隻の回収船も出さなかった!
南極海での「調査」捕鯨には熱心なのに、太平洋を死の灰で汚染して、クジラなど海洋生物に脅威を及ぼしていることについて、フランスの環境・生物保護団体、「ロビン・フッド(Robin des Bois)」が7月に批判声明を発表するなど、日本政府に対する世界の目はいちだんと厳しくなっている。
→ http://www.allvoices.com/contributed-news/11174520-will-fukushima-ocean-trash-become-a-campaign-issue-in-2012
その意味で北米西海岸の放射性漂流物を、フクイチによる太平洋チェルノブイリ化は、知らんぷりを決め込むことができる「対岸の火事」ではない。
日本国内は御用マスコミを使って抑え込むことができると思っているようだが、こんどばかりはそうはいかない。
北米西海岸の長い海岸線に沿って、対日批判の火の手が上がる……。
Posted by 大沼安史 at 12:15 午後 | Permalink

















