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2011-12-27

〔フクシマ・新聞社説〕 政府事故調 中間報告 日経・毎日・読売

 ◇ 日経新聞 「すべての記事 踏み込みもスピードも足りぬ事故調報告」 → http://news.google.co.jp/news/story?pz=1&cf=all&ned=jp&hl=ja&ncl=db__Z5m5M6fcxIMqxXiIl_7wNPWnM

 ◇ 毎日新聞 「最終に向け踏み込め」 → http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20111227k0000m070115000c.html

 ◇ 読売新聞 「首相官邸が混乱の一因だった」 → http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20111226-OYT1T01384.htm

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 ◇ 日経新聞 「すべての記事 踏み込みもスピードも足りぬ事故調報告」 → http://news.google.co.jp/news/story?pz=1&cf=all&ned=jp&hl=ja&ncl=db__Z5m5M6fcxIMqxXiIl_7wNPWnM

 事故の根本的な原因への踏み込みも、解明するスピードも、この報告では足りないと言わざるを得ない。福島第1原子力発電所に関する政府の事故調査・検証委員会(委員長・畑村洋太郎東大名誉教授)が中間報告を公表した。

 チェルノブイリ原発事故と並び最悪となった福島事故は、多くの人が被曝(ひばく)する重大事故への備えの甘さや、原子力安全規制、危機管理のあり方など様々な問題を浮かび上がらせた。事故の全容解明や、再発防止にどう役立てるかは、被災者や国民だけでなく世界が注視している。

 問題の本質に迫り、教訓を引き出せたのか。中間報告とはいえ多くの点で疑問と不満が残る。

 報告は「想定外の津波に対処しきれなかったという弁明では済まない」と事故を総括し、(1)東京電力が過酷事故の対策を取っていなかった(2)国も地震・津波と原発事故が重なる災害を想定していなかった(3)原子力災害の全体像を誰も見渡せなかった――と指摘した。

 東電と国のそれぞれで何が欠けていたかを明らかにした点は、ひとまず評価できる。しかし、対策や想定がなぜ欠落してしまったのかが、報告では分からない。

 国が原発の安全確保を電力会社まかせにし、電力会社は国の想定がないことを言い訳に対策を取らない。「原子力ムラ」と呼ばれる行政・電力会社がもたれ合い、外部の声を聞かなかったことが事故の遠因ではなかったか。

 菅直人前首相ら当時の政府首脳の初動や情報公開が適切だったかも、聴取が年明けになるとして盛り込まなかった。その解明に加え、過去の政府・東電幹部らの証言を集めて、事故の全貌の歴史的な検証が要る。

 今月中旬に発足した国会の事故調査委員会は、参考人招致や資料提出などで国政調査権を使うことができる。政府事故調の手に負えない点があるのなら、国会調査委との連携も考えるべきだ。

 事故原因の究明は他の原発の再稼働を左右する。政府が来夏に見直すエネルギー戦略でも欠かせない判断材料になる。事故調は同じ時期に最終報告を出すというが、それでは遅い。事故から1年になる来年3月の節目には、掘り下げた検証結果を示してはどうか。

 事故を巡る政府の情報発信は混乱し、国内外から不信を買った。最終報告は国際社会の信頼を取り戻す内容にしなければならない。

 ◇ 毎日新聞 「最終に向け踏み込め」 → http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20111227k0000m070115000c.html

 政府の原発事故調査・検証委員会がまとめた中間報告は500ページを超える。456人から計900時間ヒアリングした結果だという。

 報告からは改めて東京電力や政府の対応に大きな問題があったことが浮かぶ。一方で、物足りなさも感じる。パズルのピースは埋まってきたが全体像が見えてこないからだ。

 ひとつの理由は閣僚からのヒアリングがすんでいないためだろう。事故時に意思決定が行われていたのは「官邸5階」であり、ここに関係閣僚や原子力安全委員会の委員長、東京電力幹部が参集していた。

 事故対応の鍵を握っていた閣僚が何をし、何をしなかったか。指揮命令系統のどこに不備があったか。それが検証されない限り核心に迫ることはできない。最終報告までに徹底検証してもらいたい。

 もうひとつは、事故に至った背景にある「安全文化」の問題に深く切り込んでいない点だろう。

 東電は津波や過酷事故への対策も事故時の対応も、極めて不十分だった。原子力安全・保安院もまったく役に立たなかった。報告は厳しく批判しているが、では、これらの組織がなぜ、そういう集団になってしまったのか。歴史的背景や政府と東電のもたれあい、集団心理にまで踏みこんだ検証が必要だ。

 市民の多くが抱えてきた疑問にも答え切れていない。たとえば放射能の拡散を予測する「SPEEDI」の結果がなぜすぐに公表されなかったのか。報告は役割を担うべき政府の各組織に「広報する発想がなかった」との指摘にとどめている。

 情報の流れが意図的に止められた事実はないのか。どうすれば住民避難に役立てられたか。もっと踏み込んでほしい。

 過酷事故対策が不十分だった点について民間である電力会社の論理を斟酌(しんしゃく)している点にも疑問がある。自主対策の限界はあるとしても、最終的には東電に安全の第一義的責任があることを忘れてはならない。

 報告から全体像が伝わってこないのは書き方に問題があるからかもしれない。膨大なヒアリングを報告にまとめる段階で具体的情報が抜け落ちてしまった部分が見受けられる。主語がはっきりしない文章や抽象的な言い回しも本質をぼやけさせる。

 最終報告ではそうした点にも留意してほしい。全体の流れを追えるよう時系列に沿って組織や人の対応をまとめることも検討してはどうか。

 米スペースシャトル「チャレンジャー」事故の調査委では物理学者ファインマンが組織の論理にとらわれない独自の見解を報告に付け、広く受け入れられた。そんなことも念頭に置いて検証を進めてほしい。

 ◇ 読売新聞 「首相官邸が混乱の一因だった」 → http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20111226-OYT1T01384.htm

 東京電力福島第一原子力発電所事故に関する政府の「事故調査・検証委員会」が中間報告を公表し、政府、東電が犯した判断ミスを指摘した。

 教訓を、今後の原発の安全確保に生かしてもらいたい。

 とりわけ深刻だったのは、首相官邸の混乱だ。官邸が「助言」として東電に発したものは、ほとんどが役に立たず、現場に悪影響を与えたものもあったという。

 原子炉1号機冷却のための海水注入を巡る混乱は代表例だ。炉心は空焚(だ)きの状態で、過熱を止めるには注水が必須だったが、菅前首相が「再臨界」を懸念した。

 東電本店は、首相了解なしと解釈して、すでに始まっていた海水注入の中断を現場に指示した。だが、福島第一原発の所長は、止めれば危険と判断し、続行した。

 所長は「続行」を部下に指示する一方、本店とのテレビ会議では「海水中断」を宣言する芝居を演じざるを得なかったという。

 原因として中間報告は、政府内の連携不足や、政府と東電の意思疎通の欠如を挙げている。

 関係省庁幹部らが詰めていた官邸地下の「危機管理センター」は携帯電話が通じず、菅前首相ら首脳は「官邸5階」に陣取って独自に情報を収集し、指示を出していた。政府中枢が分断していた。

 「福島第一原発を東電が放棄し、全面撤退」との誤情報に基づいて、菅前首相が東電に乗り込んだのは混乱の極みと言えよう。

 中間報告は、住民避難の混乱や放射性物質拡散予測システム「SPEEDI」の情報公開の遅れも原因は同じ、と批判している。

 原発事故に限らず、緊急時に政府が一丸で対応できる危機管理体制を構築しておくべきだ。

 現場の対応が適切であれば、破局的な事態を防げた可能性があることも指摘されている。

 1号機では、津波襲来で電源が失われ、緊急冷却装置が自動停止した。だが、現場も東電本店も作動中と誤解していた。この装置の停止を踏まえ、消火配管などから冷却水注入を急げば、炉心溶融を遅らせることができた。

 原発を襲う「想定外」への備えが甘かった、と中間報告は結論付けている。政府、原子力関係者は重く受け止めねばなるまい。

 中間報告は、津波到来まで重要機器が正常に作動していたことから、地震による重大な損傷はなかったとの判断も示している。

 停止している各地の原発について、政府が再稼働を判断する際に考慮すべき事実だろう。

Posted by 大沼安史 at 08:41 午前 |

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