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2011-12-28

〔東京新聞・社説〕 原発事故報告 設計欠陥に迫る姿勢で(28日)

 → http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011122802000054.html

◎大沼 一呼吸おいて出て来た東京新聞の社説はさすがである。

 最も重要なポイントを突いている。
 「全電源喪失や大地震に耐える設計だったのか」――

 海外から、フクイチで「耐震(SQ)偽装」が行なわれていた、と告発が出ている……

 政府事故調が失敗事故調であることがハッキリした以上、国会事故調に期待するしかないが、この際、もうひとつ、日本の政治経済権力の中枢に向けて、言っておきたいことがある。

 それは、米国のS社主導で行われたという「フクイチ耐震偽装」を表に出すことは、TPP、F35で押しまくられて来た対米関係に、巻き返しのチャンス――あるいは抵抗の足場を築くものになりうるということだ。「対米損害賠償」の「切り札」さえ手に入れることができる。

 日本の検察はロッキード事件で使い走りをさせられた屈辱を「フクイチ耐震偽装疑惑」の解明で晴らせ!

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  福島第一原発の事故調査・検証委員会の中間報告では、人災面の問題が浮き上がる。だが、全電源喪失や大地震に耐える設計だったのか。疑われている原発自体の欠陥まで踏み込む姿勢が必要だ。

 確かに「想定」とは人の頭で枠が決められる。「失敗学」で知られる同委員会の畑村洋太郎委員長は「人間が考える範囲を決めたら、その内側のことは考えるが、外側は考えない」と語った。事故後に政府や東電が繰り返した「想定外」の言葉への批判だろう。

 報告書を読むと、全電源を喪失した原発内で、数々の落ち度があったことが分かる。原子炉に注水する非常用冷却装置(IC)が稼働しているという誤認があり、その代替手段の準備が遅れた。そもそもICを作動させた経験のある作業員はいなかった。別の冷却装置も、運転員が手動停止させ、幹部はその事実を知らずにいた。

 非常時の仕組みを十分に理解しておらず、爆発事故という最悪の事態を招いたことは深刻で、中間報告も「極めて不適切」と非難した。むろん政府の対応にも多くの問題がある。

 放射性物質の拡散を予測する「SPEEDI(スピーディ)」のデータを公表する発想がなかったのは驚くばかりだ。拡散方向に避難する人々の命をどう考えていたのか。憤懣(ふんまん)やる方ない。

 経済産業省原子力安全・保安院が「炉心溶融が起きている」と説明しながら、官邸の横やりで「炉心状況は不明」と翻したのは言語道断だ。打つ手なしと判断すれば、口を閉ざすのか。今後、当時の菅直人首相ら政府首脳への聞き取りを進めるが、ただ説明をうのみにしてはなるまい。反証しつつ、正確な状況再現を求めたい。

 不可解なのは、「地震動のみによる大きな損傷はなかったと推定」していることだ。東電の解析にすぎないはずだ。原発政策に関わるだけに、専門家を交え、より客観的な検討を行うべきだ。

 人災面を強調するだけではいけない。複雑なシステムであればあるほど、人間は失敗を犯すものだ。状況誤認や誤操作があっても、常に安全側に働かせるのがフェイルセーフの思想だ。

 原発のような破局をもたらす機械は、地震大国ではより、その思想が徹底されねばならない。原発自体の設計やシステムに欠陥はなかったのか。そこに焦点を当てて検証し、来年夏の最終報告で「失敗学」を生かしてほしい。

Posted by 大沼安史 at 10:49 午前 |

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