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2011-12-27

〔フクシマ・NEWS〕 ウォールストリート・ジャーナル日本版 「当局と東電の深刻な対策不備を指摘―福島第1原発の事故調が中間報告」/責任追及の勧告もせず

 → http://jp.wsj.com/Japan/node_366256

  同調査委は、聞き取り調査を強要する権限は持たない。また、特定の個人を非難することはせず、責任追及の勧告もしていない。

 米国で同様の調査が行われる場合、召喚状を出す権限を持ち、企業や関係者に対し刑事・民事両面での責任追及を行うのが常だ。昨年4月にメキシコ湾で起きた原油流出事故で、米国政府は6月には民事・刑事の責任を問うための捜査を開始した。

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 日本政府が委託した東京電力福島第1原発事故調査・検証委員会は26日、政府が現場近くに設置した緊急対応センターに放射能除染ができる空気洗浄装置がなかったことなど監督・規制当局の深刻な不手際を指摘する中間報告をまとめた。


Agence France-Presse/Getty Images/Ho/Tepco via Jiji Press

This handout picture shows black smoke rising from the Fukushima Daiichi nuclear power plant in March. According to an interim report by an independent panel, Japanese regulators were unprepared for a serious accident at the plant.
 同報告はまた、原発を運営する東京電力についても、原発の運転責任者が最初に水素爆発を起こした1号機で緊急時に炉心を冷却させる仕組みを理解していなかったなど、極めて不適切だったと非難した。また3号機では、エンジニアらが事故防止に不可欠な炉心冷却水の注入装置を、他の冷却水注入法が残されているかどうかを確かめずに停止、この結果、既に過熱状態になりつつあった同機を7時間近く冷却水の流入なしの状態にしてしまった、とした。

 3月11日の東日本大震災と大津波で電源を喪失、国内で史上最悪となったこの原発事故について原因の徹底究明とその責任の所在を明確にするための公式の調査結果が報告されたのはこれが初めて。計500ページにわたるこの中間報告書は、事故に関わった456人に直接聞き取り調査などによってまとめられた。

 同報告書は、監督する政府、運営する東電の双方にこうした重大事故に対応できる体制が不備だったことを指摘しているが、これは東電が先に発表した事故直後の対応で運営上の重大な過失はなかったとした自己調査の結果と真っ向から対立する。

 中間報告を野田佳彦首相に提出後、会見に応じた同調査委の畑村洋太郎委員長は、これまで日本全体が原発事故のリスクと真剣に向き合うことを避けてきたとし、人は見たくないもの、聞きたくないもの、考えたくないもの、これら全てにふたをしてしまいがちだ。今回の事故は、人間のこうした欠点を改めて認識し、災害対応計画を作る際にこの欠点が生むリスクを計算に入れることを教えてくれたと述べた。

 同原発では津波に襲われた後の数日間で当時稼動していた原子炉3基全ての制御を失った。報告書は、その過程で東電が犯した重大なミスを詳しく描写している。

 一例を挙げると、3月11日に電源喪失で自動的に作動する「フェール・セーフ(安全確保)」システムにより、1号機に冷却水を注入する非常用復水器の注入弁が閉じた。ところが東電のエンジニアは、この注入弁の自動閉鎖を知らず、それに気付くまで相当な時間を浪費した。また気付いた後も、同原発のコントロールセンターの上司にすぐに報告することを怠っていた。一方、コントロールセンター側も冷却装置が作動していないことを示すパネル表示を見落とし、1号機の崩壊を早めてしまった可能性がある、としている。

 中間報告で実名を挙げられた数少ない人々の一人である同原発の吉田昌郎所長(当時)は聞き取り調査に対し、事故直後、洪水のように部下から報告が寄せられ「本当に重要な情報を包括的に判断することができなくなっていた」と話した。

 3月12日未明には、1号機の消火栓の場所がわからず、従業員が大勢でタービン建屋をしらみつぶしにし、施設の設計図を探し回り、2時間後、消防設備の設置担当者を探し当ててようやく消火栓のありかがわかったことも明らかになった。

 3号機では、冷却水を供給するシステムを、より信頼性の高いシステムに切り替えようと停止した。だが、その前に原子炉内の圧力を下げなければならないのにベントのバルブが開かなかったという。バッテリーがほとんど消耗し切っていたためとみられる。このため7時間近く冷却水の供給が止まってしまったという。

 政府については、事故対応前線基地の空気フィルターの放射能防御能力不足以外にも計画の不備、実行上の不手際や関係各部署の意思疎通に問題があったことを指摘。首相官邸の5階の一室が今回の事故対応措置の決定を下す司令塔となっていたが、そこで下された決定が、官邸地下に集められた関係各省庁の役人に十分に伝えられず、その遂行に支障が出た、としている。

 同報告は、福島第1原発が津波に脆弱(ぜいじゃく)であるとのたび重なる警告を無視していたことなど政府の原子力安全・保安院や東電がすでに認めている過ちについても詳細に記している。

政府と東電は地震と津波、停電など多重災害の場合についての対策を十分に行っていなかった。東電は緊急用設備をいくつか設置していたが、マニュアルや訓練を適切に行っていなかったという。

 同調査委は、聞き取り調査を強要する権限は持たない。また、特定の個人を非難することはせず、責任追及の勧告もしていない。

 米国で同様の調査が行われる場合、召喚状を出す権限を持ち、企業や関係者に対し刑事・民事両面での責任追及を行うのが常だ。昨年4月にメキシコ湾で起きた原油流出事故で、米国政府は6月には民事・刑事の責任を問うための捜査を開始した。

 今回の中間報告は、菅直人前首相など政府関係者への調査が残っているとしている。来年夏までに最終報告をまとめる予定だ。

Posted by 大沼安史 at 10:20 午前 |

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