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2011-12-17

〔毎日新聞・余禄〕 「冷温停止状態」宣言/間違っても「悪し」を「良し」と言い換えてはならない。

 17日朝刊 1面コラム → http://mainichi.jp/select/opinion/yoroku/news/20111217k0000m070115000c.html

  水辺に生える「アシ」は「悪(あ)し」に通じて縁起が悪いので、「ヨシ」に変えてしまう日本人である。もとは「小坂」という土地を景気よく「大坂」に変え、坂は「土に反(かえ)る」で縁起が悪いからと「大阪」にしてしまう地名の三段跳びもやってのける

 ▲この手の言葉遊びのような縁起かつぎも、言葉を用いればそれが現実になるという言葉の霊力--「言霊」信仰に根ざしているといわれる。とりわけ物や事の名前には人々の切実な願いや祈りが託される一方、時には人々を惑わせる楽観や思惑が忍び込むことがある

 ▲では福島第1原発事故をめぐって野田佳彦首相が発表した「冷温停止状態」はどうだろう。工程表では原子炉の安定的冷却を示すこの言葉を軸に事故収束の一応の目安とされたステップ2だ。その繰り上げ達成宣言である

 ▲むろん達成された「冷温停止状態」は、原子炉が健全で炉内が安定的に冷却されている本来の「冷温停止」と異なる。放射性物質の封じ込めは破れたままで、炉内もどうなっているか分からぬ状態での「安定」である。残念ながら名付ければ現実もそうなるものではない

 ▲世には東京電力の使う滞留水や高経年化といった用語も、高濃度汚染水や老朽化などの危険な印象を薄める言い換えだろうと疑う声もある。事故直後の危機を冷温停止を名乗るまでに安定させた現場の努力はたたえられるが、まさか言葉の霊力のおかげではあるまい

 ▲廃炉への作業でも、また周辺住民の帰郷にむけた諸計画においても、なおもあらゆる危険に周到な目配りを怠ってはならない今後だ。間違っても「悪し」を「良し」と言い換えてはならない。

 ◎ 毎日の「余禄」、東京の「筆洗」……ともに名コラムニストによる名コラムである。日本のジャーナリズムの誇りと言える。

Posted by 大沼安史 at 10:42 午前 |

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