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2011-11-21

〔フクシマ・ノート〕 ストロンチウムの悪魔

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 フクイチの被曝地が広範囲にわたってストロンチウム(写真はストロンチウムの結晶。ガーディアン紙電子版より)に汚染されていることが、米政府機関、NNSA(National Nuclear Security Administration )が3月20日~4月24日にかけて行った土壌調査の結果が公表されたことで明るみに出た。
 → http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2011/11/post-042d.html
   https://nnsa.energy.gov/mediaroom/pressreleases/japandata

 ストロンチウムが確認されたのは59地点。
 NNSAが公表した測定データには、確認地点の地理情報(緯度・経度、爆心からの距離=マイル表示)が記載されているから、地図に落とすこともできる。

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 フクイチ発のストロンチウムは土壌だけでなく、航空機による大気のサンプル調査でも相当数、検出されている。

 NNSAは2000年に米連邦エネルギー省内に新設された半独立の政府機関。米国内外における放射性物質の出現への対応も任務としてしている。それだけにNNSAの測定結果に対する信頼性は高い。

 文科省も9月30日に(プルトニムと併せ)ストロンチム汚染の土壌調査結果を発表しているが、こちらも44地点で検出しており、NNSAの調査結果と合わせれば100箇所以上でストロンチウムが確認されているわけだ。
 → http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_around_FukushimaNPP/0002/5600_0930.pdf (9頁の地図を参照)

 
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 フイクチ発の放射性物質と言えば、放射性ヨウ素に続く、放射性セシウムに注目が集まり、いまなお「セシウム米」などが問題になっている。

 しかし、実はストロンチウムも同じだけ(原子炉内では等量に存在)被曝地を汚染していた。セシウムに比べ、検出が難しいだけで、なんのことはない、そこいらじゅう、至るところを汚し切っている。

 10月に、フクイチから250キロ離れた横浜市港北区のマンションで、屋上の泥からストロンチウム90が検出されたことは記憶に新しいが、これなども氷山の一角に過ぎない。
 → http://yokohama-konan.info/strontium.html

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 低線量被曝の専門家であるロザリー・バーテル女史によれば、放射性セシウムと放射性ストロンチウムによる内部被曝の違いはこうだ。

 「放射性セシウムは筋肉に滞留し、完全に人体から除去されるには2年かかる。放射性ストロンチウムは骨に滞留し、一生そこにとどまって周囲の細胞に放射線を浴びせ続ける」(メアリー・ルイーズ・エンゲルス著『反核シスター』〔緑風出版〕、52頁)

 そして、その怖さは、こうだ。

 「ストロンチウム90は化学的にカルシウムとよく似た同位元素なので、骨の取り込まれ、白血球を形成する骨髄を照射する」(同50頁)

 また、原子力資料情報室の解説では、ストロンチウム90の「環境被曝の経過」はこんなふうだ。

 「主な体内摂取の経路は牧草を経て牛乳に入る過程で、土壌中から野菜や穀物などに入ったものが体内に摂取されることもある。また、大気中に放出された時には葉菜の表面への沈着が問題になる」
 → http://cnic.jp/modules/radioactivity/index.php/8.html

 牧草を経て牛乳に……野菜や穀類にも……それが私たちの骨に……。

 ストロンチウム牛乳やストロンチウム野菜もまた、セシウム稲わら、セシウム米同様、恐ろしいものなのだ。
 
 NNSAのデータが明らかになった今となっては、これ以上、ストロンチウムに対する「見ぬふり」は許されない。

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 英紙ガーディアンによると、「ストロンチウム」の名は、スコットランドのストロンティアン(Strontian)に由来する。
 その村の鉱山からストロンチウム入りの鉱石が産出され、そこからこの元素名がついた。
 → http://www.guardian.co.uk/science/punctuated-equilibrium/2011/nov/18/1

 そしてこのStrontianという地名だが、ゲール語で「天使たちの住む鼻(山の崎)」を意味するという。

  天使たちの鼻先から出たストロンチウムは、しかし、全くもって天使的ではない。

 ストロンチウムという名のみえない悪魔を、フクイチは、東日本のいたるところに放ってしまった。

Posted by 大沼安史 at 08:54 午後 |

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