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2011-07-07

〔フクシマ・ノート〕 海江田氏よ、ウィーンでの「ストレス・テスト」の誓いをお忘れか?

 菅直人首相が原発推進を死守しようとする「抵抗勢力」、「原子力村=電官利権複合体」の居直り策謀に、「ストレス・テスト」の実施でもって「待った」をかけた。

 夏の電力不足を演出、玄海原発の運転再開を突破口に、「わが世の春」の復活をもくろむ、経産省主導の「電気、足りなくなりますよ」恫喝キャンペーンの鼻をへし折った。

 はしごを外された、経産省の提灯持ち、海江田万里は「『もう頭に来た。今さら何を言っているんだ』と怒りをぶちまけた」という。(毎日新聞 ⇒ http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110707ddm003040098000c.html )

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 「今さら何を言っているんだ」という「ブチキレ非難」はしかし、海江田大臣に対してこそ、ふさわしい。

 なにしろ、既存原発に対する「ストレス・テスト」の実施は、海江田経産相自ら出席した、あのウィーンでの「IAEA・フクシマ閣僚会議」で、その必要性が指摘されていたこと。

 担当大臣として、閣僚会議に出席した人間として、知らぬ存ぜぬでは済まない。

 「聞いていない?」――
 だとすれば、経産省の役人があなたの耳に入れていないだけだ。大臣さえコケにする経産省の「死の灰発電官僚」のせいだ。

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 「IAEA・フクシマ閣僚会議」で、「ストレス・テスト」にどんな確認が行なわれていたか?

 会議を総括した「議長要約」を見ればわかる。

 そこには、こう英語正文で書かれてある。

 The Fukushima accident has highlighted the need for thorough and transparent national safety assessments (or ‘stress tests’) of nuclear power plants. Many licensees and national regulators are undertaking these assessments.

  「フクシマ」の事故は原子力発電所に対する各国の、徹底的かつ透明な安全評価(「ストレス・テスト」)の必要性を浮き彫りにした。(日本などを除く)多くの原発運転者や政府規制機関はこの評価(ストレス・テスト)を(すでに目下)実施中である。
 ⇒ http://www-pub.iaea.org/MTCD/Meetings/PDFplus/2011/cn200/documentation/chairpersons-summaries.pdf

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 この「議長総括」が打ち出されたのは、会議最終日の6月24日のこと。IAEAの「フクシマ閣僚会議」はつまり、「フクシマ」における破局的な悲劇の教訓として、「ストレス・テストの実施の必要性」を引き出し、それを全体の結論として共有し、会議の幕を閉じていたのだ。

 したがって「フクシマ」を引き起こした張本人の日本政府としては、既存原発に対する「徹底的かつ透明な安全評価(「ストレス・テスト)」に向かうのが当然の筋道だが、ここで実に驚くべきことが起きた。

 ウィーンの会議に出席した張本人の海江田経産相がなんとウィーンでの国際合意を率先して投げ打ち、玄海町の岸本町長と古川・佐賀県知事を訪ねて、「ストレス・テスト」抜きに「再稼働」を了承するよう要請したのである。

 それも会議閉幕から1週間も経たない6月29日の日に。

 海江田大臣の、そのなりふり構わぬ姿を見て、どれだけの人が「今さら何を言ってるんだ。もう頭に来た」と思ったことか……。

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 海江田大臣よ、あなたは菅首相の豹変ぶりに怒っておいでのようだが、IAEAのウィーン閣僚会議で「ストレス・テスト」の必要性が確認されたことを、首相に報告していたのか?

 海江田大臣よ、あなたは「原子力国体」の統制利権にくらいついて離れない経産省の原発推進官僚に、もうこれ以上、いいように使われはならない。

 あなたがぶち切れるべき相手は、ウィーンの「ストレス・テスト」宣言などなかったことにして、(あなたの政治生命も犠牲にして)延命を図ろうとする、「死の灰ゾンビー」どもである。

Posted by 大沼安史 at 11:25 午前 |

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