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2011-07-14

〔☆ フクシマ・NEWS〕 NRCジャパン・タスクフォースが11項目の原発安全強化策を勧告  炉心・プール 最低でも72時間冷却 交流電源なしで8時間対応 プールに独自の電力システム 日本の「2段階安全評価」の審査基準にも

 米原子力規制委員会(NRC)の「ジャパン・タスクフォース」の報告書が13日に発表された。⇒ http://www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/news/2011/11-127.pdf

 「ジャパン・タスクフォース」は「フクシマ」の破局的な原発事故を教訓として、米国として米国内の原発安全対策をどう強化すべきか、「フクシマ」の事故を分析しながら、対応策を検討していた。

 同タスクフォースはこの報告書で、NRCに対し以下の11項目の勧告をまとめたが、これはいずれも「フクシマ」にような悲劇を(米国内において)繰り返さないための必須の要件である。

 これら11項目の勧告は、「フクシマ」から米国が学んだ教訓ではあるが、日本政府が進めようとしている「2段階安全評価」の審査基準(の少なくとも参考)になりうるものだ。

 NRCのジャパン・タスクフォースは、日米連携の中、東京に急派され、日本政府・東電とともに事故対策にあたったNRCの原子炉チームの一次情報を検討の材料に使ったはず。

 ということは、この「勧告」は基本的に、日本の原発の安全対策の審査に使えるものだということである。
 
 むしろ、ジャパン・タスクフォースによる、この11項目の勧告を無視した「2段階安全審査」はありえない――というべきであろう。

 さて、11項目の勧告の中身で注目すべきは、ロサンゼルス・タイムズも指摘しているように(⇒ http://www.latimes.com/news/nationworld/nation/la-na-nuclear-safety-20110713,0,1708669.story )、②の「全電源喪失時」における「炉心及び使用済み核燃料プールを最低でも72時間、冷却し続ける設備、手続き、訓練」、及び、「最低でも発電所内外の交流電源が8時間、喪失しても対応できるルール」の確立である。

 また、④の「使用済み核燃料プール」への安全対策の強化も見逃せない点だ。「必要時に使用済み核燃料プールに対して冷却水を追加供給できる追加設備と免震システムの設置を命じる。また、使用済み核燃料プールの設備とポンブを常時運転できる電力システムを最低、ひとつ設備することを命じる」

 「フクシマ」の4号機では、使用済み核燃料のプールの隣に位置する別のプールの水が同プールに偶然「注水」され、最悪の事態を回避できたとされるが、奇跡のような幸運に頼らず、万全の防護態勢をとるようタスクフォースは求めている。

 これもまた、日本の原発の「安全審査」の「お手本」となりうそうな勧告ではある。

   もうひとつ、注目しなければならないのは、⑤の「ベント」の強化の問題だ。
 なぜ、ジャパン・タスクフォースがこれを盛り込んだかといえば、「フクシマ」では1~3号機で「ベント」が手動でも効かなかった疑いがあるからだ。

 GEの「ベント」を使っている日本国内原発は、この問題だけでも「凍結」を迫られよう。

 米国の規制当局は、ここまで「フクシマ」から教訓を学んでいるのだ。そして米国の「憂慮する科学者たち」といった権威ある批判グループから、これでもまだ足りないという厳しい指摘が出ているのが、米国の実情である。

 日本の当局が安易な審査でお茶を濁すことができるような事態ではない。 

 ◇ NRCジャパン・タスクフォース報告書 勧告 
 
 ① 原子力発電所に対して、運転中の各原子炉ごとに、構造・システム・コンポーネンツの、設計ベースにおける地震・洪水防護対策を必ず再評価・更新し、10年ごとにその設計ベース(の有効性)を再確認することを命じる。
 Requiring plants to reevaluate and upgrade as necessary their design-basis seismic and flooding protection of structures, systems and components for each operating reactor and reconfirm that design basis every 10 years;

 ② 既存・新規原子炉の、設計ベース及び設計ベースを超えた、洪水、ハリケーン、地震、竜巻、津波といった自然現象による電源喪失に対する発電所の対応能力を、炉心及び使用済み核燃料プールを最低でも72時間、冷却し続ける設備、手続き、訓練を確立し、炉心とプールの冷却および冷却剤システムと格納容器の密封への中断することのない必要な支援を続けるため、現場に発電所外から資源を供給する態勢を事前に計画・用意しながら、最低でも発電所内外の交流電源が8時間、喪失しても対応できるルールを課すことで強化する。
 Strengthening Station Black Out (SBO) mitigation capability for existing and new reactors for design-basis and beyond-design-basis natural events – such as floods, hurricanes,earthquakes, tornadoes or tsunamis – with a rule to set minimum coping time without offsite or onsite AC power at 8 hours; establishing equipment, procedures and training to keep the core and spent fuel pool cool at least 72 hours; and preplanning and pre-staging offsite resources to be delivered to the site to support uninterrupted core and pool cooling and coolant system and containment integrity as needed;

 ③ 長引く全電源喪失と複数の原子炉の非常事態に対応する非常事態計画づくりを命じる。
 Requiring that facility emergency plans address prolonged station blackouts and events involving multiple reactors;

 ④ 必要時に使用済み核燃料プールに対して冷却水を追加供給できる追加設備と免震システムの設置を命じる。また、使用済み核燃料プールの設備とポンブを常時運転できる電力システムを最低、ひとつ設備することを命じる。タスクフォースは、(フクシマの)使用済み核燃料プールでの一連の事態の経過とその状態を完全に理解するにはなお時間がかかると指摘している。(タスクフォースは)報告はこれまで得られたデータによる、使用済み核燃料プールの設備及び、(福島第一)発電所による冷却と冷却水供給管理に対する、二つの最も適切な判断にものである。
 Requiring additional instrumentation and seismically protected systems to provide
additional cooling water to spent fuel pools if necessary; and requiring at least one system of electrical power to operate spent fuel pool instrumentation and pumps at all times. The Task Force noted it will take some time for a full understanding of the sequence of events and condition of the spent fuel pools. The report said based on information available to date the two most cogent insights related to the availability of pool instrumentation and the plant's capability for cooling and water inventory management;

 ⑤ マークⅠ型およびマークⅡ型の沸騰水型原子炉(BWR)用の、より信頼性のある強化した「ベント」の設計を命じる。
 Requiring reliable hardened vent designs in boiling water reactors (BWRs) with Mark I and Mark II containments;

 ⑥ 緊急時の運転手続き、重大事故を管理するガイドライン、全般的な損傷緩和ガイドラインといった現場における非常時の対応能力を高め、統合する。
 Strengthening and integrating onsite emergency response capabilities such as emergency operating procedures, severe accident management guidelines and extensive damage mitigation guidelines;

 ⑦ フクシマの事故でより多くを学ぶなかで、長期的な原発安全策の見直しの一部として、格納容器あるいはその他の建築物の中での、水素コントロールと緩和に関する知見を特定する。 
 Identifying, as part of the longer term review, insights about hydrogen control and mitigation inside containment or in other buildings as more is learned about the Fukushima accident;

 ⑧ 長期的な安全対策の見直しの一部として、地震によって引き起こされた火災や洪水を防ぎ緩和する、考えられる対応強化策を評価する。 
 Evaluating, as part of the longer term review, potential enhancements to prevent or mitigate seismically induced fires or floods;

 ⑨ 長期的な安全対策の見直しの一部として、発電所の全電源喪失や複数炉の事故に関連する非常時の追加的準備課題を追求する。
 Pursuing, as part of the longer term review, additional emergency preparedness topics related to SBO and multiunit events;

 ⑩ 長期的な安全対策の見直しの一部として、決定に下し方、放射線の測定、公衆教育に関する非常時準備課題を追求する。
 Pursuing, as part of the longer term review, emergency preparedness topics on decision making, radiation monitoring and public education;

 ⑪ 原発の安全管理パフォーマンスに対する規制当局の監督――連日ベースで原発をモニターしているNRCの「原子炉監督プロセス」――を、懐の深い防御要件によりいっそうの注意を向けることで強化する。
 Strengthened regulatory oversight of plant safety performance – the NRC’s Reactor Oversight Process by which plants are monitored on a daily basis – by focusing more attention on defense-in-depth requirements.

 ――なお、報告書の全文は ⇒ http://pbadupws.nrc.gov/docs/ML1118/ML111861807.pdf

Posted by 大沼安史 at 09:11 午後 |

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