〔フクシマ・ノート〕 抵抗の歌が聴こえる…… そして 忌野清志郎さんの歌も
ニューヨーク・タイムズ(6月30日付)に、「日本に抵抗歌の新しい波(Japan's New Wave of Protest Songs)」という記事が掲載された。
空前の原発災害が進行する中で、新たなプロテスト・ソングが生まれ、ネットを通じて広がっている、という記事である。英語の字幕もついて、全世界に拡散している、という記事である。
記事にこんなエピソードが書かれていた。
InterFM の音楽番組のホストを務めるピーター・バラカンさんのもとへ、「フクシマ」で事故が起きたあと、忌野清志郎さん(RCサクセッションズ)の「サマータイムブルース」や「ラブミー・テンダー」などのリクエストが舞い込み出した。
「サマータイムブルース」は、忌野清志郎さんがチェルノブイリの事故から2年後に発表、発売が打ち切られたアルバム「Covers」の中の1曲。プレスリーの替え歌の「ラブミー・テンダー」もまた、いまでいう「脱原発」を求める先駆的な歌だ。
ピーター・バラカンさんが、忌野さんの「ラブミー・テンダー」の番組で流したいと局に話しを持ちかけると、局側はこれを拒否したのだそうだ。「放射能はいらねー」「牛乳をのみてー」の歌詞が、破壊的な噂を広げかねないという理由だった。
バラカンさんはその局の担当者に、「ラブミー・テンダー」を実際に聞かせてみた。担当者は「やっぱり、掛けない方、いいと思いますよ」。「どうして」と聞き返すと、担当者は「風評被害」のことを持ち出した……。
LOVE ME TENDER ⇒ http://www.youtube.com/watch?v=7E6huKlEjl0
歌詞
なに言ってんだ フザけんじゃね~
核など~いらね~
なに言ってんだ~よせよー
ダマせやしねぇ~
なに言ってんだ~ やめときな~
いくら理屈をコネても
ほんの少し考えりゃぁ 俺にもわかるさぁ
放射能はいらね~ 牛乳を飲みて~
何やってんだ~ 金かえせ
目を覚ましな
巧みな言葉で~ 般庶民を~
ダマそうとしたが~
今度のことでバレちゃった その黒い腹(ハラ)
まるで予言の歌だ。
さて、タイムズ紙の記事は、斉藤和義さんの「ずっとウソだった」や、「ランキン・タクシー」さんの「誰にも見えない匂いもない2011」、女性ラッパー、Coma-chi さんの“Say NO”を、ユーチューブてのリンクつきで紹介し、大友良英さんが8月15日に福島市で開く「プロジェクト・フクシマ」コンサート(http://www.pj-fukushima.jp/index.html)についても、その狙いを紹介している。
このうち、僕がタイムズ紙で(遅まきながら)初めて知ったのは、Coma-chi さんの“Say NO”。⇒ http://www.youtube.com/watch?v=hy0LgyVNkRg
歌詞は ⇒ http://www.littleoslo.com/lyj/home/2011/04/coma-chi-say-%E2%80%98no%E2%80%99/
くだらない娯楽はもうたくさん
なぐさめや御託ももうたくさん
事の真相、真実だけ隠さず
伝えてよメディアとお偉いさん
命が危なくても物申さん
もう世界中があきれてるのさ
もしあなたが誰かのお父さんなら
感じてよ市民の怒りをさ……
「事の真相、真実を隠さず、伝えよ、メディアと政府」「世界中があきれている」――その通りである。Coma-chi さんの言う通りだ。
ランキン・タクシーさんのもそうだが、ラップって「歌うツイッター」といえるものかもしれない。鼓膜を響かせ、胸板を鳴らし、心の奥までずんずん届けるラップ抵抗歌!
でも、このタイムズの記事を読んで、個人的にいちばん嬉しかったのは、忌野清志郎さんのことが、時代の先駆者として、たっぷり紹介されていたことだ。
東電や保安院の人を見てると、あの「サラリーマン」の歌を思い出す。
忌野清志郎さんのあの歌には、深い同情があった。でも、「情けねえじゃねーか。飛べよ、飛ぶんだよ」という励ましもあった。
僕があてのないまま、「組織(サラリーマン)ジャーナリスト」を辞める少し前から、ススキノでも流行ってた歌だっけ。⇒ http://www.youtube.com/watch?v=7QL93X8-iZg
★ ドイツ気象局「フクシマ放射能雲拡散予報( 日本時間は9時間プラス)
⇒ http://www.dwd.de/wundk/spezial/Sonderbericht_loop.gif
★ 「フクイチ」風向きマップ
⇒ http://agora.ex.nii.ac.jp/earthquake/201103-eastjapan/weather/gpv/wind/
Posted by 大沼安史 at 09:53 午前 | Permalink