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2011-07-26

〔フクシマ・ノート〕 「水蒸気爆発」の危険を認識し、「結婚をあきらめ」現場で復旧作業を続ける20代の若者の話

 英紙インディペンデント(26日付け)に、下請け作業員の「ワタナベ・アツシ」さん(仮名、20歳代)に対するインタビュー記事が載っていた。⇒ http://www.independent.co.uk/news/world/asia/a-young-man-sacrificing-his-future-to-shut-down-fukushima-2325952.html

 デイビッド・マクニール記者のインタビュー記事だ。

 契約社員ではなく正社員。保険にも入っている。月給18万円。4月からは「昼飯代」で1日1000円、プラスされるようになったそうだ。

 「ワタナベ」さんは、こう語った。
 「核燃料は溶けてしまっている。メルトスルーを起こしているかは分からない。8溶融した核燃料は)炉の底にある。それがメルトアウトし、水に接触したら、重大な危機になる。エンジニアたちはそれを抑え込もうと懸命に働いている」

 "The fuel has melted, but melted through or not – we don't know," Mr Watanabe says. "It's at the bottom of the reactor. If it melts out, and meets water, it would be a major crisis. The engineers are working very hard to get it under control."

 現場の人は、こういう認識を持って、日々、復旧作業にあたっているのだ。「水蒸気爆発」が起きるかも知れない、と思って。

 「ワタナベ」さんは「結婚はあきらめた」そうだ。「もしも彼女に仕事のこと打ち明けたら、私の将来の健康と、子どもに何が起きるかと心配するだろうから。どんな仕事をしているか、隠すことはできない」

 Whatever happens, Mr Watanabe has abandoned any hope of getting married. "I could never ask a woman to spend her life with me," he says. "If I told her about my work, of course she will worry about my future health or what might happen to our children. And I couldn't hide what I do."

 (一時、病院に入院して雲隠れした清水前社長について)「こういう現場で一度だけ作業したことないし、現場の問題を経験したことがないから、事故が起きたら本能的に逃げるしかなかったんだろうね」。「ワタナベ」さんは清水前社長に、軽蔑でなく同情しているのだそうだ。「ああいう人に厳しく当たると、自殺してしまうかも知れない」

 "[Mr Shimizu] had never worked onsite before or experienced any problems, so when trouble hit his instinct was to run away," Mr Watanabe says. He says he feels no contempt for the disgraced company boss, only sympathy. "If you pushed a guy like that too hard, he might commit suicide."

 こんな「ワタナベ」さんの答えに、マクニール記者は記事の結びでこう書いている。

 「理由はともかく、ワタナベ氏は東電の経営者たちと比べ、とてつもなく大きな謙遜と人間性への気遣い、ユーモアを示している。ふつうの会社の事務員とほとんど同じ給料で、彼と彼の同僚たちは、ふつうの生活への希望を犠牲にしているのだ。彼自身、首相にも県知事にも東電の社長に会ったこともない。子どもを持てないし、早死にするかも知れない。別世界に生きたら、ウォールストリートのトレーダーくらいお金をもらえるかも……そんな話をしたら、彼は笑った。
 「仕事を辞めたら、たぶんペンとタオルを買うと思うよ。こんな仕事をしてるんだから、それぐらい持ったっていいじゃないか」
 
 Whatever his reasons, Mr Watanabe displays infinitely more humility, concern for humanity and humour than the men who run his industry. For roughly the same take-home pay as a young office clerk, he and his workmates have sacrificed any hope of normal lives. He has never met the Prime Minister, the local prefecture Governor or even the boss of Tepco. He will never have children and may die young. In another world, he might be paid as much as a Wall Street trader, an idea that makes him laugh.

"I'll probably get a pen and a towel when I retire," he says. "That's the price of my job."

 同紙の東京特派員のマクニール記者は「共感のペン」の持ち主だ。だから、彼のインタビュー記事は、いつも私たちの胸に響く。

 国民栄誉賞は「なでしこ」だけでなく、フクイチの現場作業員一同に出すべきである。

Posted by 大沼安史 at 10:59 午前 |

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