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2011-06-17

〔フクシマ・ ノート〕 北に流れる黒い雲

 いつものように、お昼にうどんを食べて、窓の外を眺めていたら、ツバメが飛んだ。
 たぶん、坂を下ったところにあるスーパーの軒先のツバメだ。
 子ツバメかも知れない。

 空を黒味がかった灰色の雲が北へ流れている。「フクシマ」からの雲だ。蒸気のなかに得体の知れないものを含んだ、不安をかきたてる雲だ。

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 ブログに書いたように、原発大国・フランスは大旱魃で、河川の水位が下がり、この夏、原発の冷却水が不足しかねない状況だ。

 一部の川はすでに干し上がっている。川から全く取水できなくなったら、どんなことになるのか?

 「地獄の季節」の到来?

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 米国では、NASAの長官が「気がかりなあることに気付いた」と言って、「あること」とは何なのか言わずに、警戒態勢をとるよう呼びかけた。

 米国内の原発に対するテロ攻撃があるとでもいうのか? 「フクシマ」関連の警告なのか?

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 先日、ニューヨーク・タイムズが、「フクシマ」をめぐる日本政府の初動対応に関して、ミステリーじみたことを書いていた。

 タイムズ紙は事故直後、日本政府が米国に対して「信頼を失っていた」、と明記していたのだ。⇒ http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2011/06/post-d2c1.html

 震災が引きこした人災である「フクシマ」事故の何が、日本政府をして米国に対する信頼を失わせるものだったか?

 日本の民主党は世界の先進国で唯一、国会で、「9・11」に関する「陰謀疑惑」を追及した政党である。

 今回の大震災についても、「陰謀」めいた話を耳にしたから、アメリカに対する信頼を失った、とでも言うのか?

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 「フクシマ」も人災なら、大旱魃の「異常気象」も人災だ。

 いずれも、産業資本主義による「急成長」の限界で弾けた破局である。

 世界的に有名な米国人フリージャーナリスト、ダール・ジャメールさんの取材に対して、このブログでたびたび紹介して来た米国の原発専門家、アーニー(アーノルド)・グンダーセンさんが、「ヒロシマ」を「人類史上、最大の産業災害』(Fukushima is the biggest industrial catastrophe in the history of mankind)と指摘していたが、まったくもって、その通りである。
 ⇒ http://english.aljazeera.net/indepth/features/2011/06/201161664828302638.html 

 産業による環境被害のことを、日本では「公害」という。この「公害」という言葉を使えば、「フクシマ」は「人類史上、最大の公害」ということになる。
 
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 「異常気象」も全地球規模のものなら、「フクシマ」もグローバル規模の「地球汚染」を続ける、人類史上最大・最悪の公害発生源である。

 地球の北半球はいま、夏の太陽の季節を迎えようとしているが、気象は狂い、死の灰は降り止まない。海水に混じった死の灰は、海水浴の裸体を直接、汚染することになろう。

 今月末で退任することが決まったフランスの世界的な原子力企業、アレヴァ社の最高経営責任者(CEO)、アンヌ・ロベルジョン氏はついせんだって、仏経済紙のインタビューで、「核の冬」はありえない、などと強気の発言をしていた。

 ここでいう「核の冬」の「核」とは、もちろん原子力産業、あるいは原発のこと。「フクシマ」後も、「原発・冬の時代」はありえない、と自信たっぷり語っていたのだ。

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 「核の冬(nuclear winter )とは言うまでもなく、もともとは米国のカール・セーガン博士がつくった言葉だ。全面的な「核戦争」のあと、粉塵による日照不足で緑は枯れ果て、地球上に死の世界が広がると、私たち人類に警告するためにつくった言葉だ。

 しかし、このセーガン博士の警告の言葉は、「フクシマ」にもあてはまる言葉だ。

 夏が過ぎれば、北関東、南東北を中心とした汚染地帯にも実りの秋が来るが、大地が死の灰にまみれていると分かれば、そこはもはや枯れ野に等しい。

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 それにしても、米航空宇宙局(NASA)の長官の「気になること」とは何なのだろう?

 ボールデン長官はオバマ大統領に任命された人物で、ブッシュ時代におかしくされたNASAの建て直しに入った人だ。

 「警戒しろ」だなんて狼少年にようなことを、どうして言うのだ?

 黒い雲は去り、窓の外は明るくなった。でも、やっぱり、不安は消えない。 

Posted by 大沼安史 at 02:12 午後 |

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