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2011-06-05

〔フクシマ・ノート〕 米国の「80キロ圏」設定は「4号機プール」爆発に対する備え それを知っていながら、日本政府はなぜ、放置しているのか?

 米政府はなぜ「フクシマ」の米国人立入禁止区域を「80キロ圏(50マイル圏)に設定し、いまなお維持しているのか?

 その理由を下記の、アーニー・グンダーセン氏のインタビューで知って愕然とした。

 事故発生時の放射性物質の拡散状況などを元に「80キロ圏」を設定したのではないか、と漠然と考えていたが、違っていた。

 グンダーセン氏によれば、「4号機」の「使用済み核燃料プール」の火災を懸念しての措置だという。

 米エネルギー省の研究機関である「ブルックヘイブン研究所」の1997年の研究によると、「使用済み核燃料プール」が火災を起こすと、周辺の18万7000人が癌で死亡する(長期にわたって)という。

 グンダーセン氏の主張、「80キロ圏」は「4号機のプール」を想定しての措置は、氏の勝手な想像の産物ではなく、事実としてたしかにそうだった。(僕が知らなかっただけのことだ!)

 ワシントンの政治専門紙「ポリチコ」はその3月16日の電子版で、以下のように報じている。⇒ http://www.politico.com/news/stories/0311/51456.html

 (80キロ圏を勧告した)NRC(原子力規制委員会)のグレゴリー・ヤツコ委員長は、「4号機の使用済み核燃料プールは空かもしれない(3号機のプールもひび割れしているかもしれない)。冷却を続けないと使用済み燃料は過熱し、爆発することもあり得る。放射性物質をまきちらし、だただでさえ抑えこみ困難な状況を複雑化してしまう」と語った。

  Nuclear Regulatory Commission Chairman Gregory Jaczko said the spent-fuel pools at Fukushima Daiichi's Unit 4 reactor may be empty and a crack may be present in the spent-fuel pool for the No. 3 reactor. Without proper cooling, spent-fuel rods will continue to heat and potentially ignite, dispersing radioactive elements and making an already complicated situation evermore difficult to contain.

 米政府は、NRCは「4号機プール」が新たな重大危機をもたらすと懸念して、80キロ圏を設定したのだ。そしてそれを今なお維持している。

 本ブログ既報のように、NRCは直近の5月31日の声明でも、「80キロ圏」を「最善の安全利益」にかなうものと改めて言明している。⇒ http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2011/06/post-2353.html

 もちろん、この米政府、およびNRCの見解は、日本政府も知っているはず。

 そうなると、なぜ日本政府は米側が提起している「4号機プール」問題を知りながら、避難圏を拡大せず、30キロ圏を維持しているのか?――という重大な問題が提起される。

 日本政府は余震による倒壊などで「4号機プール」がさらなる破局を引き起こすかも知れないという米政府の見解を知っていながら、どうして避難圏を同じ、80キロ圏に拡大し、福島市や郡山市の市民を避難させていないか――という重大な問題が提起される。

 それはなぜか?

 ふたつ、考えられる。

 ひとつは「4号機プール」の危険を知っていながら、(賠償などのコストを考え?)避難させずにいる……。

 もうひとつは「4号機プール」が絶対に「安全」である、米国が知らない確証を日本政府はつかんでいる……。

 日米は緊密な連携をとっているはずだから、後者であるはずがない。
 となると、答えは前者!

 これは恐ろしいことだ。

 日本のマスコミは「4号機のプール」問題を徹底して追究してほしい。米側の見解が正しいとすれば、避難圏を拡大するしかない。

 こどもたちへの20ミリ強制被曝といい、福島の人々が置かれた状況はすでに、あまりにも苛酷である。

 「4号機プール」で火災や爆発が起きないうちに、避難対策をとるべきだ。

 菅直人政権は米国を「トモダチ」だと持ち上げるなら、友人の警告に傾け、米政府がすみやかに取ったように「自国民を守る」対策をとるべきである。

 それとも、福島の人々はもはや「国民」ではないとでも考えているのだろうか?

Posted by 大沼安史 at 01:58 午後 |

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