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2011-05-18

〔フクシマ・ノート〕 ゴジラと札束

 米国ミシガン州ディアボーンの「ヘンリー・フォード・コミュニティー・カレッジ」で14日、五大湖地方の原発問題を考える会議が開かれた。

 世界の淡水の20%を占める五大湖には、デイビス・ベス原発(エリー湖、米オハイオ州)、ブルース原発(カナダ・オンタリオ州)などが立地しており、新増設計画も進んでいるそうだ。

 米加50人の運動家らが集まって開いた会議の模様を伝える記事が、「デトロイト・メトロ・タイムズ」の電子版に載った。
 ⇒ http://metrotimes.com/news/godzilla-and-the-great-lakes-1.1148138

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 その見出しが「ゴジラと五大湖(Godzilla and the Great Lakes)」。

 「フクシマ」の「ダイイチ」を、「第五福竜丸事件」後、日本人の想像力の中で生まれた、あの「水爆怪獣=ゴジラ」に見立て、なぜそんなものを五大湖地方に「放った」ままにしておいていいのか――と問う会議を紹介した記事だった。

 会議では実際、パワーポイントのプレゼンで、「ゴジラ」の写真もスクリーンに映し出されたという。

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 「ゴジラ」=「フクシマ・ダイイチ」

 「映画」の初代ゴジラは人間の身勝手さから生まれた放射能怪獣である。では、現実の「フクシマのゴジラ」は誰が生み出したか?

 映画の「ゴジラ」が生まれたのは1954年(昭和29年)11月のことだ。

 その半年前の同年3月2日――ということは、第五福竜丸に対して「死の灰」を降らせたビキニでの水爆実験の翌日――、現実世界では日本の国会で、突如、シュール(超現実)な出来事が起きた。
 (シュールな、といったのは、ヒロシマ・ナガサキから10年も経っていない段階で、よくもまあ、やれたものだという驚きを込めた表現である)

 衆院予算委の場で、改進党など3党が「原子力予算案」(新年度予算案共同修正案)なるものを「爆弾提出」したのだ。

 「原子炉築造費(2億3500万円)」「ウラニウム資源調査費(1500万円)」「原子力関係資料購入費(1000万円)の計2億6000万円。

 「原子力予算の突然の出現に仰天した日本学術会議の茅誠治会長」らは「さっそく衆議院および改進党本部に出向き、原子力予算への反対を議員たちに申し入れた」(吉岡斉著『原子力の社会史』〔朝日選書〕より)

 しかし、議員たちはこれを拒絶、「とくに中曽根(康弘)は『学者がボヤボヤしているから札束で学者のホッペタをひっぱたいて目を覚まさせるのだ』と語ったという」(同書64頁)

 日本の「原発」は、映画の「ゴジラ」が生まれた年の3月に、「ゴジラのパンチ」ならぬ、政治家による「札束パンチ」予算の計上でもって幕を開けたわけだ。

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 そしてそれから57年後のことし3月、日本の原子力政策は「フクシマ・ダイイチ」において「ゴジラ」化し、2ヵ月後の今なお、手をつけられない状態で暴れまくっている。

 かつて中曽根・大勲位は日本は「不沈空母」だと言い放ったが、自分が半世紀以上も前、解き放った「放射能ゴジラ」のせいで、いま祖国が「沈没」の危機に直面していることに対し、どんな感慨をお持ちであろう?

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 さて、この「札束でたたく」は当時、流行語にもなった言葉(中曽根氏自身は「言っていない」と否定している)だが、日本の原発権力の腐敗した金権体質の本質を衝く名文句ではある。

 予算(札束)と電気料金(札束)を握る「官産複合体」が政治家やマスコミを沈黙させ、「安全です」の大合唱のタクトをふるいながら、原発の大増設を続けて来た、唯一のヒバク国=日本!

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 冒頭に挙げた「ゴジラと五大湖」の記事に、こんなくだりがあった。

 どうして日本は活断層の上に、もともと危険な原発をあえて建設するなどという無謀なことをして来たのだろうと、世界はいま首をかしげている……
 
 ……And just as the world is now wondering how the Japanese could ever have been foolhardy enough to build something as inherently dangerous as nuclear power plants above earthquake fault lines ……

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 日本の原発権力はなぜ無謀なことを続けて来たのか? なにが日本を破局に追い込んだのか?

 答えはもはや言うまでもない。

 「電気を生み出す原爆」である「原発」は、電気ばかりか「札束」をも生み出して来たのである。

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 ゴジラよ、眠りから覚め、原発被災者の怒りをわがものとして、東電や経産省に暴れ込んでくれ!

Posted by 大沼安史 at 03:35 午後 |

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