« 〔☆ フクシマ・NEWS〕 AP通信 日本の情報公開法を使い、東電の保安院あて「福島原発・津波対策報告書」(2001年12月19日付け)を入手 なんと ペラ一枚 (single page) 「電源喪失を引き起こす大津波の可能性を否定」 保安院 東電の報告を検証もせず鵜呑みに | トップページ | 〔フクシマ・NEWS〕 「もんじゅ」から白煙 »

2011-05-28

〔フクシマ・ノート〕 G8宣言 「He(彼)」呼ばわりは菅とカダフィだけ

 フランスのドービルで開かれていた「主要国(G8)首脳会議(ドービル・サミット)」は27日午後(日本時間同日夜)、2日間の日程を終えて閉幕した。

 G8、日本復興へ連帯…原発安全性強化で一致(読売)
 日本復興支援、原発安全基準強化を採択(産経)

 日本に連帯、日本を支援――日本のマスコミはまたも高らかに「成果」を謳い上げた。

   ★

 現実はどうだったか?

 サミットの「成果」は採択された「首脳宣言」に示されているはず。

 そこで「ドービル宣言」の英語正文に目を通してみた。  ⇒ http://graphics8.nytimes.com/packages/pdf/world/20110527-Deauville-G8-Declaration-Final-English.pdf

 読んで、やりきれない思いにとらわれた。日本の「政府」は――菅直人という日本の「首脳」は、世界の有力国の指導者たちに、こんな目で見られているのか……。情けない気がした。

  ★

 「宣言」のどこが、何が、やり切れなく、情けなかったか?

 「ドービル宣言」の「主語」はもちろん、「われわれは(We)」だ。宣言文は「G8のわれわれ」を主語に書かれている。

 その中に「彼(He・he=あいつ)」呼ばわりされた男が2人いるのだ。

 ひとりは、あのカダフィ。

 彼には自由で民主的なリビアにおける未来はない。彼は出て行かなければならない。
 He has no future in a free, democratic Libya. He must go.

 血の弾圧で延命を図るカダフィが「彼」呼ばわりされるのは当然として、それでは、もうひとりの「彼=あいつ」とは誰か?

 日本の内閣総理大臣の菅直人が、もうひとりの「彼(あいつ)」だった

  ★

 菅=He は「宣言」の中で、3回、出て来る。

 そのうちの2回目と3回目の「he」の部分は重要である。「宣言」の英文正文ではこう書かれている。

 In particular, he committed to provide all relevant information regarding the nuclear emergency in a timely manner, and he ensured that products exported from Japan are safe. We stressed that measures on goods and travel should be based on scientific evidence.

 (菅)はとくに原発の非常事態に関する全ての重要情報を速やかに提供することを約束した。または日本からの輸入品は安全であると保障した。(これに対して)われわれは、製品や旅行に関する(放射能の)測定は科学的な証拠に基づき行われるべきだと強調した。

 ここで注目すべきことが2つある。

 ひとつは「ドービル・サミット」でもまた日本政府の情報隠しが問題視され、「彼=菅直人」としてはあらためて「宣言」のなかで「即時通報」を約束させられたことだが、むしろそれ以上に重要なことは、「フクシマ」をめぐって「宣言」が、日本を除く(G8マイナス1)「われわれ(We)」という「主語」を使い、「彼(=菅=日本の首相)」と完全に距離を置いていることだ。

 つまり日本政府の「首脳」は、こと「フクシマ」に関するかぎり、「G8」の「われわれ」から除外されたわけである。

 なぜ、除外されたか? 
 答えはかんたん。菅直人の日本政府を、世界の有力国は信用していないのだ。

 だから、日本からの輸入品は安全ですと保障した「彼」に対して、ドービルに集った「われわれ」は、科学的な証拠でものを言え、と釘を刺したのだ。

  ★

 国際社会の日本に対する視線がどれだけ厳しいか、それは「宣言」の以下のくだりを見てもわかる。

  We also call on the IAEA to consider the relevant IAEA standards to identify issues that may warrant examination and revision in light of the Fukushima accident, and, in particular, to consider developing or improving additional standards for the construction and operation of nuclear power plants in seismically hazardous areas, as well as in areas that might be otherwise exposed to other external events, taking into account their integrated impact.
 IAEAに対し、福島事故に照らして指針を検討すること、特に、地震が多発する地域及びその他、外的な事象にさらされ得る地域における原発の建設及び運転の付加的な指針の設定、改善を検討するよう求める。

 「宣言」のこの部分の主語は「われわれ」だが、地震国である日本の「彼=菅」はつまり、原発の運転・建設に「付加的な指針の設定、改善の検討」を約束させられたわけだ。 

  ★

 サミット会議での首脳同士のやりとりは明らかにされていないが、「宣言」の文面から見て、「彼」に対する会議の席での風あたりは相応にきつかったことだろう。「針のむしろ」状態だったのではないか?

 それはドイツのメルケル首相が、「彼」との正式な首脳会談を拒んだことでも分かる。なんと「控え室」で、わずか10分間の非公式な日独サミットが行われたことでも分かる。

 「彼」が首脳会談の席で呼びかけた「来年、原子力安全国際会議を日本で開催する提案」にしても、「宣言」で判断する限り、一顧だにされなかったようだ。

 「フクシマ」は今後、幸運に恵まれたとしても、来年までに終息することはありえない。放射能の「みえない雲」が漂う日本で「原子力安全国際会議」を開催とは笑わせる……「彼」以外の「われわれ」はきっとそう思ったことだろう。

  ★

 「ドービル宣言」で世界の主要国の「われわれ」は、前述のように、リビアのカダフィに退場を求めた。

 もしかしたら、「G8マイナス1」の「われわれ」は、もうひとりの「彼」にも速やかなる退場を求めているのかも知れない。まともな新指導部への交代を日本に求めているのかも知れない。

 もはや判断能力を失い(「言った・言わない」「止めた・止めない」「届けた・届いていない」)、自国民の子どもたちに原発作業員並みの被曝を強いる日本の「旧体制(アンシャン・レジーム)」に愛想をつかしたのかも知れない。

 カダフィも must go ! だが、Kan もまた、MUST GO !である。日本は変らなければならない――
 これが「ドービル宣言」にこめられた、もうひとつのメッセージかも知れない。

Posted by 大沼安史 at 02:04 午後 |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 〔フクシマ・ノート〕 G8宣言 「He(彼)」呼ばわりは菅とカダフィだけ: